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出発


 使いにくいな。

 自分が鍛錬をしてみた感想だ。そもそも、大鎌を使っている人間は限りなく少ない。サイズが大きく、扱いづらく、狭い空間の中ではもはや無用の長物と化すのだ。さらに、刃が片方だけ、それも内側についているというのも、自分が使いにくいと感じた原因の一つとなっている。必ず一方向に切らなければならなけらばならず、また前述した通り、サイズが大きく返しがとてもやりづらいのだ。

 結論、大鎌の形態は使用しない。戦闘効率が悪すぎる。


 今までやった事は無駄だったか、と言ったらそうでは無い。大鎌が使えないということがわかったし、いい運動にもなった。


 だが、1つ気になることができた。あの金色のエネルギーだ。

 螺旋状のエネルギーはどこから発生したのか。当然、自分からだ。

 あれはなんなのか。分からない。

 どうやって使うのか。勿論、戦闘だろう。違う、どうやって発生させるのかという意。何かヒントは無いのか。螺旋、情報はそれだけ。あのエネルギーが現れた状況は。力を込めた、それだけだ。特別な事は何も。本当にそれだけか。いや、あの時は触手を少し回転させていた。ならばそれだ。まずそう仮定し、実験。違ったら別のものを行う。基本を繰り返せ。


 考えを打ち切る。回転。いつの間にか、岩場まで戻ってきていた。手ごろな岩に腰を下ろす。

 回転か……何気なく、腕を軽く回してみる。エネルギーは起こらない。逆に起こったら大変だろう。日常的に体を回すなどの動作はどうやっても行うことになる。その度に、あの螺旋のエネルギーが発動していたらどうなるか。とりあえず分かることは、危険。目標は静かに暮らすことだ。騒ぎを起こしては目立つことになる。

 意思を持って、腕を回す。先程はなんとなくで、腕を回した。ならば、意思を持って行えばどうなるのか。

 輝き螺旋を描く強力な力が、腕に纏われる。金色に光り輝いていることから、勘違いをしてしまいそうになる。正義の光、暖かな光。そんなものでは無い。この力は暴虐、ただそれだけ。ただの概念のようなものにも関わらず、確実に何かを滅ぼすという意思が、自分に伝わり、そして湧いてくる。


 危険だ、そう判断する。この意思に自分が飲まれかねない。

 当分は、この力を使わなくていい。使うのはいざという時だけになるだろう。


 目の前で揺れる、炎を見つめる。暖かくて、柔らかい。自分が感じたことのないもの、今まで与えられなかったもの。物理的な話ではない。


 息を吐く。


 何を考えているんだか。そんなことよりも今は、無事に街につけるか、その方が大事だろう。

 自分は、あの家で見た地図を、もはや信用していない。魔物の情報に信憑性がなくなってしまったのだから、同じくらいの年代に書かれたであろう地図も、信用することができない。

 この地図の問題に関しては、嬉しい誤算である。

 地形から、ここは辺境だろう。道が整備されていない。さらに、魔物が新しい種を確立させるほどの時間が経っているということは、人間が領地を開拓しないわけがない。よって、目指す街が近くなっているはずだ。確定事項ではないが、可能性は高いだろう。


 とにかく明日だ。明日の朝になったら、古い地図の情報を頼りに、人を探しに行く。見張りは、いいだろう。魔物の感知をできるようにして、眠ればいい。それに、近づいたら自然と起きる。


 そして自分は、腰掛けていた岩とは違う、寝やすそうなものに移り、横になる。ゴツゴツして、ヒンヤリとする温度。寝る場所として不満だが、まぁいいだろう。

 ゆっくりと目蓋が落ちていく。

 



 心なしか前が明るくなった。パチリと目を開ける。見ると、ちょうど日が出てきたところのようだ。少し冷えるが、暑いよりはマシだろう。

 触手を使って立ち上がり、自分の体の様子を確認する。寝る直前まで、体を動かしていたが、体が痛むということはない。


 顔を洗おうとするが、当然ここは平原、水はない。あの熊が水を纏っていたのならば、自分の触手もできたらいいのだが。軽い気持ちで触手を展開し、念じてみる。


 水が、出た。


 昨日の自分が想像した熊のような水球が出てきた。形は崩れず、球の形を保ったまま、宙に浮いている。手を突っ込んでみる。冷たい。しっかりと冷えた水が出てきた。これで常温の水だったら少しガッカリしたところだ。

 思わぬところで触手の新しい力を知ったな。思いつつ、顔を洗う。

 

 火は消えていた。誰かが番をしていたわけでもないし、当然か。手袋をつけ、指を鳴らす。昨日と同じように火をつける。

 狼の肉で適当に朝食を作り、食べる。オランジェが一つ残っていたので、それを食べて出発の準備は完了した。


 ならば、行こうか。軽く助走をつけ空歩の力を、発動させる。空を走るように駆け上がり、十分な高さになったら力を切る。

 ここから先は、記憶の地図頼りになる。数日で大きな街に着く……はずだ。信用はしていないが、参考になるものがあるのと無いのでは、随分違う。


 力を切った後は急激な落下。手袋の力で、風を制御し、滑空する。

 今日は少し遅くなりました。昨日久しぶりにこの小説のページを見てたらびっくり。評価とブクマが増えているではありませんか。ということで、テスト期間中ですがやる気出して書きました。

 評価とブクマをしてくださった読者様、いつも読んでくれている読者様に感謝!

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