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職業Ⅲ・⑧ 一時撤退

 瀕死に見えた狼は傷を急速に回復させ、跳びあがって襲い掛かってきた。

 攻撃に集中していたために避けられない。


 負傷者が出た。


 俺は狙われなかったから助かった。だが、狼は手当たり次第に冒険者を襲う。後陣が階に入ってきたため、避けるスペースがない。

 負傷者は瞬く間に増えていった。


「一旦撤退しろ!」

 あのときの太刀使いが叫ぶ。


「足止めする」

 そう言って狼を食い止めるが、一人では危ない。

「俺が加勢してやる!」

 俺はダイスを投げつけた。15。太刀使いに与えられたダメージも加算され、怯んだ。

 その間に他の冒険者は下へ撤退していく。


「もう少し粘るぞ」

「当たり前だ」


 太刀使いが剣先を突き出す。襲いかかろうと振り上げていた狼の爪に当たった。

「ピシッッ」

 割れたのか? 希望を持ってみるが、まだ爪はついている。だが少しひびが入っているように見える。修復できないようだ。


 爪が修復できないなら牙だって……。

 最後かもしれない希望を賭けてダイスを投げつけた。

 20。牙が折れた。


 俺は牙や爪など修復できない部分を狙ってダイスを投げる。再度突入したときにダメージが減らせるからだ。


 そうこうしているうちに全員が撤退したようだ。

「俺たちも退くぞ」

「わかった」


 ダイスを投げつけて怯ませた隙に俺たちは下の階へ降りていった。




 下の階の狼人間はもう残っていない。ここなら安心して策を考えられる。

 奴を捕まえるにはどうするのか。

 何かいい案がないかと聞くが、誰も考え付かないらしい。


 ただ不思議なのは、下につながる扉を通ることの出来ないボス狼が最上階に入れたのかだ。

 ここで考えられるのは小さくなるなり変身してくること……。


 変身? それだ!

 人間体に変身すればこの扉を通れる。


 俺は最上階と繋がる扉を見た。

 一人の人間が、上から降りてきた。

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