ダンジョン
あまりモチベが上がらん。風邪にはお気をつけ下さい
予想通りと言うべきか二日目、三日目と代わり映えない日が続いていた。
前述した通り、何もなかったので記しておくこともない。
あったのは四日目の夜だった。うちのクラスの集団の一つ、サッカー組の奴らが脱走をしたらしい。
ここのところ、一般兵士では歯が立たなくなってきてはいたので増長しなければいいなと願っていたところだった。
「ったく、面倒くせぇな」
一人でボヤきながらもサッカー組のスキルなどを思い出して見るが、そうそうのことでは死なないだろう。
ほっとくか、と考える事を放棄した。
五日目。俺たちをダンジョン探索に連れていくと言う話が出ていた。大分、実力がついてはきたので、腕試しを兼ねてと言ったところだろう。
ダンジョンは世界に複数ある。どれも踏破したものはなく、最下層すらたどり着けていない。
難易度が高すぎる。
上層では、初心者にうってつけの魔物をが多いが、中層には罠も増えるし、下層は魔物は強いし、罠も悪趣味になる。
まぁ、俺たちでも上層であれば、問題ないと言う事なのだろう。
明日、非戦闘組以外は連れていく話になり、話し合いは脱走したサッカー組の話に移り変わる。
案外、騒ぎにはなっていないので、放置という考えをあるらしいが一応、捜索という体では行くらしい。
まぁ、比較的異世界小説の流行っている日本人からすれば、脱走なんかもよくあるから、どうも思わないのだろう。
さらに、魔族と魔王の経過報告。
どうやら、魔族の動きが活発になっていて、動きも不気味らしい。
これは、勇者召喚がバレていると思っていいだろう。下手をすれば、明日のダンジョン探索にも支障をきたすかもしれないが止める気はなさそうだ。
俺も明日は参加するつもりだし、心配することはなさそうだ。
六日目。ダンジョン探索に参加するのは集まってくれ。という話を朝食時に受け、ダンジョン探索をすることになる。
「君はいつもの訓練にいたかな?」
兵士が俺の事を疑って聞いてくる。
「やだなぁ、いたじゃないですかぁ」
瞬時に兵士の意識を飛ばし、この記憶を消す。
記憶の捏造もできるがあまり顔を覚えてもらいたい訳ではない。
これを二、三度しているとダンジョンに入り始めた。
今回のダンジョン探索では、全部で三十層あるうちの上層、五層くらいまでいくらしい。
大体、兵士の手に負えるのが限界になってくるところだ。
その先は練度の高い兵士やランクがCを越えている冒険者が行けるような感じではある。
正直、勇者はまだまだ行けるだろうが日帰りだという事もあるのだろう。
一層目は省略し、二層目は一体の魔物を兵士が殺し、三層目から本格的に探索するらしい。
二層目で、兵士が下級の魔物を殺す。
剣が魔物の首を捉えるが一息に頭と胴体を分けることに失敗し、二、三回と剣を打ち付け、嫌な音と鮮血が辺りに響く。
結局、魔物の首を落とすことは出来ず、途中で絶命したので剣で斬ることをやめたようだが途中でやめたことで余計に醜く、悲惨な姿になっていた。
オエッ。
誰かが吐いた。
「き、気持ち悪い。思っていたのと違う」
「もっと綺麗に殺せなかったのか」
殺す。この世界で当たり前のことだが、平和な日本で生まれ育った俺たちは違う。
殺すことなんてしなかった。アニメの世界ではもっと綺麗に仕留めていた。
その甘さが勇者たちにはまだあった。今日、この日が初めての実践だった。しかも、まだ兵士が殺しただけで自分で手を下した訳ではない。
俺も最初はそうだった、と思う。
あまりのグロさに気が狂いそうだった。
俺たち、日本人は誰もがおんなじような感想を抱き、恐怖した。
自分たちもこうしなければ生きられないと。