職業Ⅲ・⑭ 明日へ
ふぁぁぁぁぁ。
銭湯に入って、宿に帰るところだ。銭湯での話はここではできないな。言えるのは、狼少女の肉球は柔らかくて気持ちよかったということだけだ。狼少女に背中を洗ってもらうことになろうとは思わなかったよ。あはは。
「ゴシュジンサマ、ダイジョブデスカ?」
回想に浸っている俺を心配してくれる狼少女。いやーこの子を奴隷として買ったのは間違いではなかったかも。
服を買ったり銭湯に行ったりしている間に、日は完全に沈んでしまった。だがメアテクスは眠らない。こんな時間になってもまだまだ活気がある。
今日はさっさと帰って寝ようと思っていたのだが、遅くなってしまったな。
宿に着いてから思い出したのだが、俺の部屋にはベッドが一つしかなかった。まぁいいか。毛布くらいは借りてきて俺が床で寝よう。
「じゃ、俺は毛布借りて床で寝るから、ベッドは使って良いよ」
「νΦυ、ダメデス、ワタシ、ドレイ」
「ったく、俺がそんなに冷たいやつじゃないって、言わなかったっけ」
「デモ……ワタシ、ユカ、ネル。ゴシュジンサマ、ウエ、ダメ」
御主人様より上は駄目、と言いたいのか? 俺を差し置いてベッドで寝るわけにはいかないということか。
この子を床で寝かせて俺がベッドで、というのは俺の良心が許さない。
「……一緒に寝るか」
「Ψ、ハイ!」
結局二人でベッドに寝ることになった。
寝てみるとやはり気恥ずかしかったが、疲れていたのか狼少女はすぐに熟睡した。開いた口から小さな牙が見える。ネコ耳ならぬオオカミ耳がふわふわだ。尻尾にも触りたかったのだが、起こしてしまうと悪いのでやめておく。
規則正しい寝息をたてて眠っている。明日からこの子を連れてクエストだ。俺もゆっくり休もう。




