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俺と猫のおはなし  作者: インリバー
二章
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9、魔王の章 俺の納豆被害

すみません。体調を崩していました。再開します。

前にも言ったかもしれないが、まさかここまで納豆に影響を及ぼされる日が来ようとは俺は夢にも思わなかった。


朝の納豆による腹痛から今に至るまで、こんな納豆に塗れた1日を送る事はもうないと信じたい。とんだ納豆被害デーである。


いくら臭いものがうまいとはいえ、納豆でデコレーションされる趣味は俺にはないのだ。


デコレーションされているのは俺だけでは無く、

木造のこの部屋全体であった。


入る物語間違えただろうか?◯魂じゃ無いよな此処?視力の悪いクノイチなんかも出てきてないしな?


あの物語以外にこんなにも納豆が出て来る話は聞いたことがない。というか、このラノベは納豆のなの字も出てこない。どういう事だよ?



そんな事を考えているうちにも、時間が経過したせいか随分と部屋に差し込む月光の角度が変化していた。


あんまり光が差し込まなくなって薄暗く見づらくなった室内だが、俺は猫であるのでこの惨事はしっかりと目撃している。夜目が効くって便利ね!


薄暗い室内の中俺の眼前では、納豆や棚の雑貨が散乱し、犬は納豆を食い、そしてハンターが倒れていた。


…ハンターをハントするどころでは無い。明らかにこれはオーバーキルである。倒しちゃったよ、これどうすりゃいいの?



まさかハンターもここまで納豆から被害を受けるとはおもっていなかった事だろう。


オーバーキルなんて単語使っちまったけど、本当に仏さんになってたらどうしよう?この場合はハンター足滑らせ事故だから俺のせいじゃ無いよな?そうだよな?



今日の俺も酷いが、ハンターもここまで納豆に翻弄されるとは思っていなかったろう。敵とはいえ少し同情してしまう。



お陰で運良く捕獲されなかったけどな…こんな状況になってる時点で運が味方なのかどうかは微妙だが、ハンターが足を滑らせたちょうどその場所に場所にチリトリ置いてた&納豆を投げていた俺、グッジョブである。


ハンターには申し訳ないが、俺の本来の目的は足止めであるので無事ミッション達成ってことで良いだろう。さっさとアニキと合流してアニキのカノジョ助けて脱走せねば!


…余裕があるなら、ちょっとハンターの生死は確認しときたいけど、流石に死んでは無いだろうし。死んでたら後味悪いしなぁ。ハンター大丈夫だろうか?


そう考えハンターの様子を伺おうとした時だ。隣の部屋から2つの毛の塊が凄い勢いでこっちにすっ飛んできた。黒いから片方はアニキだろう。



2匹は部屋の入り口で急停止した。

まあ納豆散乱した部屋には入りたく無いよな。わかる。



無事2匹いるな。良かった良かった、アニキは無事カノジョを救出できた様である。俺が体を張ったかいあった!



よし、じゃあ逃げようぜ! 余裕ありそうならハンターの様子ちょっと見てもいいですか!



若干の心配が後ろ髪を引き俺はアニキに向かってそう問いかけた。


しかし返答したのはその横のキツそうな顔立ちの三毛猫である。何故か凄い毛が膨らんでるし…俺のこと睨んでない?



助かって良かったな!!

…お嬢さん? めっちゃ怒ってるよな?

こわいぞ、どうした?



" どうしたはこっちのセリフよッ⁉︎ どういう事ッ⁉︎ アンタ一体なんて事してくれたのよッ!!! "



めっちゃ怒ってんじゃん!

コイツなんでこんなに怒ってるんだ?命懸けで時間稼ぎしたのにこの仕打ち酷くない?



三毛猫は納豆をスルスルと避けながら躊躇う事なくハンターに近づいていった。ん?ハンターを心配してんのか?



俺は入り口から動かないアニキに疑問な視線を投げる。どゆこと?あの猫ハンターに捕まってたんだよな?



" …すまない、俺の早とちりで迷惑をかけた。発情相手(カノジョ)は捕まったわけではなかったらしい。どうも美味いものを此処でもらうため住み着いていたらしく、ソイツをくれるハンターを痛く気に入っていたそうだ。  …申し訳ない。"



なんと、餌付けされとったんか…どうりで怒ってるわけだよ。


"よかった!生きてるわね!" なんて声が聞こえて来るのでハンターも生きてるんだろう。事故だけどな!断じて俺のせいじゃないけどな!



はー、ハンターは敵でもなんでもなかったのか。ハンターが昇天してなくてほっとしたわ。


ハンターの確認が取れたからか、三毛猫はくるりと向きを変え此方にゆったりと近づいてきた。

今度は笑顔である。なにその含み笑顔。怖ェぞ。


" 私の下僕の面倒を見てくれて、どうもありがとう。献上品までこんなにメチャクチャなのもね。‥どうしてくれようかしら? "



んん? …もしや下僕とはハンターの事ですか?

献上品は、メチャクチャ?…納豆のことか? あぁ、成る程。やっと理解できましたわ…


思い返せばどうやらハンターは俺を抱っこしてこの三毛猫に合わせてくれようとしていた様である。すまんハンター!!だって顔が怖かったんだよ!ごめんな!


まぁだがしかし、ハンターが倒れたのは偶然の事故だ。


たまたまチリトリがあって、たまたまその上に納豆があって、たまたまソコによろけたハンターがハンターが足をついて、たまたまそれでハンターが滑って転倒したのである。


転んだ原因は納豆。つまり悪いのは納豆だな!



"…チリトリを置いたのは?"


俺ですね。



"納豆を置いたのは?"


…俺です。



"…ハンターがよろけた原因は?"


…俺が納豆撒き散らしたからです。



"……だったらチリトリが床を滑った理由は?"


……納豆で滑ってたからですね。



" 全部アンタのせいなんじゃないの? "


えぇ〜俺のせいじゃないよ偶然の産物だよ!

狙ってこんな事できるわけないだろ!


そこの犬が証人、いや証犬だ!!俺は納豆撒き散らしただけでハンターを意図的に転倒させた訳じゃない。事故だったんだよ!


弁解をしてもらう為、俺はひたすら納豆を食べていたモサモサした犬を振り返る。


君!見てたよな! 俺悪くないよな!?



そこで、ようやく犬は食事をストップし顔を上げた。


" ンン〜? 君僕とおしゃべりできるの〜?凄いねぇ!初めまして、こんにちわぁ〜 "


オイ、どう◯つの森の住民みたいな話し方するなよ、このモサモサ犬すごくアホそうだな、というのが俺の犬の第一印象である。この犬に事故だったぞと証言してもらうのは難しそうだ。


あの住民に似ててアホそうだからじゃないぞ?食事に夢中で床ばっか見てて、俺のこと見てなさそうだからである。


クソ、ハンターは自爆なのに!そうは思ったが、どう言葉を重ねたところで三毛猫の 絶対俺が悪い という考えは変わりそうになかった。 …俺も納豆の被害者なんだけどなァ!

明日は夜7時に更新します

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