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船酔いの時代

作者: 井伊紀文

 ぼくたちは同じ船に乗りながら

 あっちやそっちにばらけていって

 船はぐらぐら揺れてしまう

 平らな水面は波が立つ

 それに煽られ船は回る

 船が回れば乗る人もまた

 あっちやそっちにぐらぐら揺れる

 やがて互いで落とし合う

 もっともな理由をつけて

 我は残らん、そなたが落ちよ

 転がり回って引っかきあって

 船は益々ぐらんぐらんと

 揺れて波立ち波立ち揺れる

 ぼくらはやがて投げ出される

 船は歪んで穴が開く

 木切れが浮かんでぼくらは掴む

 残りしものは僅かな木っ端

 跡形なくなり皆黙り込む

 後からこみ上げる吐き気

 船酔いの余韻

 ぼくらの時代は船酔いの時代

 だれもかれも大海に漂う

 難破船の木切れの如し

 

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