14、魔王の章 俺の名はショウ、ヒロイン枠の黒猫である
カイ君からビシバシと飛んでくる疑いの視線、シビれるぜ……
クソ、そうだよな!客観視すると俺って怪しい事この上ないからしょうがないっちゃしょうがないけど主人公様からその待遇はちょっと傷つく。
そりゃあね、意思疎通ができて自らを使い魔だと言う猫、しかも独り言が多いしその内容も主人公やらストーリーやら怪しい物ばかりとくれば疑わずにはいられないだろう。
説明したところでどうせ眉唾もんだけどな!俺だってまだ現実が100%受け入れられたかと言われればそうじゃないし。
ただ誓って言えることは、確かに俺は本来嫉妬まみれで他人の不幸で飯が三杯ほど食える様なイイ性格をしていたとしても、今の俺にはウソはつく事ができない、と言うことだ。
思っている事がダダ漏れになってしまう、もう俺の羞恥などもみんな周知されてしまうというワケである。
羞恥が周知ってか?こんな親父ギャグも含めてな、全部伝わっちまうこの残念さよ………
俺だって好きで親父ギャグを会話に入れているわけではないのだ。思った事がそのまま伝わってしまうので、親父ギャグなんか思いついたら今回みたいに悲しいことになる。
ほらみてよ?被害はでかいんだよ。
些細なダンディートークでも伝わってるのが全種族だから、ボーーっとしているそこの犬以外は皆んなそんな冷たい目とか遠い目になっているのだ。
何だよハンター位はお情けでも笑ってくれるかと思ったのに。お前は生粋のオヤジ目オヤジ科じゃないのかよ?
…違う、脱線した。ダンディトークはいいんだよ、
つまりはだ。俺は裏も表も何も無いのだ。
まぁ怪しい俺がやってきた丁度その日、村にバンパイアの襲撃があったとあれば、あいつらと仲間なのでは?とカイ君に疑われるのも無理はないけどな。
怪しい、吸血鬼ヨイショヨイショ派だと思うのならばさっきの襲撃について色々質問してみてくれ、まぁ何も知らんがね!
今日散々腹痛には見舞われたが、俺は納豆盗み食いしようとした以外で探られて痛い腹は無いのだ。俺は悪役に便乗する理由もないし。
「それはあくまで、君が本当に心のうちを隠せていない場合だろ?今の言葉、全部嘘な可能性だってあるだろう。…………まぁいい。じゃあ君は何で、どこからきて何が目的なんだ?」
俺は本当は現在は使い魔らしい。きた場所はこの世界の外。目的は、姿を人間に戻して元の場所に帰るため 俺のカケラ とやらを手に入れるって所だろうか。
俺のカケラって言っても俺もソレ、何だかよくわかってないんだけどな……
カイ君は俺をみたままハンターに問いかける。
「……この猫、かなり怪しいので俺が預かっても?」
「預かるも何もコイツは野良じゃから本人に聞いとくれ」
えッカイ君に俺預かられんの?マジで?
俺が危険な目に遭わなそうなら、むしろファンなので感激なんだけど主人公って絶対ピンチに陥る生き物だからさ。それはごめん被りたい。
それにそちらかと言えば、カイ君が俺を監視とかじゃ無くて俺がカイ君を観てたい。
"おい、お前ストーカーだったのか。………だめだぞ、彼は前途有望な若者だ"
"最低〜アンタそんなこと言うなんてカイ君を観る会が黙ってないわよ。私は副会長だから一足先にアンタをシバこうかしら?"
"キミはカイ君が大好きなんだねぇ〜僕もカイ君とおさんぽ大好きだよぉ〜"
「何と!猫までたらし込むとは、カイは侮れんのぉ、…ワシもカイのファンじゃがな!」
オイ!アニキと違って別に俺はストーカーじゃ無いぞ!なんでアニキからストーカーの注意受けなきゃいけないんだよ!
それと カイ君を観る会 って何だよ?そっちの方がストーカーじみてんじゃ無いのか?あと別に俺はお前にはしばかれんぞバーカ!
「オイ黒猫、くれぐれも俺のストーキングはするなよ?…大体俺を観る会って何だよ……………会話の内容が気になる話し方するな……ハァ、もういい。そこの怪しいストーカー、俺と一緒に来い。村の見回りだ。」
ストーカーは俺というよりもそこの2匹だわ!
「あーもう、うるさい うるさい。いいからいくぞ。」
"バカは心読まれてるのに同じ失敗を繰り返して怪しまれるような奴のことよ。アタシじゃ無いわ"
俺はミケからシバかれた後、カイ君に首輪をされてそこから紐に繋がれて村の見回りに参加するのだった。
ミケの教育的指導は、日本で教師が行えば新聞に載る事間違いなしであるとも此処に追記しておこう。ワイルドでしたよ、ええ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
そんな訳で村の見回りに行く、のかと思いきや、俺は校舎裏ならぬ納屋裏にてカイ君に尋問をされていた。
この納屋は丁度ハンターの家の後ろにある窓から見える位置に建っており、あまり人は来ず秘密めいた話をするのにはいい穴場らしい。
さっきバンパイアが窓から落下していった場所に近い為アイツがいたらどうしようかと思ったけど、姿形もないのでそんな心配は杞憂だった様である。
おっ?さっき窓から落っことした俺のチリトリ発見!いらないんだけど拾っとこうかしら……
こんな人気がいない場所で尋問される理由はおそらくカイ君がしたい質問内容を隠したいんだろう。
そりゃあ聞きたい事いっぱいあるだろうよ。俺結構ペロッと色々話した様な気するもんな!
「そうだ。君が察した様にいくつか質問がある。君、使い魔って言うけど、本当に何か魔法使えたりしないのか?」
イヤ、自分そう言うことは出来ないっスね。マジで念話しかできないです。
「なんとなくだけどチリトリからも魔力をかんじるんだけど、話からしてそれも君の持ち物なんだろう?それで何か魔法を使ったりできないのか?」
えェェ?このチリトリそんな力あんのか?これ、まさか俺のカケラじゃないだろうな?
「それはわからないが、目的の物を回収したら元いた場所に戻るんだろう?」
そうだな、これがもし本当に俺が回収したい物ならもう俺はここに用はないからあの部屋に戻りたいかな?戻り方わかんないけどな!
「使い魔なんだろう?その回収を頼まれたご主人はそういう説明…その顔じゃされてないみたいだな」
あのクソババア…本の出方も教わってねぇぞ…
俺は姿を戻す為だけじゃなく、元の世界に戻る為に俺のカケラを本に入って集めている。
だけど、改めて考えると、それはあくまで魔女がいるあのよくわからない所から元の世界へ戻るための力であってこの本から出る為の力じゃないんだよな?
一体どうやってこの本の世界から抜け出せばいいんだ?
というかこれ魔力あるにしても本当に俺のカケラなんだろうか? 判断がつかない………クソババアめ許すまじ…
俺が地団駄を踏み、ババアへの怒りを再燃させていると、話が進まないという表情をしたカイ君が、また質問ターンに入った。
「わからないなら、それが本当にその 俺のカケラ とやらなのかをもう少し調べてみてからにした方がいいんじゃないか?どうせ世界の移動は同じ場所に何度もできる様な物じゃないしな。
それにしても本の世界、と今言っていたけどここは君にとって本の中なのか?それに君が戻りたい所はまさか地球とか日本という名前じゃないだろうな?」
うェェ答え辛い質問だな。確かに俺の出身は日本だけどな。…君が知ってる日本じゃない事は確かなんだよ。
説明が難しい。というか俺はこの説明を主人公にしてもいいのだろうか?してしまったら最後、物語が違う方向へ進むのではなかろうか?
しかし俺の失言が多すぎてもうどうしようもないから説明してしまった方がストーリーはどうであれ俺にとっては良いのかも知れない。
俺の目的はあくまでもカケラ回収と元の場所へ戻る事だからな。主人公カイ君と冒険する仲間はほかにいるんだし。
というかこのチリトリが俺のカケラかどうか調べるってどうすりゃいいのさ
「ストーリーが変わる、なんて言ってるぐらいだ。信じ難いけれど、それが全て嘘でなければ君にとってここは本の国、なんだろう。出身は本の外の日本だから似ているが違う場所ってところか。
それと自分のカケラであれば自分のものだったはずだから引き合うと思う。そのチリトリじゃないのであれば、ウロウロしていたらそのうち出てくるんじゃないか?」
そんな徘徊してればそのうち出てくるかもって何ソレ?ポケットのモンスターGOかよ。甘い香り使って草むらでお目当てのレアポケ◯ン探してる訳じゃないんだぞ。
というかなんでカケラについてそんな知識持ってるんだよ。勇者ってそんな物知りなもんなの?
「元の形に戻ろうとする力を使うのは魔法の基本だろ?いや、君がやってきた世界ではもしかしたら違うのかも知れないけど。少なくとも此処では自分の力だってことなら磁石みたいに寄ってくるはずだと思うよ。元の形に戻ろうとしないわけがないから。」
そうなのか?じゃあ俺はこのチリトリが違った場合、この治安悪めな世界で結構うろつかないといけないのか。うわ、危険!
そして主人公の側なんて、さっきもチラッと考えたけど更に危険地帯なんじゃないのか?早くカイ君から離れた方が良い気がビンビンにしてきたんですけれども………
「……………ふーん。あんまり信じたくないけど、君で言う物語の世界の俺の役割、主人公で勇者なのか……それが本当ならかなり面倒だな」
うわ、失言祭りかよ!
主人公が自分を主人公と認識する話とか、異世界の乙女ゲームの中に入った悪役令嬢ならまだしもこの場合どうなんだ?
「その話ぶりからしても、君が俺を誘導したいんじゃなければ、この後俺がどうなるかきっと君はわかってるんだろ?…………そうだな、君みたいな怪しい猫この世界でうろついてたら人間に捕まってすぐさま見せ物か、実験台だ。だから俺が君を守ろう。監視という名目で良ければだけど。」
え?マジ?なんでそんな優しさおれに与えてくれるんだ?
「優しさ、ね。まぁ俺もこの世界にきてはじめ苦労したからな………ただ、俺、給料なき仕事は受けないって決めてるんだ。だから俺が助ける代わりに君はこの後の展開を俺に教える。これでどう?
そうすれば俺はそれを聞いて君が俺を誘導しようとしてる悪い物なのか判断できるし。君は俺のストーリーは問題ではなくて、あくまでもカケラを取り戻して元の世界へ戻る手立てを見つけたいんだ。それなら主人公であるらしい俺の近くの方がなんとなく見つかりやすい気はしないか?」
ブラック企業で働いてた主人公なだけある。確かに守ってもらうだけじゃ割りに合わないよな。疑われてるのもしょうがない、俺ってば意思疎通ってだけでも既に怪しい猫な訳だし。
しかし、主人公に守ってもらうヒロイン立ち位置なのが若干気に食わないが、これなら俺は安全に主人公と行動できて、好きなシーンが目の前で観れるかも知れないのだ。
ストーリーは変わってしまうかも知れないけれどもこれはかなりウィンウィンなのではないだろうか。
それに俺はチリトリから魔力とやらを感じられなかったのだ。感じ取れるカイ君と行動できるのであれば正直大変ありがたい。
俺のカケラがこのチリトリではなくて、近くにあった場合気づかず取り逃すのは絶対に避けたいもんな。
「決まりだな。じゃあ改めて、これからよろしく。…君、名前は?」
そっか、そういえば名乗ってなかったっけ?
名前ね…そうだな………ウーム、まぁ今俺猫だし、人みたいな名前だとそれもそれで何だこの猫ってなるか?
この物語に登場する人達の名前は全部カタカナだったはずだ。これ以上怪しまれたら嫌だ………郷に入らば郷に従えって言うし、それらしい方が良いか。
じゃあ章って漢字入ってるから ショウ って呼んでくれ。
「……了解。よろしくなショウ。」
応!よろしくな、カイ君!
こうして俺は監視が必要な怪しい猫として、しかし実際は守られヒロイン枠で勇者パーティに加わったのだった。
だいぶ更新が空いてしまいすみません。スローペースですが頑張って参りますのでよろしくお願いします。




