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夢の中の異邦国  作者: 如月まりあ
一路、北へ…
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ランクアップの試験ーアオイ編開始

「そうか…」


葵はそう言ってから


「その角は簡単に、外せるもんなのか?」


と、バッカに問うと


「イーゲンドックの牙と比べたら固い。アクセサリーに加工するのにも苦労する位だからな。まぁ、角の採取のやり方はその場で教えてやるよ。その代わり…」


バッカは答え、続けて


「フェンダーベアの残った部分は貰えるか?」


と、葵に問うた。


「え?…あぁ、構わないが…売れるのか?」


不思議そうにしている葵に


「まぁ、肉とかは食えたもんじゃないがな。毛皮は売れる。希少な上にシャウトベアより上質だ。結構な金額で売れるんだよ」


バッカは答えてから


「いいか?」


と、葵に聞いた。


「無論だ。それがウォルに対する報酬だと思っているからな」


まだ、宿の中なので仮の名前で呼ぶ。


【バッカ・ドルダ】が本名かどうかも分からないが…


だが、それに触れる事はしない。


探られたくない腹の内は、お互い様なのだ。


葵とて、自分の本名(?)とカイトの本名を知られたくはない。


高い懸賞金が掛けられているだろう。


今の所、バッカが金に目が眩むような愚者とは思えないが、それは分からない。


信用は出来ない。


大金が絡むと人は変わる。


それは、どこの世界でも同じだろう。


そう…葵は考えている。


カイトは、いろいろな意味からもバッカを信用はしていないようだが。


そうして、3人は宿から出るとそのまま、正門に向かって歩き出す。


葵は、歩きながら周囲を見渡す。


まだ、住民に不安の色は見えない。


ボイテイの街では、住民の表情は暗かった。


だが、まだオリンズでは、そのような色は見えない。


それもいつまで続くかは分からない。


ビルガ帝国の手がこちらまで届くのは時間の問題だと確信している。


葵達が、北側に逃げたのは、おそらく向こうには知られているだろう。


必然的にツオンズに入っている事も、首都であるオリンズにいる可能性も高い事は、容易に誰でも想像できる。


だから、いつまでもここに滞在している訳にもいかない。


分かっているのだが、自分自身のレベルアップも怠っていてはならない。


シンフォニアの封印を解く為に必要なのは、自身の成長だ。


それは精神的にだけではないだろう。


肉体的にも、そして戦闘においても。


葵にはまだ分からないが、シンフォニアが定めるいくつかの部分の成長が見られないと、封印はおろか解印石にも辿り着けないだろう。


だからこそ、自身の成長を促す事が大事なのだ。


急ぐように…かと言って焦らないように…と、綱渡りのようなギリギリな判断が要求される。


そうこうしている内に正門に辿り着く。


正門では、いつも通り身分証を提示して目的を申告する。


「ギルドのランクアップ…ねぇ。大丈夫なのか?」


門番は、心配そうに聞いてくる。


葵は見た目がひょろいからレベルアップについていけるかは誰だって不安になる。


「大丈夫だ」


そう答えると


「そうかい。気を付けてな」


門番に見送られて、再びバースの森に入る。


入ってすぐに


「さぁ、獲物がやってくるぜ」


舌舐めずりをしてバッカが言う。


「来るのか?」


葵も気配は感じていたが、念の為バッカに聞く。


「あぁ、バオラビットみたいな小物…だな。あいつ大群大群で行動するから、バオラビットじゃねぇな」

そう答えながら、双剣を構える。


「フェンダーベアの群れからは、遠いのか?」


剣を抜きながら葵が聞くと


「まだ遠いな。そんなに焦るなよ。焦りは禁物だ。ランクアップ出来るもんも出来ねぇ」


それと同時に、魔物15匹程が姿を現す。


大きめのフェレットのような魔物だ。


額に様々な色の鮮やかな石が付いている。


レイラ姫の知識にある魔物だが、名前が出てこない。


バッカが口笛を鳴らす。


「コイツは珍しいな」


そう言ってから、襲ってきた魔物を一閃する。


額には気を付けているようだ。


「額には気を付けろ。この石は高く売れるからな。それに小さい割には強え。アオイは特に気を付けろ。一匹だけに集中して、後は俺やデュランに任せろ」


そう言ってから、また一閃した。


葵は、剣を握りしめて、襲ってくる3匹に対峙する。


両脇にはバッカとカイトが固めている。


葵は真ん中の1匹だけに集中することにした。


バッカの忠告を素直に聞く形だ。


素早い動きをする魔物を目で追いながら、一撃入れようと切り込むが交わされてしまう。


逆に爪を立てて襲ってくる。


ギリギリ交わしたつもりだったが、右腕に一筋の傷。


(…素早い)


そう思いながら、今度は攻撃を入れるタイミングを図る為に相手の動きを見る。


そうしていると、別の魔物が葵に襲いかかる。


その一匹に一閃入れたのはカイトだった。


「目の前に獲物に集中しろ!」


そう言うカイトの言葉に従い、再び襲ってきた魔物の動きを見ながら、その攻撃を交わす。


それと同時に一撃を入れた。


今度は、相手の動きが次に行く前だったので間に合ったようだ。


額には気を付けて入れた一撃は見事に胴体部分を切り裂いていた。


その間に、カイトとバッカも3匹程倒している。


葵は、すぐに襲ってくる次の魔物にターゲットを移した。


動きをよく見て、相手の攻撃を数回交わし、隙を見て一撃入れる。


今度は、一度の攻撃で倒す。


そして、またしても襲ってきた魔物を返す刀を入れて、連続で倒す。


次に構えようとしたが、後の魔物はすべてカイトとバッカで倒されていた。


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