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第52話 食料配布

「悪いが、残っている技術者を全員集めてくるように言ってきてくれ。」


「分かりました。」


私はイズラート国復興に欠かせないものとして、技術者の力が必要であると感じている。イズラート国の収入源は"工業"である。技術者達の知恵を駆使して、今までも様々な発明・開発を行ってきた国だ。その実力は王都にも匹敵する程である。


「技術者に最高の職場を与えなければならないな。今はとりあえず王都からの支援金がなければ国すらも保てない。その現状を打破するために奮闘しなければ。。。」


私はありとあらゆる構想を頭に浮かべ、否定来ては浮かべてを繰り返した。技術者の招集にも多少の時間はかかるだろう。その間に私がすべきことは食料の配布である。


「国民に元気を取り戻すべく、食料を安定させなければならないが、食糧の自給は少し後回しだ。」


私は食料配布のために街に出た。ここでふと連絡手段がないのが困ると感じた私は、魔法作成を試みる。簡単な魔法であれば簡単に作れるものだと思うが、どうだろうか。


「テレパシー。。。意思疎通。。。まぁその手の会話系魔法だよなぁ。。。試しに作ろうと思ったのだが、どうも作れているようには感じない。何故だろうか。」


私もまだこのスキルについての全貌を知らない。どこまでの範囲で魔法が作成できるのか、私がとても知りたいものである。


「仕方ない!とりあえず配りに行くか!」


あまり考えている暇は私には無い。食糧配布しながらでも、十分作成する時間も考える時間もある。私は千手観音の如く、それですら手が足りないほど走り回った。中には食料に困り果てた家庭も、もはや数日間食べていないという者までも居た。


「ふぅ。。。収納魔法があってよかった。こんな大荷物、日本じゃダンプカーが必要だぞ。」


私はそんな便利なようで便利でない元の世界の愚痴を呟きながら、残っている家に食糧を配布しに足を動かす。


「そろそろマナと連絡を取りたいところだが。。。」


私は魔法作成について様々な方向性、視点から考えたのだが、最終的にある1つの可能性にただ取り着いていた。


「やはり無属性魔法の作成はできない説が有効だなぁ。」


私が作成した魔法は"闇属性魔法"であった。つまりは属性がハッキリしている属性魔法を作成したのだが、それは想像がしやすい。属性がはっきりしている分何をどのようなイメージを持てば良いかが分かりやすいのだ。だが、今回は意思疎通を行う通話のようなものだ。属性がない。つまりは、"無属性"なのだ。


「作成する魔法について想像する正確さが足りない可能性も全然ある。まだ諦めてはダメだ。」


私は再度試してみようと奮闘する。今度はまず何をしたいのか、どのような効果なのか、など細かい観点をみるようにした。


「まるで通話のような。通話と言えば電話・・・。電話線で繋がってて。。。つまり、電線で・・・線で繋がっている。。。」


何かが私の脳内に入ってくるような感覚と共に、新しい魔法を覚えたと何故かわかる感情二見舞われる。少なくとも、魔法作成は成功したと何故かそう感じる。これもスキルの一環なのかもしれない。


「意思疎通系の魔法が作成できたのか。。。。?」


私はあまり自分の身に変化がない事に不思議さを感じながら、試しにとマナに向かって脳内で話しかけてみた。


「マナ。聞こえるか。聞こえたら返事してくれ。」


口に出してから気がついたが、返事をすることはできないと思う。私自身の魔法で脳内会話を行うならば、相手にも相手自身の魔法で脳内会話を行う必要があるだろう。つまりは、相手も魔法を使えなければ会話ができないという訳だ。


「はい。やっと連絡取れました。もう皆さん集まってますよ。」


ちょっとお試しのはずだったが、どうやら成功している様子であった。私は、無属性魔法が作成できた事。脳内で会話が行えている事。そしてなによりも、マナから返事が来た事。これらすべてが同時におこってしまえば、私は一体どれに対して驚きを表したら良いのだろうか。


「え、凄い。会話出来てる。マナさん脳内会話出来るなら言って下さいよ。」


「いえ。私は使えませんよ。恐らく、会話相手には同様の動作で会話ができるようになっているのだと思います。」


何とも都合のいい魔法だ。これは高水準な魔法を手に入れたと言える。私としても、連絡手段には困っていた。ここで任意の相手に対し、脳内で会話を行う事が出来るのは、電話よりも保護されているというものだ。


「突然話しかけられてもよく驚きませんでしたね。」


「もうお忘れですか?私のスキルの事を。悲しいです。」


そう言われて見れば、スキルの効力に『未来を見れる』というようなものがあった。これはとてもじゃないが恐ろしいものだ。味方でよかったとそう強く思うほどだ。マナを怒らせたりでもしたら・・・私は怖気付いた。


「こんな会話している暇は無いです!ソータ侯爵!もうみんな集まってます!!」


マナが声を荒らげる。荒らげると言っても優しめのものだ。声には女性らしさが十分に残っている。


「あぁ、残り一軒食糧配布が終わったら直ぐに戻る。」


イズラート国の復興に欠かせない"技術者"の新たな職場を作ることで、このイズラート国の今後の未来を作り上げていくだろう。そう思いながら私は次のステップへ足踏み入れるのだ。

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