世界の片隅で高笑いを
こんにちは、二作品目です。緊張です。
たくさんの作品の中からこの作品を読んでいただける、それが本当に嬉しく思います。
初めに、当作品はお話の文字数が各話によってまちまちです。多かったり少なかったり。
読みづらいことも多いかと思いますが、皆様あたたかい気持ちで見ていただけると、嬉しいです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
「ほ、ほほほ」
場所は王城の一画にある温室。バラが美しく咲き誇り、見るものを魅了する素晴らしい庭園だ。
本日は王妃主催のお茶会が開かれていた。表向きはそうだが、第一王子であられるクリストファー殿下の婚約者候補たちを集め、王子と顔合わせをする場所である。
そんな中、寝ころびながら高らかに笑い出したのはエルリア侯爵令嬢、10歳。
そんなところでなにをとお思いだろう。いやしかし待ってほしい。
悪役令嬢といえば、昔から「ほーほっほっほ」という高笑いをするものだ。わたしは旧習に倣ったにすぎない。
「ほーほっほっほっ、げ、げほぅっ」
あ、高笑いって喉鍛えてないと出来ないんですね。いや。あれは腹式呼吸か。
反省しつつ、こちらを心配そうにのぞき込んでくる将来の婚約者(予定。あくまで予定!)を見る。
さらっさらな蜂蜜色の髪
大きなアイスブルーの瞳
くそう、美形だ!
ずっと見ていたら目がやられるわ!
そんな彼が先ほどまでの嫌悪の顔ではなく、心配そうにこちらを見ている。
「ねぇ、大丈夫?今人を呼んでいるから。」
「問題ありませんわ、殿下。ほーほっほっほ、ご、ごほぅ」
だめだ、高笑いは腹筋を鍛えてからにしよう。
立ち上がり、今日のために誂えたドレスの裾をはたく。
よかった、あまり汚れてはいなさそうだ。
そっと後ろをみると、水路が流れており、その淵の石部分に頭ぶち当てたようである。
石頭に生んでくださった母様に感謝したい。
深呼吸をしようとして、またむせたが、なんとか呼吸を整え殿下に相対する。
「この度はご不快にさせて申し訳ございませんでした。今後は一切、近づかないことを誓いますわ。では、殿下。失礼いたします。」
何事もなかったかのように、ドレスの裾をつまんでお辞儀をし、その場を去る。
そう。
殿下にべたべたしすぎて嫌がられ、タイミング悪くわたしが石につまずいた瞬間に殿下に手を払われた。
そしてこけて頭を打ち付けた拍子に思い出した。
この世界は、前世でプレイした「花びらラビリンス~愛がすべて~」ではないか!あのクソゲーの!花びらもラビリンスも関係ないではないか!あのクソゲー!(大事なことなので2回言いました。)
「ねぇ」
好感度上げが簡単すぎて、逆ハーレムにたどり着きやすい。
逆に、一人に絞って攻略が難しいのだ。
みんながみんな、ヒロイン大好き。ヒロインラブ。な世界に落とされた悪役令嬢、エルリア。
「ねぇって」
エルリアは働き者だ。多くのルートで悪役っぷりを発揮し、そして最悪攻略対象者に殺される。
因みに、エルリアが全く関わり合いのなかったルートでも、なぜかついでとばかりに投獄されたり身一つで追放されたりする。解せぬ。エルリアさんの働かされっぷりにブラック企業もびっくりだ。
逆ハーウハウハなヒロインの後ろで、投獄されたり追放されたりナレ死(ナレーションのみで死んじゃったよーっていう、あれね。)したりするエルリアさんに、一人に絞った攻略がなかなか達成できないことも相まって、コントローラーを握りしめて涙を流した戦友たちは多かったはずだ。
エルリアに同情し、彼女を追悼する会まで開かれていたくらいだ。
やばい。
わたし、ほぼほぼバッドエンド決定した。
え、どうする!?どうしたらよいの!?
読んでいただき、本当にありがとうございます!
さて、物語のはじまりはじまり~♪