飢えた拳
「ねえねえ、だからさ、俺らさ、定期代なくって家に帰れないの。貸してくんない?」
「ホッホッホ お前三万も貸せないってヌーブかよ」
カネワードとアノマンスのデブリック兄弟は、このテマコマイで最も恐れられている兄弟だ。
今日も今日とて街で ”狩り” を楽しむハンターとなっている
「す、すみません!で、でも今はお金が3000円しかないのでこれで許してください…」
「ホッホッホ それはそれはすまんな」
弟のアノマンスは上品な笑みで言い放った。
(や、やった!許してもらえる…!)
だが、デブリック兄弟は甘いものは好きだが、その性格は甘くない…
ドゴォ!!!!!!
「ウグゥ…い…痛いよ…」
「今すぐ金を下ろしてこないと… ”肋、殺ってます” 」
「ヒッ…い、今すぐ下ろしてきますゅ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ねえ、これデカくない?三万もあればパチンコで楽しめるもん」
そう言って爆発寸前のような顎を揺らしているのは兄のカネワード
「ホッホッホ 兄さん、分け前は半分ずつ。それに定期を買いたいんじゃなかったのかね?」
そして神父のような黒い服を着ているのが弟のアノマンスだ
「大丈夫!定期は子供と障害者ってとこ押したら安くなるんだよ?知ってた?」
「ホッホッホ お前天才か?俺も今度からやるわ」
「それチガウデショ。犯罪デショ」
そういいながら談笑しているデブリック兄弟に近づいてきたのは甲高く、なおかつ気色の悪い声でブサイクの青年だ
「ん?これデカくない? ”態度” がデカくない?」
「君達は ”最強” に興味ないデショか?」
いきなり話しかけてきたブサイクに苛立ち今にも殴りかかりそうなカネワードだったが、その言葉を聞きピタリと止まる
「ぼくはビッグ・リバー 君たちのような屈強な人間を集めてるデショ」
「ホッホッホ 集めてどうするんだ?GoGo壱でもいくのか?」
「もちろん闘うデショ。”拳祈仕合” は最強を決めるための闘いデショ」
ビッグ・リバーを名乗るブサイクの言葉に、デブリック兄弟は無意識のうちに笑みをこぼしていた