(後の)女神様との出会い
アガートラーム⋯⋯左腕⋯⋯銀⋯⋯
う⋯⋯うう⋯⋯頭が痛い⋯⋯。
(とある村人)
それはいつもの平和な朝だった。小鳥の囀りが聞こえ始めて起きる。井戸の水で顔を洗い、畑を耕す、そう⋯⋯いつもの平和でなんてことも無い⋯⋯でも、その平和はひとつの轟音で崩れ落ちた。
ドゴオォォォォォォォォォン!!
見れば、遥か遠くの山の木が次々となぎ倒されて、ってこっちに向かってきてる!?
どうしよう、落ち着け、村の皆を避難させる⋯⋯どこに?見回りをしている騎士さん達は昨日のうちに別の村へ行ったからもう帰って来ないし、他の村までは最低片道2時間は掛かる⋯⋯どうすればいいの!?
ドゴォン!バキッ!
とにかく皆に知らせないと!
「皆、逃げて!何かこっちに来てる!」
「やっと来たか!お前が来るのを待ってたんだぞ。あの轟音の正体はなんだ?」
「分からない!でもあそこは巨体な魔物が蔓延る危険な森よ!それがこっちに向かってきてるなんて、絶対にヤバい魔物が来てる!」
「でも、何故こんな何も無い村に⋯⋯?」
「そんなの考えるのは後!皆早く逃げて!」
「あ、そ、そうだな⋯⋯。」
リーダーは何か疑問に思っているようだが、本当に逃げないと!
その時⋯⋯
ドドドドドッ!ヒューン⋯⋯フィン!⋯⋯ゴゴゴゴゴゴゴゴ!
何かが走ってくる音と、謎の甲高い耳が痛くなる音、そして私たちを掠めて通り過ぎる謎の光る棒、最後に地が割れる様な轟音が聞こえた。思わず、振り返ると。
「ヒッ!」
誰の声だったか、でも、しょうがないと思う。必死の形相をした巨大な魔物達がこっちに向かって全力で走って、飛んで、這って来ているのだ、私も思わず尻もちを着いて涙が出そうになった。
「あれはっ!?」
しかし、リーダーが何かに気づいた、指を指していたのでそちらを見ると、魔物の奥にいるそれは、余裕の歩みを見せていた。見た瞬間、何か、体の奥底で、何かが刻まれた。アレに逆らっては行けない。敵対しては行けない。無礼を働いては行けない。その他あらゆる畏怖が体に刻み込まれた。もはや魔物への恐怖は無かった。魔物への恐怖よりも目の前のナニカへの畏怖が直接体に刻み込まれたのだから、当然だ、周りの人たちも何か超常的存在でも見るかのように、しかし、恐怖に怯えるでも無い崇めるような不思議な顔をしていた。私の顔もそうなっているのだろうか。
でも、肝心の魔物はまだいるわけで⋯⋯
「£‰$-′*******!」
「あ⋯⋯⋯⋯」
そんな超常的な存在から逃げる途中であっても、目の前に餌があれば食べるらしい。そして、口が開き、もう食べられると、そう諦めかけた時⋯⋯
「##@$$!」
「うるさいですねぇ⋯⋯ほら、えーと、【硫酸投入】⋯⋯うるさいです。せっかく生物を殺す汚れ仕事をしてやってるのに、なんですかその声は⋯⋯⋯⋯」
さっきのナニカがいつの間にかこちらに来ていた。その顔立ちはとても可愛らしく、しかし、全てを見下すかのような冷たい凍て刺す目、人形の様な無機質で、整いすぎた変わらない表情は冷たい印象を与える。
「はい。はい。え?しょうがないですね⋯⋯秋野瀬君。耳を塞いで口を開けて下さいね。
【終焉皇神之聖裁ⅹ救世聖人之原罪】!!
ほうほう⋯⋯そう来ましたか⋯⋯ならば、
【銀之凱聖正史炉腕】」
そう言うと、その人?の左腕に銀の装飾が彫られた神々しい謎の塊が生成された。
「これなら手加減出来ますね。」
そして、その人?が左腕を振るうと、激しい暴風が吹き荒れ、魔物だけが天空に吐き出され、切り刻まれた。
そして、辺り一面に血の雨が降り、その人?のみならず、私達も全員が血の雨に晒され、血まみれになった。
そして、最後に血塗られた顔で無機質に、
「改めまして、ナビゲーションを終了します。」
そう言ったのだった。




