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夢の中の異邦国  作者: 如月まりあ
一路、北へ…
55/141

ランクアップ試験の説明を聞きましょう

その笑顔は


《余裕のないもんは試験を受けるなよ!!》


と言っているようだ。


葵は、少し考えて


「とりあえず、1回受けてみよう。それで、自分の実力がどこにあるか量りたい」


その葵の答えに、メガネの受付嬢は驚きながら


「そういう考え方もあるんですね」


と、呟いた。


「あぁ、実力がないのなら、それ以上の鍛錬と依頼をこなして強くなればいいだけだからな」


葵が答えると


「なるほど…では、マーニャ、昇級試験の手続きを」


メガネの受付嬢に言われ


「分かっているわよ」


そう言ってから、マーニャはパタパタと奥に入って行く。


メガネの受付嬢は


「マーニャが受付用紙を取りに行っている間に説明しておきますね。とりあえず、実力ですね。言われた魔物を言われた数狩ってきてください。虚偽はクリスタルで判明しますから、その時点で資格剥奪です。それは、どのランクにも言えます。上に行くほどに人間性とか諸々出てきますが、今はFからEへの昇級試験なので実力のみとなります。ここまでで何か質問は?」


2人を見ながらそう問いかける。


葵は


「ない」


と、答え


「わ…俺にもない」


カイトが答えた。


メガネの受付嬢が


「では…」


そう言って、クリスタルと台の上に置く。


「昇級の資格があるかどうか、確認させていただきますね。ギルドカードを翳してください。まずはアオイさん」


そう言われて、葵はカードを出して、クリスタルに翳す。


それを見つめていたメガネの受付嬢は


「う~ん、まぁギリギリ資格アリって感じですね。何とかなるでしょう。次にデュランさん」


受付嬢に言われ、カイトがカードを翳すと


「う~~~ん、Dランクも狙えそうなくらいの実力がありますね。これなら、余裕でしょう」


と言ってから


「あ、そうだ」


とメガネの受付嬢は、思い出したように手を叩いてから


「昇級試験中は、互いを助ける事は出来ません。助けられた時点でアウト!失格になります。もちろん、同時に資格試験の真っ最中の助けた方もです」


そう言った後


「デュランさんは、大丈夫だと思いますがアオイさんは危ない。そこで、救済策として、抜け道ではありませんがデュランさんだけでも合格にする方法を伝授します。まずは、デュランさんが試験を受けてランクアップした後に、アオイさんが試験を受ける。そうしたら、危険な場合はデュランさんが助けに入れます。その場合アオイさんが失格になりますが…まぁ、この方法は時間がかかりますが、確実です。どうですか?」


その提案に、2人は悩んだが


「その方がいい」


カイトが答える。


「お前の身を守るには、そうした方がいいだろう」


葵を見て、そういうカイトに葵は仕方なく


「…そうだな。デュランだけでもランクアップ出来たら、受けられる依頼が増えるしな」


時間がないのは理解しているが、自分の身を守る為に言うカイトの気持ちを汲んで葵は納得した。


メガネの受付嬢は満足げに微笑み


「では、そのように進めさせていただきますね」


そう言うと


「一つ聞きたい」


カイトが口を開く。


「試験の最中、アオイを連れて行く事は可能か?」


そう問うと


「何故?」


首を傾げているメガネの受付嬢に


「アオイに、剣の使い方を教えている最中だからな。俺の動きを参考にしてもらいたい」


そう言うと


「あぁ…」


と、納得したように


「そうですね。デュランさんを参考にする…という事であるなら、同行は構いません。ですが、アオイさんは剣を抜いて自身を守る事は出来ますが、デュランさんを助ける事は出来ません。そうした瞬間にデュランさんの失格が決まります。心配はないでしょうが、それに注意してください」


「わかった」


カイトが答えると


「それでいいな?アオイ?」


と、葵に確認をする。


葵は、それを容認した。


「…そうだな。俺は未熟だから、デュランを参考にした方がいい」


納得の言葉を出す。


カイトの真意は分かっている。


葵を一人にする訳にはいかないからだ。


今の葵では、自分の身は守れない。


魔法を使えば簡単だが、それはヴィヴィアン達…ビルガ帝国側に探知される事を意味する。


それでは、何の意味もない。


2人は、一緒に行動をした方がいいのだ。


自分の未熟さゆえに、と思うと葵は歯痒かったが、それも飲み込んだ。


自分の体は、剣の経験もないレイラ姫なのだから。


剣に慣れていないのは、当たり前であり、仕方のない事。


《椎名葵》としても剣の経験はあるが、あくまでスポーツ。


殺し合いをするような剣ではない。


それ故に、甘さもある。


それを捨てて、克服しないとならない。


その為には、その剣の実力のあるカイトを手本に鍛錬に励まないとならない。



シンフォニアが望む願いの為に…



平和を願うルスレニクスのすべて民の為に…



カイトのレイラ姫を想う願いの為に…



そして、何より自分自身の願いの為に…



そこに、マーニャが紙を持ってやってくる。


「申込書です」


そう言ってから、2人に紙を渡す。


「え~っと説明は…」


マーニャが説明を始めようとすると


「もうしたわ」


メガネの受付嬢が言う。


「えぇ!私が、懇切丁寧に教えようと思ったのにぃ」


マーニャが抗議の声を上げたが


「あなたに任せたら、何時間かかるか分からないわ」


メガネの受付嬢はそう言ってから


「まずは、デュランさん。申込書に必要事項を書いてからカードと共にクリスタルに翳してください。それで受付終了です。えっと、今回の課題は…」


と、マーニャからスッと紙を取り上げて


「デュランさんが、イッカクボア10匹討伐で、アオイさんがフェンダーベア5匹ですね。これならば、大丈夫でしょう」


そう言ってから、それぞれに獲物を書いた紙を渡す。


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