職業⑨ 今日というクエストをクリア
ここがサリアシ草原でよかった。
なぜなら妖精を呼び出せるからだ。
出て来い、俺の妖精!
ポチっとな。
「何のようですか~?私はあなたの所有物じゃないです」
出てきた。
はいはい、俺の妖精っていう表現に異論ありなのな。
「クエストクリアしたんだがな。どうやって街に帰るんだ?」
「それはですね……マップを見て、歩いて帰ってください」
「マジで!?」
「ウソですよ♪」
嘘つくな~~~~!!
とは思うのだが、この妖精がやばいほど可愛いから何とも言えない。
「ゲーム機で『帰還する』を選択して出て来た枠をくぐるだけで帰れます」
あ、そうか。
ゲーム機で操作するのな。
「じゃ、私は帰りますね♪」
★キラーン★
消えた。
あんまり人前に出たくない感じだな。
とにかく帰る方法がわかったんだから、帰ろう。
ゲーム機で「帰還する」あったあった。決定して、と。
枠だ。光り輝く人間大の枠が出て来た。
では、帰還します!
ボムッ
ギルドから出発したときに使った門のところに出た。
受付嬢にクエストクリア報告を出しに行く。
幸い、今は空いているようだ。
「初クエストクリアですね」
「あぁ、ありがとう」
報告を済ませた俺は時計を見る。
もう夜じゃないか。
当然か。石室から脱出して音楽家になりシマウマを倒して草原を歩き回りギルドに登録してクエストに出発してキノコを集めてきた、というのは全部今日の出来事だ。
宿を探す必要があるな。
そう思った矢先にユキナが飛び出てくる。
「はーい。冒険者の皆さんには無料で家を貸し出しています」
マジか!無料か!
街周辺の脅威を消し去ってくれる冒険者に畏敬の念を込めて、ということらしい。
「なら、その家に案内してもらえないか」
「いいですよ~。それが仕事なんで仕方ないです」
なんか微妙な違和感を感じるのだが。
まぁいいや。案内してもらおう。
ユキナに案内してもらった家は一部屋家具付き&容量無限ボックス、だった。
このボックスは集めた素材とかを入れるんだろうな。
容量が無限とはいえ仕切りは付いているから、武器とか防具もしまえる。
備え付けのベッドで寝て、明日からは脱出方法を考えよう。
一日中歩き回って疲れていた俺は、すぐに深い眠りに落ちた。