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あれ?声に出てました?

ギースとの出会い。ゲームでの第一印象はそれ以上落ちようがないくらい最悪でしたが??

 



 クリス殿下との婚約内定後、半年がたった。

 まだ正式には発表されていないので、きっとまだ撤回できると信じている。


 そんなわたしは11歳となり、勉強やマナー、ダンス、そしてまだ正式に決まっていない(と思いたい)のに王妃教育を受け、忙しい日々を過ごしている。



 そんなある日、父様からお呼び出しを受けた。


「お父様、失礼いたします。」


 父様の執務室にいたのは、例のお義兄さま。

 彼が振り返った時は衝撃を受けた。

 クリス殿下のときもそうだが、美形のオーラを目の前にすると、呼吸が一瞬止まるのだ。


 だめだ、見すぎたら目をやられるやつだ、この人も。


「さっさと入れ。」


 父様に言われて、ドアで立ち止まっていたのに気が付き、急いで中に入る。


「もう耳には入っているだろう、お前の義兄になる、ギース=ウィスタンブルだ。ギース、これが先ほど伝えたエルリアだ。先月、11になった。エルリア、挨拶をしろ。」


 これってなんですの、このくそ親父!と思いつつ、笑顔を取り繕いつつ、淑女の礼をする。


「これ扱いすんな、このくそ親父!エルリア=ウィスタンブルと申します。どうぞよろしくお願いいたします。ギース義兄さま。」


 言ってから、しーんとした空気に包まれる。




 ……。





 あれ?もしかしなくても、声に出てました?



 ……。

 …………。




 誰も一言も発さず、空気はどんどん重くなっていく。




……。

…………。

………………。






 ちらり、と横目にラスボス、じゃない、父様をみるとそれはそれは、見たことがない邪悪な微笑みを浮かべていた。


 やばい!

 ラスボスに喧嘩売るとかクリス殿下の婚約者になるよりよっぽど死亡フラグな真似じゃ……!!


 わたしは父様から、避難経路である入口のドアを盗み見る。

 と、家令のキリスがそのドアの前にすっと立ちはだかる。


 ちっ、読まれてやがる。かくなる上は、窓しかない。とギース義兄さまの奥にある窓を見て、足場を確認する。これは時間との勝負だ。


 わたしは一気に駆け出し、(はしたなくも……でも命大事!)ソファに乗り上げその背を蹴って窓に向かう。

 あと少し!今日はちょうど天気も良くて窓も開けられていることが幸いした。

 窓枠に足をかけ、外に出た!




 ……はずだった。




 もうそこに見えていた地面は、なぜかいつまでたってもたどり着かない。

 ばたばたと手足を暴れさせてみても、どうやらだめなようだ。



 なぜだ?



 ふと、腰に回された腕が目に入った。

 恐々と、後ろを振り向くと、ギース義兄さまの美しいエメラルドグリーンの瞳と目があった。



「やんちゃな妹だね、エルリア。」



 とても素敵な笑顔で、捕獲されていた。




 そのあと、散々父様から叱られたのは言うまでもない。

 くそう、覚えてやがれ、くそ親父。


「くそ親父、ね。エルリア。」


 あ、また、声に出てました?








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