職業⑧ キノコ採取
わぉ。
草原のど真ん中にワープしてきた。
で、どうしよう。
これクリアできなかったら東に向かって歩いて帰る必要があるのか!?
まぁその時はその時だ。
キノコの採集をする必要があるんだったな。
ではキノコを探しますか。
☆キラーン☆
ぎゃっ。
妖精か。さっきと同じだな。
いや、光り方がちょっと違う。
ユキナか?
いや、あいつはユキナラリ街で出現するって言ってたな。
じゃあ違うか。
よくみたらこいつは紫色のきれいな髪してる。
それで、よくある表現だとこの思考は一瞬ってことになるんだけどそういうわけじゃない。
これを全部口に出して言うくらいの時間はあったぞ。
口に出して言う、というのでは二重になるから間違いになるな。でもこれくらい時間があったってことだ。
早く何か言ってくれないかな。
「えっと……サリアシ草原専属ナビゲーターのサリアと申します。よろしく」
小さーーい!
声が小さいぞ!
俺が学校の先生だったらこの子にこうやって指導する。
で、なんだ。専属ナビゲーターだって? 要はユキナと同じだな。サリアシ草原版か。
「そうか。わかった。じゃあな」
無視して立ち去ってみよう。
「あ、ちょっと待ってください!私はユキナ先輩と違って呼び出すためのアイテムがあるんです」
へぇ。ユキナと知り合いなのか。
で、アイテムがあるのか。ユキナより便利だな。
「ならそのアイテムをくれ」
「ちょっと素っ気無さ過ぎないですか? キノコを採取するのにもコツがいるんですよ?」
「わかった。教えてくれ」
「はい。これが私を呼ぶためのアイテムです。ボタンを押すとすぐ来ますからね♪」
ふーん。コンパクトでポーチを圧迫しなくて済む。ボタンを押すだけなのか。便利だな。
「それで、キノコを採るコツって言うのは?」
「はっきり聞きますね。いいですよ。教えてあげます」
サリアの話は声が小さくて聞こえなかったところもあったがまとめておこう。
キノコを採取するにはキノコの群生するところに近づいて、ゲーム機で「採集する」を選択し、普通に採集する動作をするとデータ上でポーチにアイテムが入るのだという。手の中には何も入らない。何か変な気分だよな。
「サンクス。また呼ぶからな」
「はい。呼んでくださいね」
最後のほうはかなり尻すぼみだったので、あんまり呼ばれたくないのかもしれない。恥ずかしいのか?
でも俺はかまわずに呼んでやることにする。
さて、キノコの採取だ。
キノコの群生しているところに近づく。
ゲーム機で「採集する」を選択するんだったな。
そしてキノコを採る。
あ、視界に「アオダケを採取」と出た。
ふーん。こうやってやるのな。手には何も入ってない。
よし、続けよう。
「マヒダケを採取」
「アゲダケを採取」
「バクダケを採取」
いっぱい出てきた。
ここは採取しつくしたらしいし、次のところに向かおう。
これは草か?
ついでに採取してみよう。
「クスリ草を採取」
「ハレツ草を採取」
「MP草を採取」
たくさん採取できた。
移動移動。
キノコ発見。
いろいろ採取。
「キノコを種類にかかわらず十五個採取せよ」だったな。残り一個だ。
もうひとつでいいから採取する場所は、あったあった。
一個とって。
「クエストクリア」と表示された。
よし、クリアだ。
で、どうするんだ?
クリアしたら自動でワープするわけではなさそうだ。
困った。
東に向かって歩いていけ、とは、言わないよな!?