恋はまだ
クリストファーとカタール側のお話。
お茶会終了後、クリスの部屋にカタールが遊びに来ていた。
「あいつ面白いな。」
「ああ、ねぇ。バカなところがまた可愛いよね。初対面の時には婚約など考えられなかったけど、今の彼女なら悪くない。」
「孤児を拾ったって?」
「そうらしいね。その後、孤児院まがいのところにいた子供たちの保護を宰相に求め、その後も定期的に孤児院も訪問しているとか。今まで野放しだった中央の修道院と孤児院は戦々恐々だろうねぇ。ふふ。」
「あそこ怪しかったもんな。」
「そう。でもなかなか内部まで潜り込めなかったんだけど、今回の件でどうやら内部に査察が入るらしい。こじ開けてくれて彼女には感謝しているよ。」
「でもそれ、エルリアは知らないんだろう?」
「気が付いていないね、あの子は。知らずにやっちゃうところがすごいよ。」
はは、とカタールは八重歯を見せて笑う。が、ふと真剣な顔になって目の前のクリスを見つめる。
「おれ、ああいうバカで面白いやつ好きだ。」
ギー、ギーと、椅子を上下に倒しながら、挑発するようにクリスに言う。
そう言い放たれても、クリスはそれをちらりと見ただけだ。
紅茶をゆっくりと一口飲むと、顔を上げてカタールの目を見つめていつもより低い声ではっきりと言う。
「カタール、彼女は僕のだよ。」
しばらく、無言で見つめあう。と、どちらからともなく、息をもらした。
「でもまぁ、君のは恋ではないだろう。」
「クリスだって。」
「そうだね、恋というのはまだ分からないね。気にはいっているけど。」
まぁしばらくは、彼女で遊ぼう、というとカタールは賛成!と笑った。
恋はまだのようです。というか、お互い実はちょっと本気なんだろうなぁ、と思っているのですが、まだ男の子同士で遊んでいたいのです。二人だった世界に、エルリアって面白いお馬鹿な子が現れて、三人楽しく遊ぶのも悪くないな、という感じですね。