第6話 強敵討伐
「俺に食らわせた毒のダメージの何倍もの痛みを、お前に味わわせてやる。」
初心者向けの森ではなかったのだろうか。 "宿りの森" という名前とは似て似つかない魔物が、現に現れているではないか。
だが、この魔物のおかげで大層な知識と、失敗からなる成功を得れそうだ。感謝の印も兼ねてそれ相応の攻撃をお見舞いしてやろうと思う。
「厄介な毒に関しては大丈夫だろう。こいつの攻撃は毒だ。だが、俺はまだ打撃に弱い。一度食らって耐性をつけたいぐらいだが・・・。危ない橋を渡るのはやめておこう・・・」
スキルは使いようだ。使用者のセンスと頭脳がものを言う。つまりは、格上の相手であっても戦いようによっては勝てるということなのだ。いい世界に転生できたと感じる。
「目を潰してやろう。見えなくなれば攻撃の正確性も欠けるであろう。」
投擲術スキルを過信している訳ではない。投擲術だけでは弱いスキルと言えよう。私が狙ってるのは投擲術に付随して使用出来るスキルのレベル上げだ。
私は近くの石を、弓道の如く狙いを定めて放った。
「ダメだ。目を狙ったが外れた。」
狙いを定めたと言っても、相手は生き物。まして魔物だ。的が動いてしまえば狙った箇所はズレる。無理もない話だ。
「ピロリン!」「ピロリン!」
スキルのLvアップの音がした。
「お!スキル:標的(物理)とスキル:正確性(物理)か。これは期待ができるぞ。」
私の狙いであった投擲術スキルに付随して使用出来るスキルのレベル上げは上手くいったようだ。
私はもう一度目を狙って石を投げた。
「よし!目に当たった!相当痛がってるではないか。いい気味だ。」
今のうちに次の攻撃を仕掛けるべきだろう。目が見えなくなれば、皆パニックを起こす。暴れるのだ。それは危険だ。手当たり次第に攻撃をする。これでは守ろうとしている少女も危険だ。
「力一杯に心臓を狙って・・・。」
自分でも思う。素晴らしいコントロールだ。綺麗に真っ直ぐ自分の狙い通りに投げることが出来た。見事と言って良いほど綺麗に貫通し、心臓と思わしき部分をくり抜いた。
「倒れないか。場所が違ったか。であれば・・・」
私は今出せる最大限の力を拳に集め、一点集中で素手の打撃をお見舞いした。
「おー。魔石化した。これが戦利品と言うやつか。長い戦いだった気がする。」
「ピロリン!」
見事討伐に成功した。強い魔物であったが何とかなるものだと少々呆気ない感情だ。
「大丈夫か?君。"にゃまえ"はなんて言うんだい?」
不覚だ。とても不覚だ。噛んでしまった。実を言うとあまり子供は得意ではない。特にこの歳頃は・・・・・・。
「おじさん強いんだね!ありがとう!助けてくれて」
満面の笑みで私に抱きついてきた。
このフレンドリー感。私の性格とは真反対に等しい。
つまり、分かち合えないのだ。
一つ言わせてもらおう。私はおじさんではない。まだまだピチピチである。
「離れろ!暑苦しい。親はどうしてる。一人でこんなに所に来たら危ないだろう。怪我はないか。」
「怪我はないよ。でも怖かった。お母さんがここの森は安全だって言ってたから。。。」
まさか親が自らの手でここに行かせたというのか。
何とも注意散漫な親だ。顔が見て見たいものだ。
「あ!私マナっていいます!18歳です!」
「そうか。マナ18歳ね。ん?じゅ、、18歳!?!?!?!?!?」
【今回の登場スキル】
★標的(物理)Lv5・・・念じた狙い通りの場所に物理動作ができる。
★正確性(物理)Lv5・・・対象物の特定の部位を狙った場合、その部位に正確に物理動作ができる。
★腕力Lv5・・・腕力を使う動作にてその力を最大限に強化する。