宝石
ワープ空間から通常空間に出る。
減速している艦の正面に見えるのは、太陽光を浴びてキラキラと煌めいている全球が氷に覆われ凍りついた真っ白な惑星。
私は銀河連邦宇宙軍に所属している警備艦の艦長。
艦長と言っても警備艦に乗っている乗員は私1人だが。
警備艦の観測装置の全てを動員して、この恒星系に海賊が隠れていないか凍りついた惑星に盗掘者がいないか調査する。
最低2つの条件を満たさなければ銀河連邦に加入する事は出来ない。
1ツは同じ恒星内の他惑星に行けるだけの文明を持っている事。
もう1ツは惑星を独裁国家だろうがなんだろうが統一した国が治めている事。
凍りついた惑星は最初の条件はクリアしていたが、統一された国家では無く100以上の国々が存在し互いに争っていた。
そしてある時、幾つかのグループに別れバトルロワイアルが勃発する
所有するABC兵器を敵対する国々に向けて互いに投げ合い始めたのだ。
それは偶然だったのか、起死回生を狙ったり死なばもろともと考えたりした故意だったのか、活発に活動し噴火間近だった活火山に爆発力が最大級の核ミサイルが撃ち込まれる。
活火山は核爆発と共に大噴火し、その大噴火に誘発され惑星の他の活火山全てが同じように大噴火。
惑星は大噴火により噴き出した噴煙で覆われ氷河期に突入、惑星全体が凍りつき氷で覆われた。
ピ! ピ! ピ! ピ! ピ!全ての観測装置が海賊も盗掘者もいない事を示す。
私は銀河辺境部の所属している基地に向けてこの恒星に異常が無い事を報告し、警備艦の艦首を外宇宙に向けワープ空間に突入するため警備艦の速度を上げ、太陽光を浴びて煌めいているバトルロワイアルが行われるまでは青い宝石と例えられた、恒星から3番目に位置する惑星を後にした。