職業⑬ 作戦
しかし。
手詰まりだ。
回復薬は残り少ない。
相手は麻痺耐性が上がっている。これ以上麻痺を狙うのは無謀だ。
かといって気絶させるために頭を狙うのも危険だ。
どうする、どうする俺!
自問自答してももちろん答えは出ない。
こういうときの定石を考える。
まずは特殊攻撃だ。しかしこれはもう使えない。
次に弱点を狙う。こいつの弱点は不明だが、おそらく頭が弱いだろう。しかし、危険だ。
そして、安全策か。
後ろから、か。
敵より自分の体が小さいことを生かす!
後ろに回りこんで近づく。ラオンは気づかない。
殴る!
予想外の一撃にひるんだラオンだが、そこまでだ。
「支給品が届きました、ポーチの中を見てみてください!」
サリアが出てきて叫ぶ。
支給品?そんなもの……支給品!!
この状況ではどんなアイテムだって役に立つ!
一旦ラオンから逃げる。巨体のラオンは気付かないようだ。
ポーチの中を探ってみる。
あったあった。支給用回復薬と、支給用MPUP、それから砥石。そして閃光玉。
支給されるということは、ラオンは閃光玉が効くのか。
支給用落とし穴もあった。穴が届けられるわけではない。
設置することで浅い穴を作り、そこに粘着質のネットを広げることでモンスターを拘束するのだ。
見通しが立った。まず気付かれないうちに落とし穴を仕掛け、閃光玉で目をくらませて攻撃。ラオンの注意を引くように移動して、落とし穴に誘導、攻撃。
これで倒せなければ仕方ない。少しずつ体力を削っていくだけだ。
まずは支給用回復薬で体力を回復させ、演奏でスタミナを回復させる。
さて、第2ラウンドの始まりだ。




