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この世界で願いのために戦う僕の物語  作者: KOKOA
第三章 魔法《メミニメモリア》
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7話 魔法

 ――ッ。

脳に痛みが走る。

目を開けると最近見慣れた景色と顔があった。

「天野大丈夫か?」

 知与川が聞いてくる。

「あ、ああ」

 返事を返すと後ろで白金さんがふぅ、と安心したような息を吐く。

「とりあえず天野、昨日使った技はなんだ?」

「ん、昨日?」

「ああ、天野は丸一日寝てたんだよ」

「……なんか損した気分だな。ああ、そうだ技の話だっけ? あれはただ単に自分の速度を上げてるだけだよ。練習に数日かかったしものすごく疲れるけど」

「なるほど。自分で魔術書も読まずに作ったのか……」

「魔術書?」

 なにそれ僕知らない。

「ああ、そう言えば言ってなかったね。ここの図書館のほとんどが魔術書になってるんだよ」

「それって僕も読んでいいか?」 

 もちろん、と知与川は頷く。



 ――そんなわけで図書館に来ました。白金さんと……。

「そういえば【スキエンティア】ってイメージによる力だよね?」

「そうだけど、どうかした?」

「いや大したことじゃないんだけど、ここの魔術書には魔法陣とか呪文ばかりじゃん? それでどうやってイメージするのかなって思っただけ」

「それは【スキエンティア】の能力の一つだよ。まあ簡単に説明すると、ここにある本に書いてある呪文や魔法陣自体はイメージの塊なの」

「えと、どういうこと?」

「例えば歩くときいちいち歩くなんてイメージしないでしょ? それと同じで【スキエンティア】を使える人にとっては魔法も条件さえ揃えば無意識にできるものなんだよ。で、条件の一つが魔法陣とかなわけ。まあ、ちょと見てて」

 そう言うと白金さんは立ち上がった。

「アクア・アルマ」

 白金さんがそう唱えると水が手のひらから湧き上がりその水が剣の形となった。

「これが魔法。ただ気を付けて欲しいのがこれは今までの自分でイメージする魔法と違って今のような魔法は自分の力では出来ないものもあるの。それを無理やりやろうとすると力を吸い取られて自分にダメージが来るから気をつけてね」

「分かった、無理にやらなければいいんだな」

「うん、そういう事」

「後、教えたい魔法がもう一つあって【インペリウム】って言うんだけど……これの発動条件は自分を信じること。そうすれば今までにないくらい強くなれるの。ただこれも使う時間が長いほど自分にダメージがくるの」

「それって白金さんは使えるの?」

「…………」

「ご、ごめん」

「ううん、謝ることじゃないよ」

 自分を信じるか……。

「あ、あともう一つ行っておきたい場所があるんだ」



 ――白金さんに連れられてきたのは【ユグドラシル】の地下だった。

「これを見て」

「ん? これは何かの種?」

「そうこれは【生命の種】。この種の光が失われると生命が生きていけなくなるの。で、アンノウンはこの光を消そうとしているの。だから私達がこれを守っているというわけ」

「こんなもの僕に見せていいの?」

「天野君は部外者じゃないし……何よりなんとなくだけど見せておきたかったの」





 家に帰って布団に入り込む。まだ頭が痛い。

『なんとなく見せたかった』か……あの言葉にはどんな思いが込められていたのだろうか……。

 寝付けないので起き上がり電気をつける。

 椅子に座り意識を集中させていく。

「ああ、ダメだ」

 白金さんが言っていた【インペリウム】を使えるよう練習することにしたがまず自分を信じるというのがよく分からない。使えないということは自分を信じていないのだろう。

「クソ!」

 もう一度布団に潜り込む。

 暫くすると眠気が来た。そのまま眠りにつくことにした――のだが明日の宿題をやっていないことに気がついてしまった。このまま寝るか、それとも宿題をやるか……。



 目を開けると朝日が差し込んでいた……。

 うわぁ、やってもうた。

 宿題のことは諦めて階段を下りリビングに行く。

 席に着き挨拶もなく食べ始める。

「そういえば咲はもうすぐテストだったな」

 父が妹に話しかける。

「うん、今回も上位目指して頑張んないと!」

「頑張ってね」

 妹は今回も上位を狙うらしいくそう宣言する。それに母が応援の言葉をかける。

 そういえば僕もあと一週間でテストだハハハ。

 ハァ嫌だなー。

 そういえばこの前、小テストでスキエンティア使ったら注意されたし自力でやらなきゃならんのか……。今回も下位目指して頑張んないと!



 学校に着いていつもどおり席に座って居ると白金さんと目が合った。なんだろう何か用かな?

 まあ用があったら話かけてくるだろう。

「きりーつ。れい!」

 ボーっとしていたら不意に号令がかかり慌ててれいをする。危なかった。委員長はれいをしない奴とかいると本気で怒るんだもんなー。


 昼休みになり席を立つと白金さんが近づいてきた。

「天野君、ご飯一緒に食べよ?」

 うーむ、どうするべきか。普段ならここで断るんだけど三日目だから流石に断り過ぎかな。

「分かった。どこで食べる?」

「やった! じゃあ食堂行こ!」

 まあ、喜んでもらえて何よりだ。

 しかし! 食堂には沢山の生徒がいる。あまりこちらとしては見られたくないのだが……。

仕方ないかこうも嬉しそうにされては断れない。



「頂きます」とお決まりの挨拶をし食べ始める。良かった一緒に食べるってのは白金さんと知与川のことだったらしくほかには誰もいない。

「天野君コンビニ弁当なの?」

「え、ああ、作るのめんどくさいしね」

「そう、結構楽しいけど」

と、何故か知与川がいってくる。

「もしかして手作り?」

「え、雪もだし驚くこと?」

 うん、君が女だったら驚かない。そもそも男子が作るお弁当のどこに需要があるんだ。いいか、弁当とは女子が作るからこそ価値が出るのだ! と、強がってみても美味そうなんだよな~

「一口いる?」

「い、いやいいよ。あげられるものないし」

 くそ、「え、マジちょうだーい」とか言うところだった。

「いいよ、普段のお礼。この唐揚げでいい?」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 おお、肉の旨みを閉じ込めた上にサクサクしている。こいつ料理上手すぎだろ……。何に力入れてんだよ。

 それよりも白金さんがチラチラこちらを見てるのが気になる。なに、唐揚げ欲しかったの?

 

「美味かった。ごちそうさま」

 そこでちょうどチャイムがなる。

「また、一緒にご飯食べようね」

「おう、また今度な」

「それより二人とも急がないと遅刻するぞ」

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