第88話 危険の報告
「なぁ。やはりダメか??」
「いつまでこのやり取りやるつもりですか。」
暴君二世と私は王都に到着した所であった。すっかり車にも慣れた暴君二世は、その車が欲しい欲しいと駄々をこねまくっている。私は全てを突っぱねていた。もううんざりである。
「王都に着きました。早速急いでバゼル国王の元に行きましょう。」
「ソータ殿のケチ。。。」
キャラクター崩壊にも程があるというものだ。シュタイズはもっと凛とした佇まいでいて欲しい買ったものだ。仮にも一応Sランクの最強のはずだが。。。どうしてこうなってしまったのだろうか。
「失礼します。」 「失礼するぞ。」
私とシュタイズは、バゼル国王の元に急いだ。幸い、バゼル国王はいつものあの無駄に大きな扉の部屋に居てくれたようで、すぐに会うことが出来た。
「おぉ!!!ソータ君じゃないか!!!!久しぶりだなぁ!!!元気にしてたか!」
「えぇ。それなりに。積もる話もあるかもしれませんが、今はそんな場合ではありません。」
私が神妙な面持ちでいると、バゼル国王も何かを察したのか、仕事モードに入る。バゼル国王のこういう所は格好いいと思うのだが、それを常時発動していて欲しいものだ。
「どうした。なにがあった。」
「シュタイズさんからお願いします。」
私では説明力に劣ると思ったので、シュタイズに全てを投げやった。ただでさえ暴君と暴君二世のいるこの空間に私1人であしらうのは少々荷が重すぎるのだ。
「単刀直入にいおう。魔族の動きを確認した。我とソータ殿の2人でいる時にたまたま魔族と対面してな。8頭いたが、全て討伐済みだ。」
「それは誠か!?魔族に動きが。。。そろそろなのか。。。その魔族たちになにか例年と違う事とかなかったか?」
「我は感じなかったが。。。ソータ殿はなにか感じたか?」
まさかこっちに戻ってくるとは思っていなかった。だが、感じることがあったかと聞けば、実際にあった。あの謎の感覚。魔族は知能が低いと聞いていたにもかかわらず、最高ランクであったルシフェルは1度も攻撃をしてこなかった。おかしな話である。
「そうですね。。。私は魔族は知能が低いと聞いておりました。知能が低いということは、作戦や団体で動くなどのそういう行動はできないということかと思います。ですが、あの時団体で8頭一度に襲来しました。
それになんといっても、私の戦った魔族のうち一頭は、1度たりとも攻撃をして来なかったです。まるで誰に命令されているかのように。ですがその場に魔人はいません。
その他の魔族の攻撃も的確でした。私は魔族に会うのも初めてなので、実際どれが普通だと言うのも分かりませんが。知能が低い魔族とは思えない動きをしていたのは事実です。」
私は自分の感じた事が、例え例年通りの魔族であっても、私の想像している知能よりも実際は何倍も知力があったとしても、とりあえず感じたことは言おうと思った。何も言わずに後々なぜ言わなかったのかとい言われるよりも、言ってしまった方が自分にとって好都合になる。これこそ『ほうれん草』。『報告』『連絡』『相談』である。
「言われてみればそうだな。。。魔族にしては攻撃タイミングが的確であった。何度か切られるかと思ったが、まぁスピードは魔族だったからな。あんな遅い攻撃当たるわけがなかろう。」
シュタイズはやはり強い。私は相当苦戦したあの魔族であったが、5頭もの魔族を苦労なく討伐し切っていたのだがら、なんとも解せない気分である。
「そうか。。。魔人がいないにもかかわらず、誰かに操られたかのような攻撃。。。魔族達もやはりしっかりと対策を打ち出してきているというわけだな。。。我々も黙ってる訳にも行かない。」
バゼル国王は絶賛仕事モードである。あのおちゃらけた国王とは全く異なり、今は真剣そのものである。普段からこうであれば本当に苦労しないのだが、困ったものである。
「よし。とりあえずは分かった。直属国全てに私から伝達しておこう。お主ら2人には良い功績を残してくれた。対魔族戦争が終わった後、褒美をやろう。」
正直必要ないなと思いながらも、名目上の都合でしっかりと受け取る姿勢を見せる。仮にも一応国王である方に要らないですとキッパリ断れる威勢があれば、恐らくそれは暴君三世になりうるだろう。
「やっと終わった。暴君はいつ突っかかってくるかわかんないから怖いんだよなぁ。。。」
「ソータよ。暴君?とはなんだ???」
しまった。私としたことが、周りに誰もいないと過信していたが、シュタイズが斜め後ろにいた。
「あ……いやぁ、、、あっ魔族のことですよ!あの暴君いつ来るか分かんないじゃないですか!」
「おぉ!そういうことか!確かに分からないな!」
危機一髪であった。シュタイズの耳に仮に暴君がバゼル国王であることを告げたらどうなるのだろうか。バゼル国王に報告しに行って、、、最悪の場合………………………………
『ソータよ。お主私を"暴君"と嘲笑っていたようだな。死刑!!!』
……………………なんてこともあるかもしれない。。。恐ろしい。。。
「では、例の魔人の言葉でも見に行くとするか。」
「あ、そうですね!!そうしましょう!!」
私は少し脅えながらも、何とか危機を乗り越え、次に魔人の言葉を解読するべくシュタイズと共に、王都中央総合役所に向かうのであった。




