表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の中の異邦国  作者: 如月まりあ
一路、北へ…
48/141

初めての買い取り

『次の者!』


ちょうどよかったのか、前の男が呼び出され


「へいへい…」


男は、カウンターの前に立ち獲物をカウンターに置いた。


ホッと胸を撫で降ろす。


(とりあえず…よかった)


そう思いながら、別のカウンターの受付から


『次の者!』


と呼ばれ


「はいはい」


と返事してからカウンターの前に立つ。


葵から番号札を受け取った受付嬢が


「とりあえず狩ってきた獲物を出してください」


そう言うと


「この荷車だが…」


葵が言うと、受付嬢は荷車を覗き込んでから


「これ…あなたが…?」


と疑いの眼差しを向けられる。


それは仕方ない事かもしれない。


葵の見た目は、弱そうだからだ。


「クリスタルで真偽を確かめてもらっていい」


葵の言葉に


「…そうですね。クリスタルには虚偽の報告は出来ませんから」


そう言ってから


「とりあえず、獲物を確認させていただきます。買い取りは初めてで?」


「ああ、冒険者になって日が浅いから…」


「…なるほど。では、説明をさせていただきますね。まずは、こちらの買い取り場では、魔物の素材や薬草、鉱石等の買い取りをさせていただいております。一般的な知識とは思いますが、レア度に応じた価格設定をしております。ただし、素材などの損傷、鮮度の度合いによって、価格は変動いたします。ここまでで質問は?」


「ない」


葵が首を横に振ると、受付嬢は続けて


「後、虚偽の報告を致しますと、今後買い取りは出来ませんし、ギルドカードも無効、身分証にも記録されます」


「わかった」


「では最後に、虚偽の報告は犯罪と同等の罪になります。了解いただけましたでしょうか?」


「了解した」


「では、買い取りに移らせていただきます」


そう言ってから、別の係員に目配せする。


カウンターから筆記用具を持った男性の係員が出てきて、荷車の中を黙々と検品する。


「獲物は…そちらの方が?それとも、お二人で狩ったという事でよろしいですか?」


受付嬢が確認を取る。


「そうだ。俺は腕には自信がないから、数で言えば彼の方が多い」


そう言って、カイトを指す。


「…なるほど…了解しました。どちらがどれだけ狩ったのかは分かりますか?」


受付嬢の問いに


「分からない。彼の方が多いとしか…」


葵が答えると、受付嬢はクリスタルをカウンターの上に出して


「では、お二人のギルドカードか身分証をこのクリスタルに翳してください。後は、こちらで確認します」


淡々と事務作業を続ける受付嬢の言うままに、二人はギルドカードを出してクリスタルの上に重ねる。


そこに男性の係員からメモを受け取った受付嬢が、メモとクリスタルを見比べながら


「なるほど…虚偽の報告はないようですね。品物の数と仕留めた数が一致しました。後は、品物の査定をさせていただきます。少々お待ちください」


そう言ってから、先程の男性係員に目配せをする。


男性が手を上げると、カウンターの向こう側から別の荷車が出てくる。


買い取り所の荷車だろう。


男性は慣れた手付きで、査定しながら獲物を別の荷車に移す。


横に立っている別の係員が男性の言葉を聞きながらメモをしている。


査定が終わると


「さて…その荷車は…?」


受付嬢の問いに


「ここに来るまでに知り合った者に借りた」


「…借りた?」


受付嬢の表情が変わる。


「その方は?」


受付嬢の問いに


「この街に行商か何かに来ているらしい。俺達も森で偶然会っただけだから、彼の事は何も知らない」


葵が答えると


「では、クリスタルに手を翳してください」


受付嬢の言葉に、葵は仕方ない…という感じで手を翳す。


内心はダラダラと汗をかいているが…


クリスタルを見ながら


「ふむ…虚偽はないようですね。その荷車は、その方に返却されるのですか?」


受付嬢が問うと


「門の所での話では、村の買い出し品を購入した後に、その荷車で運ぶと聞いている…だが…汚れているな…」


意外な事に獲物達の血糊が荷車にベットリと付いている。


受付嬢は、男性の係員に目配せすると、男性が荷車に手を翳す。


男性の手から魔法が放たれ、荷車の血糊があっという間に落ちていく。


「…買い取り所の係員には、こういう魔法が必須ですからね」


淡々と言う受付嬢。


「助かるよ」


葵が礼を言うと


「これもギルドの仕事です」


受付嬢は、再び淡々と答えた。


「それでは、狩った獲物の買い取り金額を登録したカードをお渡ししますので、ギルド会館の受付にギルドカードと一緒に提出してください。報酬と共に買取の金額もお渡しいたします」


そう言って、クリスタルにカードを翳して、葵に渡す。


「これには、アオイさんとデュランさん、それぞれ狩った数が登録されておりますので、それぞれに見合う報酬を受け取れると思います」


受付嬢の言葉に


「あぁ、ありがとう」


葵が答える。


「それでは、次の方がお待ちしておりますので」


最後に満面の愛想笑いを浮かべる受付嬢。


《さっさといけ!こちとら忙しいんだ!》


と、後ろから何かのオーラが見える


葵達は、顔を微妙に引き攣らせて、買取場から去って行く。


諸事情により、しばらくアップできませんでした。

ですが、出来るだけ頑張ってUPしていきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ