表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/20

王の願い

「娘を助けてくれないか」


仮にも一国の王は勇者たちに頭を下げた。


「あ、頭を上げてください」


突然の事態に慌てたもののすぐに王に頭を上げるようにと話す。


「突然のことで何を言っているかわからないだろうな。すまない」


王も自分のしたことを思い出し、これじゃ伝わらないと思ったのか一度謝り、続ける。


「実は一昨日の話なのだが...」


そうして、事の次第を話していく。


一昨日の夜、王の娘が誘拐されたらしい。夜、獣娘は一人で部屋にいたらしいのだが、メイドさんが部屋を訪れるともぬけの殻になっていて、窓が大きく開かれて、部屋には多少の争った形跡があったらしい。


床には魔族の毛らしきものも落ちていて、魔族の仕業かもしれないと思ったが、謁見の時でもあったが、獣人はやけに魔族より強いことを強調したがるため、箝口令を敷いているため、騒ぎにはなっていない。


が、どちらかといえばやんちゃと称された獣娘が最近会わないと言うことでバレてしまう可能性は高く、早めの解決を望んでいると。


「うちの娘はとにかく可愛いのだ。だから、その可愛さに目が眩んだ魔族の仕業かもしれないのだが、生憎我ら獣人は、あまり頭が回らないのでな。回る者もいるのだが今は違うところに行ってて、しばらく帰ってこないのだ。そこで、人族の其方たちなら我らよりは頭が回るだろう?」


若干ではあるが人のことまでバカにしているように聞こえなくもないが、至って真面目に話しているのだろう。


「...まずは現場を見せてください」


「おお、探してくれるか」


現場に案内はされるが既に部屋の掃除は済んでおり、現場の保存なんてものはされていなかった。


「.......」


「どうしたんだ。そんな思ってたの違うみたいな顔されてもどうしようもないのだが」


全員がその現場を見て沈黙し、確かにそんな顔をしていた。


「えぇと、誘拐されてからこの部屋は掃除しましたか?」


「当たり前だろう?我の可愛い娘が帰ってきた時に荒らされたままだったら誰だって嫌だろうに。お主ら、人族でも我より頭の回らないこともあるのだな」


「.........」


もうどうしようもないな。この王はバカだ。親バカだけだと思ったら、これは少し予想外だ。早く帰ってこいよ、この国の参謀さんよ。


「部屋の状況だけ、もう一度詳しく教えてもらえますか?」


一昨日、部屋に訪れたメイドさんに話を聞く。


「はい。あの日は姫さまの愛ら..可愛らしい姿を一目見るためにこっそりとドアを開けて、小さい隙間から目に納めようと思い訪れました」


おい、言い直せてないし、理由もすこしおかしいだろ。そこの獣王、うんうん、うなづいてんじゃねぇ。


「しかし、窓が大きく開かれていて、姫さまの姿も見えないので、すこしずつ扉の隙間を大きくしていきます。それでも、見えないので、もう寝てしまったかと思い、部屋に入りました」


ちょい待てや。何故、入った?バレるぞ?隠密行動じゃないのか?


話はまだ続く。


「するとですね、ベッドには膨らみがなく、寝ている様子がございませんでしたので、城でも散策をしているのかなと思いまして、ベッドに寝転がり、姫さまの匂いを楽しんでいるとついつい寝てしまいまして...」


話が進まねぇ。ていうか、愛されすぎだろ。


「でも、大した時間は寝ていないと思います。私、枕が変わるとあまり寝れないので。それでも帰ってこないので、部屋を出て、同僚に聞いたりしたんですけど、結果は乏しくてですね、少し心配になって朝には帰っていると思い、朝一番に起こしにいきましたがいないので騒ぎになった次第です」


聞いてない話までしなくてよろしい。ほら、見ろって、みんな呆れ始めやがった。


「争った形跡や魔族の毛には気づかなかったんでしょうか?」


「一番最初に見えるのは大きな窓なので窓は気づきますがそれ以外は....それにうちの姫さまはすこしばかり冒険心が強くて物を壊すことが多少ございましてですね」


ちょっとの争い跡では分かりにくいと...。


「魔族の毛らしきものにいたっては部屋の床の端の方だったので夜は気づきませんでした」


「ということは、夜に怪しんで、朝に本格的に調査し、魔族の毛から誘拐されたという可能性が出てきたということね」


確かに荒らされてはいるが、そういう性格の持ち主ならと、納得できなくもない荒らされかただった。


「で、どうだ?分かったか?犯人が」


「魔族が攫った理由が分からないんですよねぇ。それに潜伏場所も」


そんな中、一人が顔を上げて叫ぶ。


「分かった!犯人は魔族じゃない。この国の偉い人の誰かだ!」


突然の推理に全員が驚くが、推理小説や推理ドラマの多い地球人にはそれなりにあり得なくない解答でついつい周りの勇者もそれがあったか、とうなづく。


しかし、先陣切って質問を多くしていた女子の顔だけは納得いかないようだ。


「この国の偉い人でそんなことをしそうな人はどれくらい居ますか?」


「む。いるわけないだろう....。なんて、言いたいところではあるがなぁ。なにせ、うちの娘の可愛さには誰もがやられてしまうだろうからなぁ。まぁ、最もそんなことをしたら、全員で死ぬより苦しい思いをするのは間違いないだろうな」


この国は大丈夫なのだろうか?


その解答にようやく得心がいったのか、すっきりした顔で推理を述べる。


「この国のお姫様誘拐事件の真相とは...」

結構分かりやすいでしょうかね

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ