60話 《儚い花》と《弱き者》
――どれだけの敵を倒したかわ分かない。
だが奴らは数を確実に減らしていた。
もうすぐ終わる。
だけど、そんな考えはすぐにやめた。
なぜなら世界に大きな亀裂が走り、そこから尋常ではない力が奔流となって流れ始めたからだ……。
空に馬鹿でかい魔法陣がいくつも現れる。
そして魔法陣は突然轟音を響かせながら閃光を放った。
光が弱まり、目を開けるとそこには今まで見たこともないような巨大な何かが居た。
いや、この状況で何かも何もない。あれは神だろう。しかも今まで倒してきた神とは桁違いの力を持つ。
一体一体が、ロキと同等かそれ以上の力を持った奴らだ。恐らくロキを倒してから敵が攻めてこなかったのは力を蓄えていたからだろう。
あまりにも強大なそれらは僕達を見据えている。全身が動かなくなるような殺気を向けてくる。
――だが、その殺気を一瞬忘れるくらいの威圧を感じ目線を落とす。
上にばかり気を取られていたが下にも敵はいた。
あの馬鹿でかい敵に比べれば小さいが、それでも三メートルはある狼がいた。だが、上に居るやつらのような絶対的な力は感じない。それでもこいつは危険だと直感で分かる。
狼が姿勢を落とす。
迎え撃とうと僕も腰を落として構えようと――――瞬間、足元に魔法陣が広がる。
「なっ――!」
突然のことで理解が出来ない。
この魔法陣は敵のものではなく、士希によるものだ。
僕と雪の足元に転移の魔法陣が展開される。
「ごめん、二人共。こいつらの数を少しでも減らす。だから、後のことは頼んだ」
だが、バチンとう音と共に火花が散り、雪の足元にあった魔法陣は崩壊する。
「だめだよ、士希君。一人じゃさすがに大変でしょ。だから私も残る。――――ごめんね。和真君、あとはお願い」
魔法陣が唸りをあげる。もう今からじゃ間に合わない。
――――意識が遠のく中、二人の顔を見ると信じきった目で僕を見ながら微笑んでいた。




