第10話 転生騎士エクスカリバー
「 "転生騎士エクスカリバー"?その話、詳しく教えてください。」
転生騎士か。過去にも同じような転生者がいたとすればこの物語も実話をモチーフにしているはずだ。
「この話は短編物語です。表面上のことしか記述されてないんです。面白いかどうかは分かりかねますが、それでも宜しいでしょうか?」
「お願いします。」
私はとてもその話が気になる。もし、過去にも転生者がいたと裏付けるような話であれば、この世界に現存している転生者もいる可能性があるという訳だ。
『 転生騎士エクスカリバー 』
『ある霧の濃い山岳地。そこに1人の騎士とその仲間達がいた。彼らは、突如現れ、今まで未発達であった地を開拓し、魔物で侵された地をも駆逐して、新たに土地を開いたと言われている。
そんな彼らが今、最終決戦の道、魔王討伐への道を一歩一歩進めている。彼らに会ったことがある者は皆、口を揃えて同じことを言う。それは「彼等はこの世界の人間ではない。」である。
本人達はこの世界の人間だと言っていたようだが、会ったことのある者はそれを信じず、皆、この世界の者ではないと言うのだ。
そして、最終決戦の日。彼等と魔王軍は猛烈な戦闘を繰り広げていた。戦闘は3年続いたと言われている。その3年間、常に闘いは絶えず、山岳地は壊滅的な状態であったと近くの村の者は言う。
最終決戦が始まってから3年後、大きな魔法と共に闘いの音がパタリと止んだ日があった。その日が終戦の日として記されている。勝者は騎士とその仲間達であった。
戦闘が終わり、近くの村にと戻ってきた騎士とその仲間たち。彼等は皆、疲弊しておりボロボロの姿だったと村の者たちが言う。村の者はすぐさま彼等を療養所に連れていき、治療を行った。
村に着いた時、すでに仲間の数は減っていた。残っている仲間たちも、療養所で次々と命を落としていった。一命を取り留めたのは騎士と3人の仲間だけであったという。
騎士は酷く悲しみ、心を失ったかのように衰弱していた。3人の仲間も同様に悲しみを露わにしていた。
彼等が回復したのは終戦から2年が経った時だったという。その頃には既に村にも馴染み、衰弱し無くしかけていた心も取り戻していた。村に大変感謝していた騎士は御礼にと"とある剣"を取り出してその村の村長に渡したという。
その剣の名は "エクスカリバー" 。騎士は言ったという。騎士本人が名付けたそうだ。
それから月日が流れ、彼等が生きていた時代の人々も徐々に老化し、空へと旅立っていく中で、この話は後世へと受け継がれた。その頃には皆、彼等のことを "転生者" と崇めていたと言う。
こうして彼等の伝説は受け継がれ、今尚 "転生騎士エクスカリバー" として名を残している。』
なんとも面白い話であった。転生騎士と言われるのも理解できる。エクスカリバーという剣の名前にするのは、なんとも平凡だ。だがそれが分かりやすい。恐らく本当に転生者であろう。
そもそもエクスカリバーは私の元いた世界においてのアーサー王伝説の話に出てくる剣だ。別世界であるこの世界が、エクスカリバーを知っているのは少々首を傾げる話だ。
「とても面白い話ですね。因みにそのエクスカリバーは今もその村に?」
「はい。当時の村は、今のイズラート国です。この物語が実話であるなら、エクスカリバーも恐らくそこにあるでしょう。」
これはいい話を聞けた。国王の護衛の仕事を終えたら、イズラート国に足を運んでみるとしよう。
「高木様のお部屋はこちらです。どうぞごゆっくりおやすみ下さい。」
「ありがとうございます。アリスさん。」
「いえいえ、お気になさらずに。」
本当に国王には勿体ないお方だ。変わりに私が貰ってあげたいくらいだ。
「さ、そんな冗談はさておき、今日はもう寝るとしよう。」
転生してからまだ1日も経過していないことに少々驚きつつも、疲れが溜まっていたこともあり私はすぐに深い眠りへと吸い込まれた。




