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夢の中の異邦国  作者: 如月まりあ
一路、北へ…
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運動をしよう…そして、ランクアップに向けて

部屋に戻ってから、葵はベッドに座り、ため息をつく。


(…食べ過ぎた…完全に食べ過ぎた…美味しすぎて食べ過ぎた)


自己嫌悪に陥りながら、もう一度ため息をつく。


後から部屋に入って来た何も知らないカイトは


「どうした?何か困りごとか?」


と、心配そうに声をかける。


葵は、首を横に振り


「大丈夫です。何でもないです」


そう答えるが


「だが…」


と心配そうにしている。


葵は、笑顔を作り


「じゃあ、稽古つけてくれませんか?」


と言う。


(こうなったら、運動してカロリー消費してやる!!)


気合十分で決意する。


「…だが、調子が…」


なおも心配そうにしているカイトに


「気分を吹っ切る為にも、稽古したいのです」


と言ってから、木刀を2本取り出す。


そして、その一本をカイトに渡す。


「お願いします」


葵の燃えている瞳を見て


「…分かった。庭に出て稽古にしよう」


そう言って、2人は部屋の外に出た。


その後ろでは、ドアが少し開き、隙間からバッカが、見た事もない表情で2人を見ていた。


2人は庭に出てから、向かい合いに立つ。


「行くぞ」


カイトが言うと


「よろしくお願いします」


葵が答えて、2人で打ち合いが始まる。


「脇が甘い!もっと締めろ!」


「はい!」


そう答えてから、また打ち合いをする。


少し打ち合った後


「少しは上達したようだな」


そうカイトが言うと


「ありがとうございます」


葵は頭を下げながら言ってから


「でも、まだまだです。カ…デュランさんの実力の片鱗すら見せてもらっていません」


葵が、布で汗を拭いながら言うと


「当たり前だろう?お前の腕は未熟すぎるのだから。焦る必要はない。今は、自分の身を魔物から守る事だけを考えろ。実力はおいおいついてくる」


そう言ってから


「今日は、ここまでにしよう」


そう言ってから、宿の中に入るように葵を促す。


「…分かりました」


心情的には、もっと運動をしたいのだが、体がついていかないのは理解できているので、それに従う事にした。


そして宿に入ろうとして、何気なく上を見ると、シュッとカーテンが閉まった気がした。


その部屋は、バッカの部屋だった。


(…見ていた?)


葵は、首を傾げる。


「行くぞ」


先を行くカイトに言われ


「はい」


そう答えて、カイトに続いて宿に入って行った。


部屋に戻り、ベッドに座り込むと


「さて、今日は寝よう」


カイトがそう言うと


「そうですね。明日も早くから依頼を受けて、稽古をしないと」


「あまり力むな。焦らないと言ったのはお前だろう?」


カイトに言われ


「…そうですね」


葵が肩を落として答えると


「まぁ、私にも焦る気持ちはあるから、一概にお前を否定は出来ないがな」


そう言って、ベッドに寝転ぶ。


葵は息をついてから


「すみません、私がまだまだばかりに…」


と言うと


「謝る事じゃない。未熟なのは私も一緒だ。これから強くなっていけばいいだけだ」


そう言ってから


「さぁ、寝よう」


そう言ってから布団を被る。


葵は


(汗かいたな…でも、湯あみとか水浴びは出来ないし)


と、思いながら


(また、どこかの湖で水浴びするしかないわね)


ため息をついてから、布団に潜った。



次の日―2人がギルドに行くと、受付嬢のマーニャが


「お二人とも…昇級試験受けられますよ」


と、声をかけてきた。


「昇級試験?」


と、首を傾げた葵に


「はい!昨日、言っていた通り、FランクからEランクへの昇級が可能となったのですが、その資格があるかどうかの試験があるんです」


そう言ってから


「詳しく話しますから、カウンターに来てください」


マーニャに促されて、カウンターに向かう。


「まず昇級の為には、それなりの実力を示さないとなりません。ギルドから出る魔物を指定する数狩ってきてください。…ただ」


そう言って、葵をチラリと見ながら


「これは、パーティーでは受けられません。あくまで個人の実力を見る訳ですから。個人で狩らないとカウントされません。デュランさんは、難なくクリアできそうですが、アオイさんは…」


「難しい…?」


葵の問いに


「無理とは思いません。レッドディアを狩れる実力はありますから。でも、相当手こずると思います」


マーニャの率直な意見に


「そうか…」


と、葵は考えてから


「試験は何度でも受けられるのか?」


そうマーニャに問う。


マーニャは、


「回数制限はありませんよ。ほとんどの方が、何回かでクリアしていますから。たぶん…」


最後の部分は自信なさげに言う。


「たぶん?」


「いや…何回も挑戦している人いなかったから、たぶん回数制限ないと思うんですが…」


誤魔化すように頭を掻いているマーニャに


「…10回よ」


隣の受付嬢が言う。


「ん、もう!マーニャったらいい加減なんだから!」


呆れながら、隣の受付嬢は言う。


「ごめんごめん」


謝るマーニャに


「とりあえず、Fランクの場合、挑戦回数は10回までで、それに落ちたらギルド資格は剥奪になるんですよ」


隣の受付嬢が、葵達に説明をする。


「剥奪もあるのか?」


葵の問いに


「ええ。それだけの実力がない者をギルドとしては抱えている訳にはいきませんからね」


そう言って、彼女はメガネの縁を上げる。


「Eランク以上になりますと、ランクが下がるという不名誉な事になります。だから、昇級試験には、皆さん実力に余裕を持って臨んでいらっしゃいますよ」


メガネの受付嬢は、ニッコリと笑顔で言う。


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