一日目
風邪引いてました。鼻と喉が主ですね。お気をつけください
次の日から、特訓が始まった。
俺なんかはやることがないのだが、一緒にやらされた。
やらないと怪しまれるのでどうしようもないところではあるのだが...。
すっぽかした。
んで、城の出っ張ってるところがあるのが想像できるかね。ま、そこに座って適当に風を浴びてた。
正直に言えば、クラスで話せる奴なんかいないし、訓練って言っても退屈きわまりない。
しかし、兵士に見つかるわけにも行かないので昨日出来なかった昔話でもするとしよう。
去年の今頃、俺はこの世界に召喚された。転移させられた。誘拐だ。
同じような説明だったが、あの時は俺一人と他に頼れる仲間も誰もいなかった。孤独だったよ。
命じられるままにあちこちを掛け渡り、悪と呼ばれる生命を片っ端から殺し、魔王まで手に掛けようとしたが結局、交渉をして、暫くは死んだものとして行動を控えさせたのだが
その後にこの世界の真実を知ることになった。
...言うとでも思ったか?まぁ、よくあるラノベ的展開と思ってくれていい。
結局のところ、魔王も悪かったが人間も十分にクソ野郎ってことだ。
そんで、まぁ適当に地球に帰ったんだが、こっちで何年かいたのに三日くらいしか経ってなかったもんだから、長めの家出みたいになっちまった。大体一年で一日分くらいなんだろうな。
だからといって、現実での一日がこちらの一年になるわけじゃあないっぽいが。
あとは、引っ越しをして新しい学校に来たのにこのザマだ。
ふと、下を見ればクラスメイトの奴らが疲れた顔をしてる。
「なかなかにいい気味だな」
独り言だ、気にしないでくれ。俺もあんな時があったがこうして客観的に見るといい気味という感想しか出てこない。
地球からこちらに来た人は短期間で恐るべき成長を見せ、現地の奴らをぐんぐんと抜いていく。
ましてや、人類の成長限界などたかが知れている。英雄クラスでもないと地球人には敵わない。
それに加えて、俺らは数が多い。そうそうのことがない限り、一方的な戦いになる。
成長限界という話でするなら、魔族や獣人はそれなり高い。
英雄クラスではなくても、十分に地球人に匹敵する奴らがいる。
話を戻そう。
俺ら、地球から来た勇者はあと三日もしないくらいでこの国の兵士長と同じくらいになる。というより、俺がそれくらいだった。
そうなると増長してくるバカが出てくるので少しばかり厄介だ。
そういえば、非戦闘者はどうしているのだろうか。
千里眼の恩恵で王城を探ってみると個室で集まってわぁわぁやってる。
どうやら、トランプを自作し遊んでいるらしい。見ると、メイドさんも混ぜて大富豪あたりをやっているようだ。
...こういう奴らにも警戒しなくちゃいけないのか。
技術革新なんて起こされた日には目も当てられない。トランプくらいならまだしも、銃の製造法なんて知られたら、色々とめんどくさいことになる。
俺がこの世界の心配してどうするんだと思いながらも、心配は尽きない。
銃なんて戦争の歴史が変わる上に俺ら、召喚された人でも身の危険を感じるようになる。
悪化すれば爆弾なんて兵器までがポンポン出てくりゃあ人間なんて一たまりもない。
ま、そんな訳で表舞台には出ないけどそういうとこは規制しておかないとだね。
一日目と言えば、こんなところか。
しばらくは代わり映えのしない風景がつづくのだろうと心の底から思っていた。