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夢の中の異邦国  作者: 如月まりあ
ミヒデ村
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ミヒデ村の厄介な問題

2人を追い抜いて、見張りの男の後を追うバッカ。


「仕方ありません。バッカの事は後で考えましょう。今はとにかく宿を確保するのが先です」


葵がこそっとカイトに言う。


カイトは納得出来ずに


「いや…今すぐ…」


と何か言おうとしたが


「今は、何か問題を起こす訳にはいきません。油断しないようにして、改めて彼を捲く方法を考えましょう」


そう言ってから後を追うように歩き出す。


立ち止まっているカイトに


「デュラン、急げ」


葵は、カイトを促すように言う。


カイトは、納得出来ていないようだったが、今はそれが最良の手だと自分に言い聞かせて、葵達の後を追う。


見張りの男に案内された先は、村の一番奥にある建物だった。


「ここが村長の家だ」


見張りの男は、そう言ってからドアをノックする。


「村長、連れてきたぞ」


そう言ってから少し待つ。


「入っていいぞ」


中から声がして、見張りの男はドアを開ける。


入ってすぐに、奥の方で老人が簡単に出来ている椅子に座って、葵達をジッと見つめている。


その鋭い視線にたじろいでしまうが、それを表に出さないように毅然としている。


「ようこそ、ミヒデ村へ。お前さん達、道に迷ったのか?」


村長らしき老人が口を開く。


葵は、ゴクリとしてから


「あぁ、俺たちは冒険者だ。だが、冒険者になってから日が浅い。土地勘のない森で迷ったみたいでな。野宿も覚悟していたが、ちょうどこの村を見つけて、こうやって一晩の宿を頼みたいと」


葵がそう言うと、村長は眉を寄せて


「お前さん達は、どこから来た?」


そう問いかける。


「フィアント公国の田舎だ」


葵がその問いに答える。


「フィアント公国…」


村長は、葵とジッと見つめながら沈黙している。


「一晩なら、構わん。明日の朝一番で村から立ち去るなら、一晩くらい滞在を許可しよう」


その一言にホッと息をつく。


「ただし…」


続けて村長は言葉を続ける。


「この村で見たもの、聞いたものは、見なかった、聞いてなかったとしてほしい」


厳しい表情で言う。


「…それは、どういう」


葵が、村長のその言葉の意味を聞こうとしたが、


【ドォーーーン!】


と、外から音がする。


(まさか…もう追手が…?)


そう思って身構えるが


「気になさるな」


村長が手で制する。


そして、見張りの男に


「客人を集会所に案内せよ」


と命じる。


「分かりました」


見張りの男は、村長に一礼して


「ついてこい」


葵達に言う。


何が起きているか理解出来ないが、質問を許さないという村長の気迫にのまれ、葵達は見張りの男に付いていく。


村長の家から出ると、見張りの男の後を追い村の中を歩く。


興味深そうに葵達を見ている者、外から来た者を拒絶するような視線、様々な視線を身に受けながら歩いていると


「危ない!」


何処かから声がする。


それと同時に何かのエネルギー体が葵達に向かって飛んでくる。


バッとカイトとバッカが葵の前に出る。


バッカは一瞬で障壁を張り、カイトは剣を抜く。


カイトの剣がエネルギー体を受け止め、それを空高く跳ね返した。


エネルギー体は、空の上で霧散する。


「イラガ!ネーゼ!またお前たちか!」


見張りの男は苛立ち気にエネルギー体が飛んで来た先に向かって叫ぶ。


その先には子供の集団がおり、その内の2人がビクンっと肩を震わす。


見張りの男は、その集団に向かっていき


「イラガ!ネーゼ!お前たちは、小屋から出るなと言われているだろうが!」


そう言って、2人に手を上げようとしたが、その手をバッカが掴む。


「何でも暴力に訴えるのは、いただけねぇよ」


バッカがそう言うと


「お前らは部外者だ!口を出すな!」


苛立ちを隠さないように見張りの男が言うと


「部外者だから何だって言うんだ?」


バッカの気迫に見張りの男はのまれている。


他の村人が、見張りの男の助けに入ろうとするが


「止めよ!」


村長の声が響く。


一斉に見ると、村長がこちら側に歩いて来ているのが見える。


「客人、見苦しい所を見せたようだ。だが…」


キッと葵達を見据えて


「この事は、外に漏らさないでいただきたい」


その気迫にのまれそうだ。


バッカは、見張りの男から手を放して


「見た所、魔力が上手く制御出来てないようだが…?」


と言うと村長は黙っていたが


「その通りじゃ」


観念したように言う。


「あんたは魔導師のようじゃな?」


とバッカに向かって聞く。


バッカは首を横に振り


「いや、俺は魔導師じゃない。魔法を多少扱えるだけだ」


と、答えた。


村長は息をついてから


「この子達の先祖は、この村を作った強い魔導師一族だった。だが、その力は代を重ねる毎に弱っていったのじゃが、この2人は先祖返りのようじゃ。生まれつき強い魔力を持って生まれてきてしまった」


困り果てたように言う。


魔力が強い者は、その制御を間違うと魔力が暴走して、ちょっと感情が高ぶった位で、エネルギーを放出してしまう特性がある。


葵-レイラ姫も生まれつき強い魔力を持って誕生したが、賢者レスクドールとベイト・ディインダによって、魔力制御を学び、とりあえず暴走しないようになった。


目の前にいる2人は、それを学ぶ機会がないのであろう。


見た所、魔法が使える村人はいないようだ。


葵は、クイクイっとバッカの袖を引っ張り


「バッカ、魔法制御のやり方は知らないだろうか?」


と問いかける。


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