内部
長くしようと思いながら書いてますけど、短くてページが多い方がいいのだろうか? と考え始める今日この頃。
洞窟の中はやはりどうやっても暗いままで肉眼で中を捜索するのはとても大変な作業になることは間違いなさそうだった。
「しかし、まぁ、ある程度は目が慣れてきたな」
相変わらずのぶっ壊れ性能を発揮していくレイヴンは、お前らはまだなのか?と言わんばかりの顔で勇者たちを眺める。
「いやいや、おかしいから」
「そうか?大体にして、目をつぶりながらでもこんな洞窟など歩けるだろうに」
規格外である。
「なんにしろ、こんなところにいても何も進まない。さっさと行くぞ」
まぁ、使えない勇者を気遣って余裕などはない。こうしている時にも人が死んでいるのかもしれないのだから。
「いいか、イメージしろ。その後は音でも匂いでも何でもいい、地形をすることの出来るものを探せ。そして、イメージを完成させろ。そうすれば、目なんて使わなくともいい。いい訓練になる」
しかし、これには弱点もある。単純に音や匂いがしない敵の場合は通用しない。
「まぁいい。やりながらで構わないだろ」
そうして、ようやくだ。ようやく洞窟の探索を始めた。
もちろん、先頭はレイヴンが、次に勇者が続く。
一応レイヴンはレイヴンなりに気を使い、自分の気配がわかるように少々の殺気などと言ったものを辺りに撒き散らしている。
勇者もコツは掴んではいないようだが、レイヴンの発する気配だけはしっかりと把握し、おぼつかない足取りではあるがついていっている。
....あ、今、出っ張ってる石に足ぶつけたな。所詮は気配だけで行く方向を掴んでるだけだから仕方ないとは言える。
ちなみに俺は暗視っていうスキルのおかげで暗かろうが見える。もちろん、レイヴンみたいに音や匂いからでも地形の把握はできる。
ガコンッ。何かスイッチの入るような音がした。それは、罠を作動した時になりそうな音で、考えるだけで気分は億劫だ。
「前方から巨大な丸岩だ。斬るが破片は飛ぶだろうから、何とかしろ」
先頭にいたレイヴンは斬るらしいが、正直な話破片も残らないように消す事すらできるのにしないのはあくまでも、訓練の一環なのだろう。
岩とレイヴンが接触する。レイヴンは真っ二つに割ることを選択したらしい。懐から抜いた剣を上段の構えから力一杯に振り下ろす。
剣は欠け、破片は辺りに飛び散ったが、思い切り真っ二つにされた石は後方へと飛んで行く。
「ちょ、ま、マジかよ」
何とか勇者は回避したらしい。だが、安心したのもつかの間、既にレイヴンは二つ目が来ていたことに気づき、剣が斬るのに適さないと分かれば、叩きつけるように岩を砕く。
その剣は使い物にはならなくなったが岩はただただ砕かれた。しかし、砕かれた岩は完全にどう来るか予想がつかない。
勇者は飛んでくる破片に苦しみながら何とか回避や弾いたりはしているが危なっかしい。弾いたものが方向を変え、違う勇者へと当たることもあった。
それでも、直撃は免れており、無傷とは言えないが限りなく無傷に近い状態に済ますことが出来たようだ。
「一体、どこにあるってんだ」
レイヴンがぼやきながら進むが、どうやらありそうだ。
暗い空間にまるで隔離されたように明るい空間がそこにあった。
まさに闇と光、世界が違うようにくっきりと線引きがされ、暗かった場所から明るくなるのだ。
「これは、また、怪しい感じで作られてんなぁ」
開けた空間は研究所のような場所だった。怪しげな薬品がそこらへんに置いてあり、いくつかの培養槽みたいなものは割れ、何が入っていたかは想像もしたくない。
一人の勇者のやつが勝手にレバーを勝手に下げる。
ガコンッ。全員に緊張が走るがしばらく待っても何も起こらない。少し辺りを探索していると一人が声を上げる。
「電気がついてやがる」
今の今まで光というものを拒絶していた通路に電気がついていた。仕組みはよく分からないが電球の類のものは見つからないので壁自体が発光しているのだろう。
しばらく、そこで調査を続けると何個か怪しいボタンを見つける。
「これが結界の鍵か?どれだっていう話だな、面倒くせぇ」
適当でいいんだろ?と言わんばかりにレイヴンは直感で並んでいたボタンの左端を押す。
反射的に屈んでしまう勇者達ではあったが、何も起こらない。
「何も起こらないな。もう一つ押してみるか?」
流石に勇者もこればかりは止めなければ、と思ったらしく、全力でレイヴンを取り押さえようと飛び掛かる。
「何だ?やる気か?」
とはいえ、六人ですら及ばないというのにたった三人で止められる訳もない。
三人を一瞬で片付け、隣のボタンを押す。今回は不発ではない。けたたましいサイレンと共に放送が入る。
「爆発まで五分です。カウントダウンを開始いたします」
どうやら、自爆スイッチらしい。みる限りは重要な秘密のある気はしないが昔はあったのだろう。
急いで勇者を叩き起こし、レイヴンたち、勇者は急いで脱出する。
通路に電気はついたままだったので、帰りは安心していいのだろう。
ふと、気になりボタンを見てみる。
明らかにへこんでいるボタンは二つ。二回目に押されたボタンには、
ーードクロが描かれていた。
レイヴン、あの野郎。いつか痛い目に合わせてやる。