職業Ⅳ・③ 去り、退く
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さて――。
呼んだだけでは何も出来ない。鳥も魚も、今にも帰っていきそうだ。
指令を出すには、やはりあれか。
「ヒュゥゥゥゥゥゥッ」
総攻撃。命令を頭に浮かべながら吹いた。
鳥は、扇形に陣形を組み、戦闘機さながらにカラマロに向かって突撃していく。
船の真ん中からでは光が反射して見えないが、魚たちも攻撃を繰り出しているようだ。カラマロが繰り出す足攻撃が明らかに少なくなっている。
「ヒュゥゥッ」
俺は指笛で命令を下しながら、短剣でカラマロの足を斬りつける。
狼少女、いや今は狼となった彼女は船の上を飛び回りカラマロへ噛み付き、爪で斬りつける。
戦況は俺たちに有利。
足の完全な切断には成功していないため、敵戦力を大きく削ぐことはできないのだが、これなら討伐できる。
「ヒュゥッ」
鳥たちに、カラマロのひれ、つまり体の一番上の部分に攻撃するよう、命令を下す。
陣形を組み突進していく。
上に旋回して戻ってくる――いや、そのまま離れていった。
突進してカラマロのひれに攻撃を加えた鳥たちは、俺から離れていった。
そして水中の魚も気付かぬうちに消えていた。カラマロは攻撃の手、いや足を強める。
俺は笛を吹き、鳥と魚を呼び戻そうとする。だが、効果はなかった。
鳥も魚もいなければ、俺は何も出来ない。
何故突然俺の元を去った?
狼少女はまだ戦っている。
だが、長時間の戦いでダメージを受けたか。動きが鈍っている。
このまま戦闘を続けていたら、致命傷を負いかねない。
船も少しづつ、だが確実にダメージが蓄積している。船が破損したら、クエスト失敗だ。
船内にいた船員が甲板に顔を出し、危機感を訴える。
まずいな。
俺に戦闘続行は無理だし、この状況では一旦退くしかない。
出て来た船員に合図を送り、撤退を促した。
船内に戻っていくのを見送って、使い捨てナイフをカラマロの目に投げつける。
手足を暴れさせ、声を上げた。
やはり、目は弱点か。
今なら逃げられる。船員もその狙いを理解したのか、船は急加速してカラマロから離れていった。




