第45話 謎の暗黒
Aランク試験の真っ最中である私は、あまりの量の魔獣に怯みかけたが、魔導書に載っていた魔法により数を減らし、今の自分で倒せるほどのレベルまで下げた。
「この量ならいけるはずだ。」
私は試験官である所長のシュタイズのことを忘れ、目の前の魔獣めがけて一目散に突っ走った。この時私はどのような攻撃で相手を倒すかを考えずに突っ込んでいた。私とした事が失敗であった。
「おぉっとあっぶねぇ!!」
目の前は数メートル先すらも見えない暗闇。ただ、魔物探知には反応してくれている。その魔獣から放たれたであろう攻撃は暗闇から突如現れた。私が避けなければ、恐らく殺られていたであろう。これもスキルのおかげのようだ。
「防御魔法は常に張っといた方がいいのかもしれないな。」
私は魔導書にあった、持続性のある防御魔法を使うことにした。結界魔法とは少し違う魔法だ。持続性がある代わりに防御性能は少し劣る。だが、攻撃の威力を和らげさせることが出来るのは事実だ。私は持続型の防御魔法を使用して再度走り出した。
「まだまだ多いな。毒と雷は耐性があるが他には耐性を持っていない。どうしたものか。」
私は魔獣の攻撃の威力よりも、その攻撃の属性に耐性があるかないかを真剣に考えていた。私が今持っている耐性は毒と雷の二種類。どうにかして耐性を増やしたいところではある。
「あ。そういえばいいのがあった気が。」
私は過去に耐性をつけた日のことを思い出した。過去二種類とも、耐性をつけた時は何かしらを食べていた。幸い魔獣の肉を食べることの出来る"魔獣食"というスキルを手に入れていた。
「周りに魔獣がいる中で食べるのはちょっと危ないよなぁ。。。どうしたものか。」
私は考えながら、暗闇から飛んでくる攻撃を華麗に交わす。流石は上級以上の魔獣である。弱っていても一つ一つの攻撃は相当な威力だ。
「ともかく先が見えないのは辛いな。辺り一面を明るくする魔法が魔導書に書いてあった気がするな。」
私は再度魔導書のことを思い出す。我ながら冷静に攻撃を避けながら考えていると思う。これも一種のスキルなのかと思ったが、そんなスキルを得た記憶は私には無い。
「思い出した!確か魔法名は『明界』だった気がするが。」
私は魔導書に記載されていた、辺り一面を明るくするような魔法を思い出した。私はそれを早速繰り出そうと念じる。
「あれ???魔法が発動しない??」
今まで通り念じ方で特に変わったことはしていない。今まで魔法を発動させた時と同じような感覚も感じられた。それでいて、当たり良いは尚も先が見えない程の暗闇である。魔法が発動しなかったとは思えない。
「他に何が原因があるのか???このどんよりとした空気も関係しているのだろうか。。。」
私は様々な可能性を考えた。明るくする魔法で明るくならなかったのだから、それはつまりこの暗さは明かりがなくて暗い訳では無いという訳だ。それに、暗闇は徐々に見える範囲を少なくして言っているような気がした。
『ピロリン!!ピロリン!!!』
思わぬタイミングのスキルレベルアップ音である。特にスキルを使った覚えはないが、何が更新されたのだろうか。
「スキル:魔素耐性とスキル:攻撃察知。。。?なるほど、気が付かないうちに色んな事をしていたのか。」
過去の私も色々と気が付かないうちにスキル解放をしていたが、何れにしても戦闘を行うことで新しいスキルが手に入るのは確かだ。戦闘はもっと沢山やった方がいいのかもしれない。
「にしても魔素耐性。。。?なんで今魔素耐性なんて。。。ああぁ!!!!そういうことか!?」
私は大いに納得のいく答えを導き出した。数メートル先すら見えない暗闇。魔獣に近づくにつれて見える範囲が縮む事。謎にどんよりと重いそんな空気。この部屋は"魔素"が充満しきって居るのだろう。
「やっと理解が出来た。魔素か。検討外れにも程があるぜ。」
この部屋は魔素とやらが充満し、その濃さ故に辺りを暗くどんよりと重いものに変化させていた様だ。部屋に入った途端、確かに重い空気を感じたが特に気にならなかったのだが、私も何かがいかれているのかもしれない。
「そうと分かれば、魔素を消せばいい訳だな。確か魔導書にそんな記述をしている文章を見つけたんだが。」
私は魔素を浄化するような、そのような魔法がある事をしっかりと学んでいた。学んだ魔法の名前は『魔素明晰』である。いかにも消し去ってくれそうな魔法だ。思い出してすぐに魔法を繰り出した。
「ひ、、、ひっろ広!?!?!?!」
魔法により魔素をほぼ全て消滅させた後の目の前に広がる景色は、東京ドーム幾つ分等では表せないほどの広さであった。あまりの広さに驚愕するが、その間お構い無しに攻撃を撃ち込んでくる猛者が1頭いる。
「あいつがいちばん厄介そうだな。できれば先に仕留めたいところだ。」
魔獣との距離はそれなりに縮んだが、それでもまだ少しある。周囲には最初の攻撃で息絶えたであろう魔獣が転がっていた。
「ほほぉ。。。美味しそうな肉が落ちてるじゃん?」
私の頭の中は、既にスキル解放のことで一杯であった。幸い魔獣食スキルは不味さを感じさせない。頬張ることが出来るのだ。そこに攻撃察知スキルが加われば、私が死んだ魔獣の肉を食すのに邪魔をするものは居なくなる。
と、私は自分の周囲に倒れている魔獣の肉を口一杯に腹一杯に頬張っては逃げてを繰り返す。
【今回獲得スキル】
★魔素耐性Lv5・・・魔素を浴びた事による吐気・目眩・倦怠感等の症状を無効化する。
★攻撃察知Lv5・・・見えない相手からの攻撃や視界に入って居ない攻撃に関してのみ、攻撃を察知できる。




