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第63話 シェルトとの出会い

私はメイシェルト国に到着し、荷物を持って領主邸の戸を叩いていた。出てきたのは執事と思わしき年配の方であった。


「お待ちしておりました。イズラート国領主・ソータ侯爵殿でお間違い御座いませんでしょうか?恐れ入りますが、念の為、身分証をご確認させて頂けますでしょうか。」


「分かりました。」


私は自分の身分を証明し、中に入ることを許可されたと同時にそのまま宿泊部屋へ案内された。


「無駄に広い部屋だなぁ。。。王族の部屋みたいだ。。。」


その部屋は広さに反して家具の量は少なく、無駄に広く感じる部屋であった。色々堪能したいところではあるが、荷物を置き、挨拶は必要だろうと、私は執事に領主の居る部屋へ案内して貰った。このタイミングで品を渡そうかと思ったが、どうやら渡すタイミングにもルールがあるようで、マナに止めらてしまった。


「こちらが、領主様のお部屋で御座います。どうぞ。ごゆっくりと。」


そう言うと執事は深く頭を下げ、そして足音をほぼ立てずに速やかに歩き去っていった。流石とも言うのだろうか。とても上品な人物である。


「失礼致します。今、お時間よろしいでしょうか。」


私は領主部屋と記された豪勢な扉を三回ノックし、そして声をかけた。一定の間無応答であり、無人なのかと思ったが、扉は突如として開く音を鳴らす。


「誰だ。見ない顔だな。名を名乗れ。」


初対面の相手に対し相当な威圧感与えているが、恐らくこの大物感は間違いなくメイシェルト国の領主であろう。


「申し遅れました。王都直属第七都市・イズラート国領主、ソータと申します。」


「イズラート…。あぁ!!!!最近領主が変わったって言う隣の!よく来たな!!待ちわびたぞ!さぁ!入れ入れ!」


先程の威圧感をまるでロウソクの火を口で吹き消したかのようにどこかに飛ばしたようである。対応がひっくり返るとはこのことなのだろう。私としてもビックリしている。


「そうかそうか!君があの噂の領主かぁ!話したい事は山ほどあるが、とりあえず二人の関係を築こうでは無いか。」


あまりの変化にもう一度いうが、先程の威圧感はどこにも無く、今は優しさの塊のように優しく対応してくれる。全くの別人と言われればそれまでと思ってしまう。


「では、改めまして。私、王都直属第七都市・イズラート国領主のソータと言うものでございます。」


「あぁ!なに!堅苦しいぞ!カチカチに堅いぞ!もっと柔らかくて構わないぞ、敬語なんぞもっての外や!」


謎に元気のいい人物である。この人物に対して一瞬で3人分のイメージを感じる。恐い人というイメージ、普通の優しい人というイメージ、そして、元気でうるさい人というイメージである。


「私は、王都直属第四都市のメイシェルト国領主をやってる、シェルトという名前だ!今後付き合いは増えると思うからな!よろしく頼むよ。」


メイシェルト国の領主であるシェルトはとてもフレンドリーに話を進めていく。最初はどうなるかと思ったが、どうやら根は悪い人ではないらしい。だが、両極端の性格をしていると感じる。


「シェルトさんと言うのですね。覚えやすいお名前で。」


「あぁ。よく言われるよ。。。メイシェルト国のシェルトさん。覚えやすいですねってな。そりゃそうだろうな!それを狙っての名前だからな。」


私は少々要らないことを言ってしまった。どうやら逆鱗とまでとは行かずとも、あまり触れてはいけない部分に触れてしまったようである。こうなるならばもっと聞いておくべきであったなと少々後悔したが、これは教えられてても難しいことである。


「大変失礼致しました。悪気がある訳では無いのです。」


「冗談だぞ!!!ハッハッハッハッハ!!!!真に受けたのか!!ハッハッ!!やはり何も知らないと引っかかってくれるな!」


一発殴ろうかと手に拳作るところまでいってしまったが、何とか食い留まった。どうやら騙されていたようだ。大きく口を開けて高らかに笑っているメイシェルト国領主。私は少々苦手な人物だなと確信した。


「冗談・・・ですか??焦りました。。。」


「半分冗談だな!名前に関して覚えやすいと言われるのはよくある事だ。実際そうであるからな。だがそれでいいのだ。それを狙っている事だからな!」


再度私はこの人について行くのは、断固として嫌だと確信した後に、本音を押し殺しながらシェルト氏と会話を続ける。


「そうなんですか?触れてはいけないことに触れたのかと思いました。驚かせないでください。」


「名前に関しては特に気にしていないぞ。シェルトという名は私の亡き祖父が付けてくれたようなのだが、私が物心ついた頃には既に他界していた。名前が最初で最後の祖父からの贈り物なんだ。粗末にはできないさ。」


何とも心痛ましい話だろうか。私も少々安直に名前について聞いてしまったが、嫌な思い出ではなかっただろうかと、シェルト氏の顔を伺う。顔色は私が想像していたものより何倍も明るく、とても華やかな笑みをしていた。


「いいお方だったのでしょう。シェルトさんに似て、いい人なのは私にも何故かわかる気がします。」


私は先程の罪滅ぼしをするかのようにそういう。シェルト氏はニコッと笑顔を向けるが、無言のままであった。


それから色々と聞かれ、質問に答えていたらそれなりに時間が経過してしまった。私も会合に出る準備をしなければならない。やっと部屋に戻れたのは扉をノックしてから約4時間後であった。

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