第21話 魔獣との決闘
剣を強く握り締めた私は、目の前に立ちはだかる雷使いの魔獣に一太刀喰らわせようと突進した。
「剣術を磨いていてよかった。魔獣相手でも視線の予測はできるみたいで助かったぜ。」
剣術を使うということは至近距離での近距離戦になる。つまり、視線予測のスキルが大いに役立ってくれる。このスキルは様々な場面で活躍してくれている。
「だが、やはり敵も上位なだけある。なかなか手強いというものだ。相当手練だな。」
私の剣は悉くさばかれてしまった。相手も戦闘には慣れているようで、私の動きを良く見ていると言ったものか。
「だが、身体強化した後の人間の瞬発力にその巨体が追いつくかな?」
私は素早い動きで、魔獣の後ろに周ると同時に、大きく剣を振った。剣は魔獣の背中を切った。
「切れた!切れるとは思っていなかったが。」
魔獣にダメージを与えられただろうか。見た目はしっかりと切り傷をつけたのだが、魔獣の動きは鈍るはずもなく、寧ろ怒りを含む攻撃になってきた。
「魔法の練習もしたいが。あの本の防御魔法を試してみるか。」
私は魔獣から距離を取った。距離が開くと予想される行動パターンは突進かブレスのような遠距離攻撃の二択が主流だ。恐らくそのどちらかを仕掛けてくると私は睨んだ。
「よし。警戒スキルは物理攻撃を警戒しているようだ。突進が来るだろう。であれば突発的な力に強い防御魔法にしようか。」
私は辞書にあった防御魔法の中で、物理攻撃特化の防御魔法を自分の前に置いた。
魔獣は大きく助走をつけるかのような動きを見せた。
「よし。予想通り。受けてやろう!その攻撃!」
私の予想は外れた。魔獣が放ったのは正しく雷撃攻撃。物理攻撃特化の防御魔法では、反対に属性系統の防御は出来ない。
「嘘だろ・・・。」
私はまたもスキルを過信した。過去に一度犯した過ち。自分のスキルと自分の強さの過信。私は自分自身に怒りを感じた。
目の前が真っ白になった。私はまた負けるのだろうか。
⟬ 我が令を以て命じる、かの者を万物より守護せよ ⟭
「あれ。生きてる。」
私は何が起こったのか分からなかった。だがそれも一瞬の事であった。なぜならすぐ隣に、見慣れたメイドさんが立っているからである。
「え。え?え。」
私は困惑し、動揺し、そして言葉を失った。
助けられたということを理解するのにそう時間は必要ないだろう。私はメイドさんに助けられたのだ。
「今のは詠唱魔法。。。」
ピロリン!ピロリン!
スキルのレベルアップ音に私は現実へと引き戻された。
「すまない。助かった。」
私は礼をゆうなり、しりもちをついていた身体を引き起こした。
「ダサいところを見られてしまったじゃないか。これは感謝してもし切れないな!魔獣さんよ!」
私は今までの自分のミスを省みながら、ありとあらゆる可能性を踏まえながらまず攻撃を喰らわないことに意識を向けた。
「雷や電気の弱点で定番は水分。水だ。果たしてこの世界はそれが通用するかな。」
私はダメ元で地面にやや大きめの穴を土属性魔法を駆使し作った。その中には水を満たしてある。
「結構早く使う時が来たなぁ。あの辞書ももっと熟読しなければ。」
先程のスキルのレベルアップで面白いスキルを獲得としていることに私は気がついた。それは"スキル:殺意"。
「へぇ。特定の相手に対し"殺意"を感じさせる。ただし、上位以上のモンスターや魔物には"威嚇"と同等になる。なかなか使えそうではないか。」
私は魔獣と自分の間に落とし穴が来るように、直線上の位置に立ち、殺意を発した。生憎相手は上位魔獣。威嚇にしかならないが、上手く行けば突っ込んできてもらえるだろう。
「上手くいってくれ、元からダメ元ではあるがな。」
今回は運が味方をしてくれたようだ。文字で表すのであれば今の魔獣は"一心不乱"だろうか。周りが何も見えていない。ただ私目掛けて突っ込んでくる。
「これは少々まずいな。このスピードで突っ込まれたら運が悪ければ穴に落ち兼ねる、、、。」
私はなにか手段はないかと模索した。魔獣はもうすぐ穴に差し掛かる。スピードを下げるにはどうする。
私は突発的な行動に出てしまった。
「標的・・・腕力・・・投擲術!!!」
私は魔獣の目をめがけてたまたま見つけた鋭利な石を投げた。魔獣の目に見事に命中し、突如前が見えなくなった事と激痛に混乱した魔獣は驚きのあまり突進を緩めた。
「よし。タイミングもバッチリ。このスピードなら大丈夫だな。」
相手も上位の魔獣だ。一時的に怯んで、スピードを緩めたが、すぐさま走り出した。流石だと言える。
そして、少し経つと私の視界から魔獣の姿が下に消えた。
魔獣の声は思ったより高く、劈く呻き声が周囲の生物の聴覚を一時的に消失させた。
【今回の獲得スキル】
★殺意Lv5・・・特定の相手に対し"殺意"を感じさせる。ただし、上位以上のモンスターや魔物には"威嚇"と同等になる。
★動揺Lv5・・・自分自身が動揺している分、勇気へと変換する。




