表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/60

父様は一風変わった愛情表現をするらしい

 



 エルリアが退出後、父・グラード=ウィスタンルブルは片頬をあげていた。

 その顔はなにか悪だくみをしているとしか思えず、見るものに恐怖を与える表情だった。

 傍に控えていた家令のキリスにも珍しいと思える顔である。


「おや、グラード様が笑顔を見せるなんて珍しいですね。」


 あ、それ笑顔なんですね?不穏すぎますけど、笑顔なんですね!?


「あいつ、なにがあったんだ?俺たちの愛がほしいほしいと全身で喚くだけのガキだったのに、急に変わり始めた。」


「そう、ですね。一月前のお茶会から帰ってきてからですね。良い出会いでもあったのでしょうか。」


「あのバカなガキのままなら、どっかの辺境の次男坊にでも嫁がせるかと思っていたが。鼠の件で俺のもとを訪れた時にははっきりと俺の目を見て、立ち向かってきたからな。」


「おや、それはすごい。大人の貴族たちでさえすぐに目をそらされてしまいますのに、ね。貴方様はお顔が険しいですからねぇ。」


「今のあいつなら、少しは使えるだろう。」


「誤解されるような言い方をせず、素直に成長が嬉しいと仰ればよろしいのに。」


 キリスがため息をつく。


「ふふ。あいつの母に似てきたな。敵わないと分かっていても、必要なら震えながら立ち向かってくる。」


 グラードの目が獲物を狙った強者のそれに変わる。

 グラードは、基本冷徹だ。だが、好意をむける相手をいたぶる……いや、嗜虐的な性癖……、いや、ええと、一風変わった愛情表現をすることがある。


 今までそんな愛情表現を見たのは、奥様であられるリルリア様へのみだったのに、今はエルリア様にもそれが向けられているようだ、とキリスは考える。



 こうなったときのグラード様は、やばい。



 キリスはふっ、と息を吐く。


(エルリア様、大変ですけど、頑張ってください!)


 遠い目をして心の中でエルリアにエールを送った。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ