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俺と猫のおはなし  作者: インリバー
二章
10/15

10、魔王の章 俺の夜間清掃

" 大体アンタ達、人のナワバリに勝手にズカズカ入ってきて荒らすだけ荒らして謝りもしないなんてどんな育ち方してるワケ?"


人生、いや、猫生を歩み始めて約1日。どんな育ち方と言われても生まれたてホヤホヤである。


そんな俺はアニキと共に三毛猫から説教を受けている真っ最中であった。



" 知り合いでもないし助けてなんて頼んでもないのよ?コッチは発情期でもないの。種付希望ならよそでやってくれないかしら。迷惑なのよ!"



中々に辛辣なお言葉の数々に我々はなすすべもなく首を垂れる。


…ん?知り合いでもなくて頼まれてもない状況で家に突入ってもしやアニキはストーカーなのでは?


おいおい、ショックだ。アニキ、カッコイイぜ!なんて思ってたのにただのストーカーだったなんて悲しすぎる。


大体、ストーカー補佐、不法侵入、納豆ぶちまけは器物損壊か?おまけに不幸な事故とはいえハンターを倒してもいる。 


…ひょっとしてアニキより俺の方が罪状重いんじゃないの?



「罪状とは…中々難しい言葉を使う猫だのう。その様な心配はせんでも大丈夫さ。君は少々変わっているが猫だからな!」


よかった、復活したハンターがフォローを入れてくれた。

ありがとうよハンター…おっちゃんが仏になってたら俺はもうあのメス猫に八つ裂きだっただろう。


ハンターだが、俺が早とちりしただけで猫をハントしていなかったし食べてもいなかった。まぁそうだよね、よく考えれば愛ではすれど、肉不足で猫を食卓にあげるラノベなんてそうそうないよな。


今回の最たる被害者であるハンターに猫だから怒ってないのだと言ってもらえてとても助かったのだ。


ハンターの素振りや声音から三毛猫が八つ裂きを取りやめた為、俺は説教で済んでいるのだった。


先程から普通に話していた為俺は初め気がつかなかったが、俺は無実だと犬に発言してもらおうとした際、メス猫から "犬に証言?バカなんじゃないの?"と言われ、そういえばと思い至ったのだった。


そりゃあそうだよな、猫同士は会話できるけど犬とか人間は無理に決まってるわ。証言なんか聞いてもらえるはずなかった。


ハンターの 素振りや声音 でメス猫が怒りを少し収めたのはそういう事である。通訳はしてない。ハンターに貴方下僕と思われてますよなんて言えるはずないしな。



「成程、私は下僕か!まぁ間違っちゃいないがな!三毛さんは可愛らしいからなぁ!」


しまった!また伝わっちまったよ!!

ワハハとハンターはスッキリした笑顔で笑っている。しかし思っただけで伝わるの忘れてたわ。これ縛りが難しすぎるだろ! なんと不憫なこの体…これオンオフ機能とかないと本当に不便なんじゃないか?


そして下僕扱い、ハンターは怒らないのか。散々説教されたのでお礼にメス猫の印象ちょっと下がればいいのにと思ったが残念である。


" ちょっと!アンタの声アタシにも聞こえてんの忘れてない?"


うわほんと不便!そして忘れてましたすみません!


声と共に横から鋭い猫パンチが飛んでくる。

爪ッ爪しまってください!うわ今納豆俺になすりつけませんでした?? ええい、全く悪口も言えんのかい!


" 反省が見えないわね?これは全部アタシが食べる予定だったのよ。それをこんなにしちゃって最悪!あんた少しはアタシが食べやすい様に集めて献上するとかしないわけ?"


それを聞いた途端にアニキは納豆を咥えて集め始めた。もうアニキも下僕でいいんじゃないの?


しっかし、ウワァオ…それアニキのよだれでベトベトにならん?そんなの欲しいわけ?


しかも献上ってなんだよ献上って。猫がネズミあげるみたいにもってこいってか?やだよめんどくさい。俺は下僕2号にはならんぞ!


"うっさいわね、あんたは2号じゃなくて3号よ!2号はコイツよ"


そう言って三毛メス猫が顎でさしたのはモサモサ犬である。お前も下僕だったんか。



"全部わたしの食べ物だけどね、コイツは下僕だから分けてやってるのよ!"



いや、流石にハンターはお前に全部与えなかったと思うぞ?


納豆まみれな部屋は、下僕2号の夜食タイムとアニキにより少しずつ綺麗になっていた。床だけだけどな!


しかし俺が散らかしたのはまちがいな間違いないからなぁ。俺も集めるなりなんなりするか?


普通の猫なら納豆を集めて散らかしたもの元に戻すなんてしないだろうが、俺は体は黒猫、頭脳は人間である。


散々ご迷惑をおかけしたハンターに申し訳ないので、俺はせめて掃除はすることに決めた。ちょうどチリトリもあるしな!犬だけだと今度は床がヨダレまみれになっちゃうたろうし。



ハンター。小箒ある? モップでもいいけど。

臭いからな、あの犬みたいに直接触ったり食べて

綺麗にするのは俺はゴメンである。



「おお!君、掃除ができるのかい?それは凄いな!では少々待っていてくれ。道具を取ってこよう。」


そう言ってハンターは立ち上がり軽快な足取りで廊下へ消えた。


棚にあった丸いオブジェがハンターに落ちた時はヒヤリとしたが、ケガは本当に大丈夫そうだ。


このぶんなら掃除も手伝ってくれそうである。


こんな手だがチリトリはつかめたからな。小箒ぐらいなら平気だろ。


ひとまずこの夜、俺はアニキ、犬、ハンターと共に掃除をして終えることになりそうであった。


腹減ってるから掃除した後食べ物なんかもらえたら嬉しいなと思う。


そしてできるならそれは納豆以外が良い。朝から散々な目にあったし、もう納豆は見ているだけでお腹いっぱいって感じだしな!



" さっき空腹訴えてたのにお腹いっぱいって何よ!あとアンタ、さっきからひとりごちてる声がうるさい。独り言多いキモいやつに見えるから、頭より手動かしてさっさと献上品集めたら?"



ハイ!すみません!掃除します!!しかし独り言の多いキモいやつとは…まぁ、そうなるわな。


満足そうに口を舐める犬を目の端に捉えながら俺は頭を空にして空腹と戦うのだった。


無心って難しいね!

明日も夜7時に投稿します。

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