職業Ⅴ・① 今度は護衛依頼
「医者」
もはや恒例行事となった転職ルーレット。その前に立っていた俺の視界に、こう表示された。
海から帰ったあと、俺は報酬を受け取る気力もなくそのまま部屋に帰った。
今日の朝、報酬を受け取ったら転職チケットが入っていて、称号も獲得したことだし転職を決めたのだった。
医者か。どうせ医療器具を武器にするのだろう。神聖な医療器具を攻撃に使って良いものか。
やはり、俺の背中に聴診器やメスなどの医療器具が現れた。実際の医療に使えそうではないから、やはりこれで攻撃するのか。
中でも目を引くのは、巨大な注射器だ。漫画でよくあるようなサイズのもの。これをモンスターに突き刺そうというのだろう。
申し訳程度に現れた救急箱には、包帯や絆創膏、消毒液やらが入っていた。これは人間サイズだから、ダメージを受けた仲間の回復援護に使うのか。
最近奴隷として買った彼女がダメージを受けたときにでも使うか。セアメ村のときみたいに仲間が見つかったときにも便利だな。
悩んでも仕方ない。今日のクエストを選ぶか。
ギルドに向かう。俺がカラマロを説得したから、船が通れるようになったようだ。足止めを喰らっていた船が続々と出港していく。
「おぉ、カラマロを撃退したっていうじゃないか。ありがとうな」
依頼主のドーファンさんが大声を張り上げて声をかけてきた。
「いや、撃退してないんですけどね」
カラマロを説得できるなんて思わないから、撃退したという間違った話が伝わっているのだろう。
「ん、そうなのか。まぁ、船が通れるようになったなら問題なしだ」
実は俺にとっては問題ありだ。報酬金は手に入るが、今回の依頼では一切素材は手に入らなかった。
そうは思ったのだが、わざわざそんなことを言う必要はない。
「それでだな。お前さんに護衛として船に乗ってもらえないかと思うんだが」
「ドーファンさんの船隊と旅をするということか?」
「あぁ。それでなければ、海を越えた向こうの大陸まで付いてきてもらえないか?」
海を越える。
さすがに船隊の仲間になる気はないが、海を越えていけるというのならば乗らない手はない。
「――そうだな。逆に、向こうの大陸まで連れていってくれと頼みたいぐらいだ」
「利益の一致か。ちゃんと報酬は出すから、護衛を頼むぞ」
「当然だ」
海の向こう側にいける。しかも報酬も手に入るとなればいい話じゃないか。
海を越える。セカンドシーズンの始まりだ。




