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姫さま誘拐事件終結

遅くなりました

「ずばり、姫さまの家出といったところですかね」


結論を述べる。その場の誰もが驚愕の表情を浮かべているが、冷静に考えれば地球人なら分からなくもない問題であった。


「どこに家出したかまでは知りませんが恐らくは町のどこかでしょう。聞けば、姫さまは活発な女の子ということでしたので、城では町に興味を持ってもおかしくはないと思います」


「魔族の毛はどう説明する?」


男子の一人が疑問を解消しようと説明を求める。


「実物を見ていないので確証を持っているわけではないですが、何かの動物の毛でも使えば混乱状態の人なら騙すことは出来るでしょう。それくらいならどうにか調達出来るはずです。窓が開いていて、荒らされていれば誘拐されたと勘違いもするでしょう。もっとも、最初に見たときは荒らされていると思わなかったわけではないですが」


「しかし、どうして無断で行ってしまったんだ。我等が心配することはわかるだろう?」


「だからですよ。これは予想ですが、あまり姫さまを外に出さなかったのではないのですか。危険が少ないとはお世辞にも言えませんから」


むむむ、と唸る獣王。


「それでも、二日も帰ってこないとなると、少し心配ではありますけどね」


「む!急げ。急いで捜索部隊を組み、危険から遠ざけるのだぁ」


しばらくすると、姫さんは普通に帰ってきた。捜索部隊は意味を成さなかったな。


「ぬぉー、どこに行っていたんだ!我は心配で心配で眠れぬ夜を過ごしておったのだぞ。まぁ、とにかく無事で良かった」


真っ先に獣王は姫さんに抱きつこうとする。


上から下まで真っ白の猫耳の姫はその抱擁を回避し、その口を開けた。


「ふーんだ、甘いよ甘々だよ!砂糖より甘いよ。シロがそんな簡単に捕まると思うなってね。あと、三百年は捕まらないもーんだ」


自らをシロと名乗る獣王の娘の姫は騒がせたことになんの悪気も感じられない口調で話していく。


「今回はね〜。誘拐をイメージして隠蔽工作?ってやつをしてみたの。でもでも、町に行ったけどお腹空いたから帰ってきた。ご飯ちょうだい?」


「ぐむむ、二日も留守にして怒りたいのはやまや...」


「あ!おにぃちゃんたちはえぇと....待って当てるから」


ものすごく中途半端に王の言葉を中断させ、自由気ままに話を続ける。あと、そこの勇者共、おにぃちゃん言われて喜んでニヤニヤしてんじゃねぇ。キモいぞ、嫌われろ。


「勇者だね。シロの勘がそう言ってるもん。色んな話知ってるんでしょ?話聞かせて〜!」


本当に自由で聞き分けがないな。


「あー!ご飯きたー。食べる〜!」


運ばれてきた食事を前に勇者の話はどうでもよくなったらしい。黙々と次々に皿が空になっていく。


「あー、お腹いっぱい!んで、話聞かせて?」


大した時間がたたずに食事を平らげてしまったシロは勇者に話をねだる。


「ちょっと待て。シロ、その前に何かいうことはないのか?」


「え?...あぁ、ただいまぁ!」


「うむ、おかえり」


怒れよ。怒鳴れよ。躾けろよ。だから、ダメなんじゃないか。


しばらくの間、シロに勇者の話を聞かせることになった。今までの冒険譚は正直話したくなかったのか、故郷である地球の話が主だったが新鮮なことが多く、姫さん的にはそっちの方が良かったのだろう。


そして、シロは楽しそうな表情で


「んー、やっぱり楽しそうです!シロも連れて行ってぇ〜」


言い出すような気はしていた。


「な、シロ、それはダメだ。許さん、外には危険がいっぱいでこの勇者たちは魔王を倒しに行くんだ。そんなところにお前を行かせてしまったら、どんなひどい目にあうか...」


「そ、そうです。おやめ下さい。姫さまの可愛らしい姿は私が独占するんです。勇者なんかに姫さまの可愛らしくスベスベした肌を触らせるなんて...」


王に続いてメイドが止めようとする。


「シロちゃん。いい?私たちは魔王を倒しに行くの、シロちゃんが来ると私たちだけで守りきれない可能性が高いの」


だから一緒には行けない。そんな言葉をが後を続くんだろうがシロが遮る。


「シロなら大丈夫だよ?兵士さんよりも強いし、それに...」


ボンッ。そんな音と共にその場からシロが消えた。


いや、シロのいたところにはなんと、猫耳カチューシャが落ちていた。


「シロはなんと、お宝なのでした!」


「ま、まさかこれが身体能力が自身の二倍ほどまでに上がるって言われてるやつか...」


「シロ!それを見せるのはやめなさいと言ったばかりだろう。それがバレると攫われるかもしれないと言ったばかりだろう」


「ふふーんだ。それで、それで?連れて行ってくれるんでしょう?こんな優良物件他にはないよ!ほら、買った、買ったー」


おそらくは町に行った時に聞いて覚えたんだろう。


勇者たちは顔を見合わせ、どうする?と言わんばかりの顔で意見を述べようとしない。


「...ふぅ、もう止めたところでどのみち行くのだろう?ただし、絶対に生きて帰ってこないと許さないからな」


沈黙を破ったのは王だった。


「やっほーい、さすがだね、分かってるね。天下一だねぇ」


猫耳カチューシャはその場で飛び跳ね、少し不気味な感じだった。


「はぁ、愛しの姫さまがぁ...。私もついていきます、姫さまを全力でお守りし、全力で愛でて見せましょう」


「む...よし、ついて行くがよい。シロに何かあったらどうなるかは分かっているだろう?改めて、明日までには準備を整わせよう」


暴走するメイドに過保護の王。


こうして、姫さま誘拐事件は幕を下ろし、勇者御一行さんに仲間が増えることとなった。

ここに面白いこと、書いてる人の作品っていいですよね。...なんも思いつかないけど。あ、真相の方はわかりましたよね?

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