ふーん、やるじゃん
「え、えーっと⋯⋯グレイス、様?どうなされましたか?」
「ひぐっ、うぅっ⋯⋯うわぁぁぁん!」
〈泣き止まないね〜しょうがないにゃ〜
【無心化更新状】〉
「ひぐっ⋯⋯うわぁぁぁあ、
『ジッジジ、ピロピロピロピロ、シューン⋯⋯』
もう大丈夫です!」
「本当に大丈夫ですか?」
《いや、最初っからやれよ!》
「ええ!大丈夫です!それより、ここはなんという村ですか?」
〈可愛かったでしょ〜?〉
「はい。ここはマルセリナ王国のマイヤ村と言います。」
《(ハイッ!)》
「マイヤ村ですか!いい名前ですね!」
〈それに〜やろうと思えば無理やり意識を乗っ取るやら【クロノス】使うやら色々あったでしょ〜?〉
「そうですか⋯⋯有り難き幸せ。」
《そ、そうだった!忘れてたー!》
「どうしてそんなに畏まるのですか?」
(いや⋯⋯私が⋯やろうと⋯⋯した⋯けど⋯⋯【クロノス】が⋯⋯拒絶した⋯⋯)
「グレイス様に対しては最高の敬拝を以て接さなければ、またあのゼウス様が来られるでしょう。」
〈ま、そうだろね〜〉
「むぅー⋯⋯そうですか⋯⋯もっと普通に接して欲しいのに⋯⋯」
《い、いやどゆこと!?》
「こればかりはそう簡単には⋯⋯もうあんな目にあいたくもありませんし、見たくもありません。」
〈スキルを構成するシステムに不具合が起きて〜その修正策に人格、自我が構成されたんだよ〜ボクみたいにね〜〉
「分かりました。それで、この村に泊めてもらうことは可能ですか?」
《え?でも、あんたは元からグレイスの元に居たんじゃないの?》
「まさか!グレイス様にこのような村の中で泊めるなどと!」
〈そうだよ〜でも、姿を現すことは出来なかったし、こんな感情も無かったから〜この世界に来てそういう風に変わったんだと思うよ〜〉
「お!じゃあ俺と一緒に泊まろうぜ!」
(そうですか⋯⋯【クロノス】?)
「や、やめなさい!その御」
〔準備はとっくに出来てるぜ⋯⋯〔鳴らせ〕!〕
〔(【クロノス】!!)〕
ゴーン⋯⋯ゴーン⋯⋯ゴーン⋯⋯ゴーン⋯⋯カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ⋯⋯
〔うち (私達の)の 旦那(秋野瀬君)に 手ぇ出すんだ(手を出したのです)⋯⋯覚悟は出来て んだろうなぁ(いますよねぇ)?〕
《なんだこのオッサン!?
やだ⋯⋯渋い⋯⋯イケおじじゃん⋯⋯》
〔ナイフを世界中から集めた⋯⋯好きに使え⋯⋯〕
(ありがたいです。)
さて、どう料理しようか⋯⋯
〈じゃあボクも〜〉
《え!?》
〈【奥義・不可侵之檻】〉
《あーもう!そして、時は動き出す!》
「⋯⋯方にはッ!⋯⋯はっ、あ、あの目は⋯⋯」
「行こうぜ!姉ちゃん!」
そう言い、少年はこちらに向かって飛んできた。
そこを⋯⋯
ヒュンヒュンヒュン!
首、両腕、両足⋯⋯
のそれぞれの近くの服にナイフを刺し、近くの家の壁に貼り付けた。
「う、うわぁぁぁぁ!た、高い!助けて!ママあぁぁぁぁぁ!」
「貴様のような下劣な人間が秋野瀬君に触れていいと本気で思っているのですか?」
「ご、ごめんなさいぃぃ!もうしませんから!」
「全くつくづく身勝手で救いようのないガキですね⋯⋯秋野瀬君に触れようとした。その事象そのものが罪なのです!これよりお前の処け⋯⋯!?体が!」
〔おっと嬢ちゃん、それ以上は駄目だ。確かに旦那に触れようとしたのはいけねえ。だがそれは罪ではなく、過ちだ。更生出来る。それに、旦那もこんなこと望まねえし、相手もガキだろう?〕
「そうですね⋯⋯少し子供相手にムキになっていたようです。反省しなくては。」
《ちょっと変わって。》
「ん?えぇ、どうぞ。⋯⋯ふぅ!久しぶりの外の空気だ!⋯⋯さて、そこの坊ちゃん?」
「は、はいッ!」
「すぅー⋯⋯ごめんなさいで済んだら警察要らんやろッ!!!」
「ひえぇ!え?け、ケイサツ?」
「うるせえッ!!!なんでも行動には責任が付きまとうんだ!どんな些細な事でも、大なり小なり必ず責任が付きまとう!だからよォ⋯⋯」
「⋯⋯(ゴクリ)⋯⋯」
「腹きれ」
「え、え?」
「出来ねえか?なら、私がやる!いや、殺る!」
「ちょっと、待ってくだ⋯⋯ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛、ァ!⋯⋯」
(ふむ、お姉さんも中々にブラコンですね。)
〈あれはブラコンの域を超えてる気がするけどね〜ま、ボク程ではないね〜〉
〔全く、何で俺はこんな場所に生まれて来ちまったんだか⋯⋯〕
《賑やかでいいではないですか!》
(⋯⋯秋野瀬君⋯⋯ですか⋯⋯?)