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夢の中の異邦国  作者: 如月まりあ
お姫様となって旅立ちます。
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いつもの部活 2

部長にそう言われて、気分を良くしたのか


「まぁ、しょうがないですわね。私が直々に教えて差し上げましょう。師範としては、私の方が上ですから」


と、勝手に盛り上がって鼻歌でも聞こえそうな機嫌のよさで初心者の元に行く。

(((チョロいな)))


全員の声が聞こえてきそうだ。


「でも、実際は椎名が教えた方が伸びるんだけどな」


「そうだよな」


男子部員が、聞こえないように小声で話す。


聞こえてないが、美津子が男子部員の方を見る。


「うわ!」


顔を逸らしてから、男子部員も練習を再開する。


「どう?北白川」


部長の問いに


「日々、強くなっていると思いますよ。努力は、すごいですね。私も油断してられません」


そう答える葵。


「またまた、謙遜を。あっという間に一本取っていたじゃん」


「いえ、まだまだ私も精進しないと。父や母には、まだ勝てませんし。全国に行けば私より強い剣士はいますしね」


そう言って、面を取ってからタオルで汗を拭う。


「上昇傾向高いねぇ。その方がチームとしては助かるけどね」


部長の言葉に、笑みで返す。


「まだまだですよ」


そう言って、葵は自分がまだまだだと言い聞かせる。


『油断こそが、慢心こそが、一番の敵である』


それが両親の教えなのだ。


「さて、私も練習しようかね。引退試合も近いし」


そう言ってから葵の肩を叩き


「期待してるわよ。私らの引退試合に花を飾ってよ」


「でも…私は、1年生ですし…3年生を差し置いて試合には…」


「何言っているの?私らの高校最後の公式試合を優勝で飾るのが、私らの願望なの。だから、協力してよ」


部長に笑顔で言われて


「分かりました。尽力させていただきます」


「素直でよろしい」


そう言って部長は、葵の元を離れていった。


(…本当、恵まれた環境で、恵まれた仲間に囲まれて)


ふと、夢を思い出す。


夢の中で、“私”は親友に裏切られていた。


その悔しい気持ちが、今でもリアルに思い出される。


(私も圭子に裏切られたら、すごく嫌だろうな…まぁ、そんな事はないけどさ)


武道館の開いた窓から風が入ってくる。


(涼しい。でも…何だろう…この気持ち。あれは夢なのに…)


武具を外して、右手をジッと見る。


リアルに思い出される、握られていた手の感触。


(何だろう…胸が、締め付けられる。本当、あれは夢だというのに)


思い出されるのは、手を繋いで石の廊下を駆け抜けた事。


黒い髪、プレートメイル越しの背中。


でも、顔はいくら思い出そうとしても思い出せない。


逆に胸が締め付けられる。


考えても無駄だと悟り、首を振ってから武具を着ける。


「練習、お願いします!」


そこに2年生の剣道部員が声をかけてくる。


「お願いします」


葵は、一礼してから2年生の元に向かった。


ちょっと短かったですね。

いよいよ、次は…です。

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