ボイテイからの脱出
店主は、カイトが手に取った商品を見ながら
「干し野菜が銅貨2枚銭貨60枚で、干し肉が銅貨5枚、全部で銅貨7枚銭貨60枚てところかな」
そう答えると
「もう少しまけてくれよ。銭貨ぐらいは」
葵が値切りを始めた。
店主は困ったような顔になり
「そうしてやりたいのは、やまやまだがな。こっちも生活かかってんだよ。これでも安い方だぜ」
そう言いながら
「干し肉を1枚追加で、銅貨8枚でどうだ?」
と提案する。
「…そうだな。それでいい」
葵は、あっさりとしたもので、銅貨8枚を出す。
「まいどあり」
銅貨を受け取ってから、商品を紙袋に入れる。
「兄ちゃん達、結構買い込んでいるけど、旅にでも出るんかい?」
店主の問いに
「少し長旅をな」
葵が短く答える。
「そうかい。せいぜい、食料を盗賊や魔物に狙われない様にしな。帝国が攻め込んできてから、魔物だけじゃない、盗賊の連中も活発になってきたみたいだからな」
店主が、アドバイスをすると
「ありがとよ」
礼を言ってから商品を受け取る。
「気をつけろよ」
店主に言われ店を去る。
その後、昨日の傷薬があった店に行き、傷薬を10個程購入する。
その店を後にすると
「デュランさん、早く街を出ましょう」
小さい声で葵は、カイトに言う。
何かが近付いている感覚がするのだ。
カイトも気配は分からなかったが、葵の様子から帝国の軍隊が近い事を察する。
2人は急いで街の反対側にある裏門の方に向かう。
こちらにも当然、門番はいるのだが…
身分証とギルドカードを見せると
「目的は?」
小さな声で聞いてくる。
「森の魔物狩りだ」
葵が答えると
「荷物が多いようだが?」
門番が怪しげに見ている。
「レベル上げの為に数日、籠るつもりでね。危なくなったらすぐに街に戻るつもりだ」
背中に変な汗が流れているが、平静を装って受け答えすると
「そうか…そっちの兄ちゃんはともかく、あんたは気をつけな。弱っちいみたいだからな。特にこの辺にいる盗賊は質が悪い。気をつけな」
門番は、そう言うと身分証とギルドカードを2人に返した。
それを受け取ると、気付かれない程度に足早で門の前から去って行く。
…その少し後だった。
門の周辺が慌ただしくなり、門が封鎖されたのは。
「ギリギリ間に合ったか?」
その様子を森の中から見ていたカイトが言うと
「みたいですね。出る少し前に表門が騒がしかったから、軍隊が入ってきたと思います」
葵は、ホッと胸を撫でおろす。
そして、収納魔法を展開しようとして、それを止めた。
「どうした?」
カイトの問いに
「もしかしたら、ヴィヴィアンが街にいるかもしれませんから、魔法はもう少し離れてから使います。それまで、重いでしょうけど…」
そう言って、荷物を見る。
薬草・傷薬・食料…荷物はたくさんある。
宿屋の女将が、好意で大きめのバックをくれなかったら、荷物を持って途方にくれていた所だ。
「重い荷物には慣れている。アオイの方は大丈夫か?」
「これくらいの重さなら、鍛錬でよく背負って走っていましたから、その延長上だと思えば」
そう答えてから、バックを肩にかける。
結構重いが、少しの我慢だ。
「門番も言っていたが、魔物や盗賊に注意しながら進む事にしよう。だが、遭遇したら、とりあえずお前は自分の出来る範囲で交戦しろ。そして、私の側から離れるなよ」
カイトが葵に向かって、そう言うと葵は頷いて
「そうですね。まだ私では対応出来ない。魔法を使えば何とかなりそうですけど、それは最後の手段にしておきましょう」
そう言ってから、剣を抜きやすい位置に調整する。
「先に進もう。奴らが気付くのに時間はかかると思うが、油断は出来ない」
カイトの言葉に葵は頷いて、2人は先に進むように歩き出した。
『間に合いましたね…』
『ああ、そうだな』
『私達も先に出ていて正解でした』
『街に残してきた連中が、上手く攪乱してくれれば、時間は稼げるだろう』
『ですね。それより…ここらを根城にしている奴ら、どうします?数が数だけに、2人では対応は難しいですよ。奴らは質が悪いから、顔立ちのいい姫様は売り物にされる可能性もあります』
『それは、我々で対処しよう。姫様達は魔物相手に力をつけてもらうしかない』
『それは英断ですね。早速、人員を割いて奴らの弱体化を』
そう言ってから、別の誰かに何か指令を出す。
『とりあえず、私達はどうします?やはり、このまま監視を続けます?』
首領をみなされる男は、少し考えてから
『そうだな…』
そう言ってから、何かを指令した。




