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獣人の国

レイヴンに存在がバレて二日。彼らはレイヴンと打ちあいながら、魔王へまでの道のりを歩いて行く。その道のりで着実に実力を付けて行くがそれでもまだレイヴンに切り傷、いや擦り傷一つ作れやしない。


最も、レイヴンは人類最強と言っていい。建前的には俺たちの召喚した国で一番強いことにはなっているが、その強さは人の強さなんかじゃあない。下手をすれば魔王ともやり合えるそんなレベルだ。


もちろん、倒すまでには及ばない。前回の俺の冒険でもついてもらい指南をしてもらった。んで、魔王討伐の時も一緒に居たんで、俺と魔王との間で不可侵っぽい奴が結ばれたことも目の前で見ている。


魔王までの道のりは正直に言ってしまえばそれなりに遠い。今、俺たちがいる大陸から海を渡っていくつかの集落を通って行かなければならない。集落ってのは魔物や魔族のだな。


今、向かっているのは獣人の国。


名前は忘れたが、その国は獣人が代々納めていて、ライトノベルのように王は一番の実力者がなるという伝統を持つ。


今代の王は黄金の獅子王と呼ばれ、金色に輝く鬣をもち、ここ数年で一番の実力を持つなんて聞くが手合わせどころか見たことすらないんで、実力は測れない。


この国に来た理由は獣人の国に伝わる身体能力を著しく上昇させるという装備があるらしいからである。


聞くところによれば、それを装備すると身体能力が自身の二倍ほどまでに上がると呼ばれているが獣人の国では保管はしているが滅多なことでは使わないらしい。まぁ、元が高いんで当たり前っていえば当たり前なのだろう。それに、そこまでの能力を持っていて、何の制約も無いなんてことはないだろう。






獣人の国は人の住む王都と比べても劣らないものだった。聞けば、いろんな種族が集まっているのだから、建築などが得意な種族もいるということらしい。


強いて言うならば、家が王都に比べて、大きさの差が激しい。上は二階建なのに三階ほどまである大きさから車サイズの小さい家までと獣人の身体の大きさに差があることも分かる。


勇者たちは一泊してから王城へと訪問するらしい。勇者とレイヴンは宿を取る勇者と王城へと訪問を伝えるレイヴンと一旦別れる。


勇者たちは町を少し探検するらしく、旅館のある方角ではなく、この国の中央の広場へと歩みを進める。


「安いよ安いよ〜!」


「美味いもんはいかがかね〜?」


そんな掛け声が似合うような結構な賑わいを見せている。ここに着いたのは昼だったから、勇者たちはここで昼飯も食べていくらしい。


「見ろよ?獣耳だぜ?モフモフさせてもらえねぇもんかねぇ?」


王都にも獣人はいたがここまでの獣耳を見たのは初めてで少し興奮気味のやつもいる。


何の魔物の肉かはわからない肉串を人数分買い、

今までの緊張感は嘘のように談笑しているが飯時までそんな暗い顔をされて昼飯を食べられたら、気分が悪くなるので一向に構わないのだが。


ちなみに俺も食べては見たが、いいタレを使っているのか、肉に味が染み付いており、とても美味しかったと追記しておこう。






次の日、王城へと招かれた勇者たちだったが、俺は招待されてなんかいないので、コッソリと忍び込まないといけないので大変だった。技術的には問題無いのだが、何か物に当たるだけでバレてしまいそうになるので、緊張感はある意味で一番大きかったかもしれない。勇者と名乗って入れないこともないかもしれないが少しでも俺がここにいることはバレないようにしたい。


王都の王城は白のイメージがあったが、こちらの国では茶というイメージが強い。庭もこちらの方が大きく、自由度が高いような感じだ。


一応、今回は獣王との謁見という形で通されたので謁見の場で装備のこととバックアップの件を伝えるのだろう。


「ーーーーということでございます」


王はその話を聞き、ふむ、と一言だけ言う。


「ふん、貴様らに頼らなくとも我ら気高き獣人は魔族などに遅れなど取らぬわ」


周りにいた傲慢そうな一人の偉い役人さんがそう言い、周りは同調する者も多い。


黙れと少し大きめの声で威圧する。


「悪いな、勇者とレイヴンよ。話は分かったが、了承することはできない。確かに魔王が復活したという話は驚異ではある。が、この国の国宝の一つであるあの装備は我が国が持っているからこそ意味がある。あれを他の国に渡すのはパワーバランス崩れてしまうのでな」


まぁ、その装備をレイヴンなんかが装備したら、世界征服すら出来そうだもんな。


「今日はこの城で泊まっていけ。後に使いを送る。バックアップの方は多少なら融通を利かせよう」


こうして、謁見は終わり、勇者とレイヴンは少し大きめの客間へと案内され、使いの者を待つだけとなった。


「何か違和感を感じなかったか?」


実質的なリーダーを担っている奴が客間で皆にそう述べる。


「えっ!そんなのあった?」


「確かにな、堂々としていたが、どうにも何かがおかしい」


疑問を覚えた奴と覚えない奴。


「...zzzz」


...多分寝てて聞いていなかった奴。


彼らの意見は三つに分かれる。


「いいか、先ず、第一に装備が渡せないということ。確かに悪用は出来るし、悪用をされれば国が滅んでもおかしくは無いが、所詮一人の力じゃ多人数は叶わない。それこそ...」


チラッとレイヴンを見ながら自分の意見を周りに聞かせていく。


「二つ目は俺の思い込みかも知れないが、どこか心ここにあらずという感じだった。何かこれより重大なことがあってこんなことを暇などない。みたいなかんじだった」


トントンッ。ノックの音。


「お待たせ致しました」


一人の狐耳のメイドさんが入ってきたあと入ってきたのはこの国の王、獣王だった。


先ほどまでの威圧は嘘のように消え、同一人物とは思えないくらいに疲れ切っているのが目に見てわかる。


入ってきて早々、王は頭を下げて言う。


「恥なことは分かっている。娘を助けてくれないか?」


調子がここんとこいいかなと思ったら、

遅くなってました

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