第26話 真相真偽
私はこの盗賊達に時間をかけるのは気が乗らなかった。手早く済ませようと、辞書で見たとある魔法を実際に使ってみた。
「呆気なく終わってしまった。だがこの魔法案外使えるぁ。」
私が使った魔法は"睡眠"。5つ以下の対象を眠らせることができる。という魔法だ。この時の5つ以下の対象は、3人。初めては1人相手にやってみたかったが、一か八かで使ってみた。案外上手くいくものだ。
「さて、縄でも縛り付けといて叩き起しますか。」
私は3人の賊の武器やその他攻撃手段、金品類を外し遠くに置いた。そして馬引きが持ち歩いていた縄が切れた時用の縄を使い木に賊を括りつけた。
「おい起きろーー。色々聞きたいことがあるんだ。」
私は賊に声をかけた。だが睡眠魔法はどうやら強力らしい。なかなか起きない。痺れを切らした私は少々強引に賊を起こした。
「ぐああああぁぁぁぁ!!!や、やめろ!!!」
「やっと覚めたか。もう待ちくたびれたぞ」
私は3人に電気魔法を打ち込んだ。全ての適正がある為とても自由だ。好きな時に好きなような魔法を使える。なんとも便利だ。
「イテテテ。。。な、なんだ。いつ負けたんだ?」
賊は一定時間何が起こったのか分からない様子であったが、自分たちが捕縛されていることにすぐに気がついたようで、自分たちが負けたことを理解した。
「約束通り、誰の差し金で我々一行を狙ったのか吐いてもらおうか。」
「チッ。領主だよ。。。」
領主?領主ていうのは、暴君の事か?暴君は国王であり、王都の領主だ。だが、そんな自らの手で自らを襲わせる?そんな馬鹿げた話があるというのだろうか。
「領主??バゼル国王の事か?」
「ちげぇーよ。イズラート国の領主。アイザス侯爵だよ。」
私はそれを聞いて虚偽感知のスキルが反応しないかと期待した。だが反応はしなかった。どうやら本当のようだ。まさか王都に属する一国が王に反逆するとは、私でもわかるがこれは立派な反逆罪になるだろう。
「今の話は聞かせてもらった。その話、本当であるならイズラート国は野放しにはしておられん。」
いつにも増してバゼル国王が真面目な顔をしている。普段のあの暴君らしさは少しも残っていない。私も社畜をしていたがその経験からしても分かる。やはりバゼル国王はできる奴だ。公私の区別をハッキリとさせている。素晴らしい。
「国王。この者らは雇われです。国王一行を襲った罪は重いですが、本職ではそれ相応な実力者であるかと思います。少々殺すのは勿体ない気もします。」
自分でも何故このよう提案をしたかがよく分からないが、私もバゼル国王達との戦闘訓練で敵の実力をスキルなしでもある程度理解できるようになっていた。
「そうか。であれば捕虜にしよう。いつか使える時が来るかもしれない。封印魔法と呪印魔法をかけておけ。」
"封印魔法"と"呪印魔法"だと。。。?辞書でも確かにその記述はあった。だが私には到底理解ができなかったものだ。その魔法を使える者がいるとは驚きだ。
「かしこまりました。只今実行致します。」
私は再度驚かされた。国王の命令に対し了解したのはお世話になっているメイドさんであったからだ。
「まさかメイドさん。実はめちゃくちゃ強いんじゃないだろうか。。。」
私はメイドさんを目で追いながら、そのような事を一人呟いていた。そんなことはお構い無しにメイドさんは約20人もの盗賊達を手際よく魔法をかけ捕縛している。
『封印せし者よ。余の名を奪い、その名を返す日まで封印せよ。』
相変わらず辛辣なメイドさんに似合う詠唱魔法だ。秘書にピッタリであろうに国王は勿体ない。
「詠唱魔法。かっこいいですね。にしても約20人もの人間にそんな魔法使っても魔力持つのですね。」
「メイドです故、何時いかなる時も万全の体制です。」
返しが先読みしすぎて返しになっていないように感じるが、だがそれでこそメイドさんであり、何処と無くメイドさんが言いたいことも分かっている自分が最近成長したと感じる面の1つだ。
雇われていた約20人もの盗賊達は、本職はイズラート国の国防を務める所謂騎士たちであった。普段は馬を乗り物としているそうだ。だから妙に反応速度が鈍かったのだろう。それに忘れてはならないもう1人の盗賊。回復術士だ。
「回復術士に関してはどう思いますか?メイドさん」
「彼は回復術士ではありません。魔導師です。」
魔導師?回復役であったが、魔導師だと?魔導師と言われるとイメージするのは高等技術のある魔法遣いのベテランといったところか?それも見極められるメイドさんは果たして何者なのだろう。
「魔導師ですか?回復役でしか働いていなかったように思いますが。」
「落とし穴を作る土魔法。その落とし穴を表面上見えないようにした隠蔽魔法。落とし穴の上に重さや衝撃などの何らかの変化があった時にその隠蔽魔法を解除する条件魔法。彼は様々な魔法の遣い手かと。」
なるほど、言われてみればその通りだ。確かにそのような節がある。あの落とし穴は普通の落とし穴では無い。面白いでは無いか。
「言われてみればそうですね。流石メイドさんです。」
「それともう一つ。。。恐らく彼は無詠唱魔法適正者かと思われます。」
【異世界ちょぴっと豆知識】
平々凡々な異世界には大きく5つに分けられる生体がいる。
『モンスター』『魔物』『人類』『植物』『細菌類』の5つである。
★モンスター★
『モンスター』は魔力を持たない。基本的に温厚な性格なのがほとんどであるが、極一部は攻撃的で獰猛なものもいる。魔力を持たない為、属性攻撃はしてこない。全て物理攻撃となる。
[モンスターのランク分け]
強
⬆
・極級モンスター
・超上級モンスター
・上級モンスター
・中級モンスター
・下級モンスター
⬇
弱
★魔物★
『魔物』は魔物の中でも更に3つに別れている。
『魔物』『魔獣』『魔族』である。ここに『魔竜』を加えて4つに分ける場合もある。また、『魔族』は進化することがあり、『魔族』の上位種が『魔人』と称される。
基本的に生命力は持たず魔力を保持し、攻撃は物理攻撃と属性攻撃を得意とする。人類と同様に属性の適性があり、『魔物』『魔獣』『魔族』に関しては、特定の属性しか扱えない。
『魔人』に関しては、知性が大幅に向上していることから、魔法を扱うことが出来るため、使用出来る魔法・属性に制限はない。ただし、人類同様に適性の有無が存在する。
[魔物のランク分け]
強
⬆
・神話級魔物・魔獣・魔族
・天災級魔物・魔獣・魔族
・超極級魔物・魔獣・魔族
・極級魔物・魔獣・魔族
・超絶級魔物・魔獣・魔族
・超上級魔物・魔獣・魔族
・上級魔物・魔獣・魔族
・中級魔物・魔獣・魔族
・下級魔物・魔獣・魔族
・上位魔物・魔獣・魔族
・中位魔物・魔獣・魔族
・下位魔物・魔獣・魔族
⬇
弱
★人類★
『人類』は"人種"が存在し、その土地の気候や平均気温、災害等に左右され変化する。生命力を保持し、人によっては魔力も保持する。人類は非常に知性に長けている為、自分の保持している魔力を使用し、魔法を扱うことが出来る。ただし、適正の有無があり、適正がない者は魔法を扱えない。
基本的に人類は討伐対象にはならない為、ランク分けは存在しない。ただし、盗賊・山賊・海賊等の人類としてあるまじき行為をする者を捕縛する依頼は存在する。
★植物★
『植物』は人類と同様に生命力を保持し、その土地の気候や平均気温等によって性質が異なる。物によっては先天的な魔力を保持し、回復薬や筋力増強等の特殊効果を発する。また、希少性のある植物が存在し、植物の採集依頼などは日々絶えずに存在する。
★細菌類★
『細菌類』は植物とは違い生命力を持たない。後天的且つ強力な魔力を保持し、生物にとっては害となる後天的な特殊効果を発する。反対に、細菌類同様生命力を持たない『魔物』に関しては、回復薬や攻撃力強化などの先天的な特殊効果を発する。
人類は、高度な知性により極一部の細菌類においては、上手く使用し植物よりも高性能な薬品を作成できている。また、人類によっては、細菌類から耐性を得ることが出来る程、魔力量が多い者も実際に存在する。




