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夢の中の異邦国  作者: 如月まりあ
一路、北へ…
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ランクアップの試験ー本番直前

バッカに先導されて先に進む。


今度は、バオラビットより小さめなリルラビット。


小さいが、バオラビットより強いとされている。


その理由として、雷撃系の魔法を放つ事が1つとして上げられている。


頭に生えている2本の角から雷撃を打ってくるのだ。


それに動きも素早い。


角を使った突撃もある。


油断の出来ない魔物なのだ。


それが9匹同時に現れたのだ。


葵は、雷撃や突撃を避けながら、何とか1匹だけ倒す事が出来た。


あとの8匹は、葵自身数は確認出来なかった(余裕がなかった)が、カイトとバッカで倒された。


バッカは、自分が倒した5匹を収納していく。


そして


「お前らが倒した4匹から角取っときな。それが討伐証明になるからな。硬さはイーゲンドックと変わらない。イーゲンドックと同じく根元から少し上の方が硬さの小さい部分だから、そうしな。死骸は出来るなら貰えるとありがたい。リルラビットの肉の味はまぁまぁだし栄養価も高いから売れるからな」


そう2人に言う。


「俺は構わないが、デュランは?」


葵は、カイトに目線を向ける。


カイトは、黙々と角を取る作業を始めながら


「…俺も別に構わない。好きにしろ」


そう言った。


葵は、自分が倒したと思う…というか1匹しか倒せなかったから分かって当たり前だが、そのリルラビットの角をナイフで切る為に根元から少し上の部分に刃を当てる。


ありがたいことに硬さが弱い部分は色が少し薄いので分かりやすかった。


2本取ってから


「バッカ、角は取った。後は自由にしていい」


と言う。


カイトも自分の作業を終わらせたらしく


「…俺の方も構わない」


と、少し不機嫌気味である。


葵には理由は分からないが、何か釈然としない部分があるらしい。


カイトが不機嫌なのは、出立からずっとバッカが場を仕切っている事なのだが、その仕切り方も容量がよく、上手い具合に立ち回っている。


指揮官訓練を受けているカイトですら、舌を巻く手際のよさだ。


たぶん、経験値の違いなのだろうが、それを突きつけられた気持ちになって悔しくなり、自身の経験値の浅さと力の無さを呪いたくなった。


それで少し不機嫌気味なのだ。


それを知らない葵とバッカだが


「おい、デュランどうしたんだ?」


と、バッカが小声で葵に聞くが


「…分からん。さっきから、こんな感じなんだ」


意味が分からんと言わんばかりにお手上げのポーズを取る。


「…ふぅ…ん」


バッカは、カイトをジッと見てから


「ま、いっか」


そう言ってから


「さぁ、もう少しでフェンダーベアの群れがいる辺りに辿り着くが、手順は分かっているのよな?」


と、葵とカイトに聞く。


「あぁ、もちろん」


葵が答え


「分かっている」


と、カイトが答えた。


「確認しておくぜ。とりあえず、何匹の群れかは分からねぇが、5匹は必ず確実にアオイが仕留めろ。フェンダーベアの群れの中に子供がいるが、こいつは討伐対象外だから、俺とデュランで仕留める。アオイが5匹仕留めるまでは、俺とデュランは防御に徹する。子供のベア以外には手は出さない。5匹仕留めたら一気に仕掛けて群れを全滅させる。…これでいいな?」


バッカの言葉に、2人は頷く。


「よし、群れまで油断しねぇように行こうぜ。あと、アオイは群れが見えてきたら、急いで回復薬を飲め。質の悪いモンかもしれねぇが、飲まないよりはマシだ。さ、次くるぜ」


そう言って、バッカは双剣を構える。


ベレットの群れが現れた。


先程より少し多めの20匹くらいはいるだろう。


一度、遭遇しているので戦いやすい。


子供もいるようだが、容赦なく切り捨てていく。


だが、葵だけは、まだ少々苦戦していた。


連闘で、腕が疲れてきたからだ。


元々筋肉が無い上に、鍛えられていない。


カイトに教わった運動を繰り返しているとは言え、数日で爆発的に筋力が上がるわけでは無い。


何とかベレットの攻撃を躱してから一撃を入れているとはいえ、腕への負担は相当なモノになる。


少し痺れてきている感覚。


それでも襲ってくるベレットに対峙する。


額の宝石には気を付けながら、一撃ずつ入れていく。


先程よりは短い時間で群れを倒した。


バッカは早速、自分が狩ったベレットの額から石を外していく。


7匹狩ったようだ。


「ほれ、後はお前達の獲物だ。早く取っちまいな」


そう言ってから、石を収納魔法で収納する。


葵達は、早速残りのベレットから石を取り出そうとする。


だが、葵は少し苦戦しているようだった。


現在4匹目だが思った以上に力が入らないのだ。


葵が苦戦していると


「…まかせろ」


そう言ってカイトが、残りのベレットの石をすべて回収する。


「バッカ」


カイトがバッカに語りかける。


「石は14あったが、俺とアオイの配分は分かるか?」


と、問うた。


バッカは、少し目を丸くしたが


「…あぁ…アオイが5匹で、お前が9匹だな」


そう答えると、自分が持っている11個の石の内2個を葵に渡し


「袋に入れておけ」


と言った。


「あぁ、ありがとう」


葵は答えてから自分が持っていた石と一緒に袋に入れる。


カイトは、葵をジッと見てから、袋から回復薬を取り出し


「これを飲め」


と、差し出す。


しかも、葵が作った精度の高い方だ。


「え…しかし…」


葵が驚いていると


「筋力が弱っている。ベレットだったから堪えられたが、フェンダーベアは違う。筋力がモノを言う。そんな弱った状態じゃすぐに殺されるぞ。それは…お前の望みではないだろう?」


見透かされたように言われ、葵は黙った。


バッカも


「そうだな。筋力を回復させといた方がいい。デュランの言う通り、そいつの飲むんだな」


とカイトを援護するように言う。


2人に言われ、葵は情けない気持ちにはなったが、回復薬を一気に飲み干す。


失われた体力が回復し、筋力も大幅に回復した。


そして、3人は先に進み出す。


スッとバッカが止まるようにと手を横に挙げ


「さぁ、フェンダーベアの群れの気配だ。準備はいいな?」


と、言った。


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