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洞窟

お待たせしました。

次の日、シロとメイドさんはしっかりと準備を済ませていた。


「....やっぱり考え直さないか?」


王の心の準備は済んでいないようだが。


代わりにメイドさんの方が説明を始める。


「まず、援助の方は当初通りです。また、今回はは姫さまがついて行くということなので国宝を持ってまいりました。即死するような攻撃を受けた際にそれを全て肩代わりすることが出来る魔道具ですが....まぁ、これは姫さまが持つのは確定ですね」


だろうよ。それで?


「それぐらいです。それと私は戦闘術においては嗜み程度ではございますので、心配に及びません。また、姫さまが疲れるのはもっての他なので、姫さまには姫さまには変身してもらってですね、誰かに装備して貰おうかと」


...誰もがその事実を忘れていた。誰かが犠牲にならなければならないと。


恥を捨てて、強さを取るか。


強さを捨てて、恥を取るか。


「レイヴンさん、つけていいですよ?」


誰かがボソリとくだらない冗談のように呟く。


「ほう?」


殺気が辺りに振り撒かれる。一応は、シロとメイドさんにはいかないようにコントロールしているらしいが大分濃厚な殺気が勇者たちにはかかっているので、身動き一つ取ることはできない。


「....zzz」


まぁ、例外もいるようだが。


「冗談が過ぎました‼︎」


分かればいいとばかりに瞬時に殺気を引っ込める。


「んじゃ、お前つけろよ」


と、仲間にさり気なく売られ、急な飛び火に慌てて首を振り、全力で断る勇者。


「な、な、な、何言ってんだよ!俺がつけるなんて無理に決まってんだろ」


「ほう?」


今度はメイドさんからのものでレイヴンとはまた違う殺気が辺りに振り撒かれることになる。


「姫さまをつけることを断るのですか?こんなに愛らしいこの国の、いや、全世界の宝とも言える姫さまを拒絶するおつもりで?」


「いや、僕なんかがつけるなんて恐れ多いというでしてですね...。あははは...」


「ならば、誰が姫さまの恩恵を受けるのですか?まさか、姫さまに歩けなんてそんなことを仰るつもりでもないでしょうに。最も、そこのレイヴン様にはご遠慮願いますか?色々と理由はございますがあなたに姫さまは預けられないかと思いますので」


結構失礼な物言いではあったがレイヴンの機嫌を損ねることはない。むしろ、感謝を述べてもいいほどにホッとした表情を一瞬だけだが浮かべていた。


「それで、どなたが?」


「それこそ、メイドさんでいいんじゃないんですか?」


「...私だってそうしたいですよ!それでも、それでもですね、私には狐族の耳がございまして、そんな頭に姫さまを乗せるなんて姫さまへの侮辱になってしまう。だから、私は血の涙を飲んでですね、姫さまをどこの馬の骨ともわからない勇者とかいう奴らになんて思いながらもですね!」


「別に良いのに〜。そんなこと気にしなくても。ていうか、シロも歩きたい〜。旅したい!」


「って、言ってますし、良いんじゃないんですか?最初は歩いて、疲れたら後はメイドさんの頭に乗っかって貰って」


「し、しかしですね...」


ここぞとばかりにメイドさんに猫耳を押し付けようと頑張る。


「もーう、しつこいよー?良いって言ってるじゃん?それ以上とシロでも怒ってちゃうんだからね!」


「ひ、姫さまぁぁぁ。やっぱり姫さまは至高です。一生ついて生きます。一生愛でて愛します」


話は纏まったようだ。




続いて向かうは魔王城。と言いたいところではあるんだが、どうやら魔王城には強力な結界が張っているらしい。


それは魔王城の近くにある洞窟によって張られているらしいのでまずは、そこへ行き結界を壊すらしい。


俺の時はそんなものはなく、むしろ多かった。世界の端の方の四方位に一つずつ、つまり全部で4箇所の封印を壊さなければ魔王城の結界は壊せなかった。


あー、楽で羨ましい。


あいもかわらず、道中で修行を続ける彼らだったが少しは強くなってきたと言っていい。


獣人の国を出て、既に十日ほどは過ぎたが洞窟の特定に時間がかかり、未だに見つかっていないので、近くの村を拠点としながら、修行をしていたのである。


レイヴンの息は切れていないが、よく見ると皮膚が赤くなっているような?赤くなっていないような?


正直に言って、レイヴン超えられるのか。それすらも怪しい。魔王を倒すなんて以ての外である。


「怪しい反応を見つけたわ」


勇者の一人が自前の能力で辺りの捜索をしていたがとうとう当たりを引いたようだ。


「姫さま、やっとグズの使えない勇者が見つけたようです。この汚らしい村とももうおさらばです。よかったです」


「こーら、そんなこと言っちゃダメでしょ?みんな優しかったし、面白かったよ?」


「あぁ、姫さま、このような人と言っていいのか分からない方々を褒めてしまうなんて、懐が広過ぎてぇ」


毎日毎日、このメイドと言ったら結構な頻度でこんな毒舌を吐いていて見てられるもんでもなかったんで少しはマシになるだろう。


とは言っても、レイヴンとの打ち合いで疲労が溜まっていた彼らからすれば、一日休みたいのが本音であったため、もう一日休養をとり、洞窟へと向かうらしい。






次の日。


「いやっほいー!洞窟だねぇ。探検だねぇ。お宝あるかなぁ?」


シロは相変わらずの元気で見てるこっちは元気が取られるような気がする。


「姫さま、お気持ちは分かりますが気持ちは抑えてください。姫さま怪我一つでもついたら、私は、私はぁぁ」


もう既に泣き出しそうなうるさいメイド。


あぁ、疲れる。


洞窟は山の麓にあった。入り口は暗く、四人分ほどの人が同時に入れそうで、ごくごく一般的な洞窟と言っていい。


少し異様だと感じたのは洞窟が暗過ぎたところだろうか。そりゃあ、太陽光が入ってこないようなところなのだから、暗いのは当たり前ではあるが、光そのものが意味をなさないとも言える暗さだった。


「あ?光がねぇぞ?」


光の魔法だけでなく、火の魔法も試すが明るくなる気配すら見せない現状にレイヴンは提案する。


「この暗さだ。大人数で入っても何かあった時の対応も難しいだろうし、誰かがいなくなっても気づかないだろう。そこでだ、二手に分かれるとしよう」


片方は洞窟の探索。もう片方は外からの洞窟の入り口の見張りと外側から何か手がかりがないか調べるらしい。


「ならば、私と姫さまは外ですね。姫さまをそんな暗がりに連れて行っては誰が触ってくるかわかったもんじゃありません」


メイドさんは当たり前のようにペラペラと自分の意見を述べるが、特に反論もなく、決まって行く。


勇者は三人ずつに分け、外がシロとメイド。中はレイヴンがつくような分け方になる。

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