最終決戦
こんな小さな、といったら島民に悪いが、ともかく、この島にも転職用の神殿が存在した。
恒例行事となった転職をするために、転職チケットを入れる。
すると、ルーレットが回転しだした。何故か、いつもと違う。
光が俺を包む。
「何だ!?」
「ご主人様!?」
俺は、頭から後ろに倒れていった。狼少女が駆けてきて受け止めてくれたのを最後に、ここでの俺の記憶はなくなっている。
気がつけば、俺は「何も無い」空間に立っていた。武器を確認しようと背中を探れば、「玉」があった。防具は初期装備。ポーチには何も入っていない。
「ここは……」
目の前に、あのときの魔術師があらわれた。
「あんたは、誰だ。何故俺はここにいる?」
「あなたは5つの与えられた職種をマスターした。それにより、この世界から戻る挑戦権を得た」
―――戻る、か。
そうだった。ここは現実ではない、異世界。
クリア条件は全ての職をマスターする、とかだと思ってたけど、まさかそれが5つで終わりだとは思わなかったよ。
「挑戦権、とは何だ」
「私が召喚するモンスターを倒せ。今までに遭遇したモンスターを、自分の力で倒したというのならば、できるはずだ」
そう言い残して魔術師は消えた。
アイテム持ち込み不可の、ラストクエスト、か。
一瞬の思考の後、モンスターが現れた。
これは――
過去に遭遇したモンスターを、全て組み合わせたようなモンスターだった。
狼の頭にラオンのたてがみをもち、腹から尻にかけてはリタントのようだ。
カラマロの触手。ドラグモの土を掘る手。足と尻尾は、あの巨大なトカゲだった。
そして、あの黒い雲をまとっている。
ならば。
まず俺は玉を注射器に変化させ、その謎のモンスターに突き刺し、ピストンを引いた。
何の変化も無い。
次は天気予報士の五色棒に変化させて雨を降らせ、雪を降らせ、雷を落とし、風を起こす。
これも、全く効かなかった。
バイオリンに変化させたり、玉を消して指笛を鳴らしても、まったく効き目が無い。
5つの職種をマスターしたといった。どの職でも効かないモンスターを、どうやって倒せというんだ!?
俺は、妖精ユキナや、剣士セアや、狼少女の力を借りて、ここまで生きてきた。
あの魔術師は、自分の力で、と言った。
だから、だめなのか?
ここから脱出することは、出来ないのか。
それとも―――――。
ありがちなシナリオだが。
今まで、俺を助けてくれたみんなの。思いをこめて。そういうシナリオか。
玉が熱くなってくる。
やはり、そういうことだったか!
全てをつめた玉を、モンスターに全力で投げつけた。
世界は消えた。




