第61話 会合への出発
王都八国定期会合。それは、私にとっては最も気が乗らない行事の一つである。皆が一同に集まり、なにかを話し合い、そして何か決め事をする。もしくは発表をする。これに関しては私はとても苦手分野である。
「マナさん。この会合って本当に行かなければいけないんですか?」
「勿論ですよ。相応の理由があればいかない場合もあるかもしれませんが、相応の理由などそうそうありませんから。」
日本にいた頃もそうだ。会議となると突如お腹が痛くなる。果たしてそれが仮病なのか本当にたまたまなのかはさておき、とりあえずトイレに駆け込むのだ。私としては別に遅刻はしていない。実際15分前には全員が席に着いていた。だが私は決まって2分前に会議室に入る。相当白い目で見られていたと自覚はある。
「まぁともあれ決まったことであるなら行かざるを得ないですね。」
私は面倒なことを好まないのだが、それでもせっかく作った自動車を使わない訳には行かないのだ。今回の会合開催国である王都直属第四都市のメイシェルト国は位置関係的には隣国である。さほど遠い訳では無い場所なのは幸いだ。
「私の準備は整っています。ソータ様の準備ができ次第出発致しましょう。」
そう言いマナは相当大荷物を持っている。収納魔法でしまえばいいものをと思ったが、マナが無属性魔法を使っているところを今のところ見た事がない。となるともしかしたら適性がないのかもしれいと私は感じた。
「荷物しまいましょうか?」
「大丈夫です。ご心配には及びません。」
良かれと思って手を差し伸べたのだが、軽く拒否されてしまった。何か隠し事でもあるのかもそう思ったのだが、単純に本当に大荷物では無いのかもしれない。
「私も大丈夫です。早速出発致しましょう。」
出発の準備を整えた私は、完成したばかりの自動車の前に立ち、その外観を眺める。出来はとても良いというものだ。特にこれといった失敗も何も無い。大成功な代物である。
「その荷物はこの後ろに乗せてください。」
私はそういいながら、完成した自動車の後ろの扉を開け放つ。知っての通りトランクルームである。荷物が思いっきり詰めるよう、トランクルームは大きめに作成していた。
「まさか、このトランクが満杯になるとは。。。」
マナの荷物と私の荷物を足してトランクに詰め込むと、大きめに作っていたトランクルームはあっという間に満杯になり、ギリギリ全て詰め込める程の量であった。
「どんだけ詰め込んだんですか。」
私は荷物の多さに少々呆気に取られながらも、荷物自体は全て自動車に乗っている為、良しとした。そして、あまりゆっくりはしていられないと、私は荷物を積み込むと、速やかに運転席へ座った。
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。」
マナは初めて見る乗り物に、興味を示しつつもやや恐がっているようで、恐る恐る車内に入ってきた。早く出発したい所ではあるのだが、これでは余分な時間がかかってしまうなとそう感じる。
「マナさん。恐がること無いですよ!さぁ!行きますよ!」
私がマナに対しそうなだめても、恐がる様子は一向に治る気配はない。初めての物や、自分の知らないものに関しては不安に感じてしまうとの事だが、それも仕方ないのかもしれない。
「乗りましたね!ではこれが安全のベルトです!これをこうやって伸ばして、、、・・・。す、すみません。そして、ここにカチッという音が鳴るまで押し込みます。」
シートベルトについて説明をするためとはいえ、マナに覆い被さるような行動をしてしまった。とても距離が近い?とても意識してしまった。今まで意識したことなどほとんど無かったが、国王にからかわれてからというもの少々気になってしまっている自分がいた。
「いかんいかん。邪念はダメだ。」
私はその感情を1度振りほどき、この自動車がしっかりと動くのか、動作に問題や、魔力飽和の危険性はないかなどを身を呈して確認した。自動車を発信させる時と同様に、ブレーキを解除し、そしてアクセルを踏む。そのアクセルを踏む動作に魔力を注ぎ込む。すると自動車はゆっくりと走り出した。
「おぉ!!上手くいってる!!上手くいってますよ!」
「す、すごいです。。。すごいですけど。。。」
マナは相変わらず少し怯えている。初めてのものに対してここまで恐がるとはマナもまだまだ幼いところがあるみたいだ。普通初めてのものとなれば、楽しみでは無いだろうか?日本とは違う風潮があるのかもしれない。
「マナさん!!大成功です!!乗り心地どうですか!!振動全然来ないですよね!」
「・・・・・・・・・は、はい。。。」
マナは慣れるまでに少し時間がかかりそうだと私は悟った。以外にも臆病な一面があったマナであったが、私が会話を投げかけるうちに、自動車を走らせて行くうちに、次第に慣れてきたのか普通に会話ができるようになって来ていた。
「何故この乗り物はこんなに振動が少ないんですか?」
「それはサスペンションをいいものを入れているからさ。」
「さす・・・ペンション・・・???」
思わず異世界にいることを忘れたかのように用語で返してしまった。確かに乗り心地を追求するために私は独立したサスペンションを組んだ。そのサスペンションには相当なゆとりを持たせてある。多少の段差では車体を揺らすことはないと言える程だ。
「難しい話は分からないですよね。ごめんなさい。簡単に言えば、クッションを地面とこの乗り物の間に挟んでるみたいな感じです。」
私ができる限りわかりやすく説明すると、マナは少し悩んだ表情を見せたあと、何となくうっすらと分かったかのような表情を向けてきた。今はそのぐらいの理解でいいと感じる。
そうこうマナと話ながら、定期会合の行われるメイシェルト国までの道のりを走り抜けていく。




