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この世界で願いのために戦う僕の物語  作者: KOKOA
第7章 閉幕《イ二ティウム》
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59話 願い

 僕達が外に出ると希美が奏でるギャランホルンの音色が聞こえてきた。

 それによりユグドラシルの認識阻害の魔法が解け、本来の姿を取り戻す。

 桜のような大樹が現れる。今までは隠していたが今の状況では意味がない。それよりもこの木の効果を使う。

 この世界を守るものに加護を与えるという力。

 さらに、世界を止める結界とは違うもう一つの結界。ユグドラシルの周りに防御壁を築き、ユグドラシルに被害が及ばないようにする。

 その結界の外に出るとあまりにも強大な敵が跋扈していた。

 この二年間で前とは比べ物にならない位には強くなった。それでもこの数は――。

 いや、文句をいってもしょうがない。ここまで来たらやれるだけやるさ。

 士希が槍を掲げ、幾重もの魔法陣を築いていく。そしてそこからあらゆる天災が巻き起こる。

 それでも敵はこちらを目掛けて進んでくる。それを僕と雪は正面から迎え撃つ。雪は神速の剣捌きで敵を斬り伏せていく。

 僕も負けじと剣を振るう。

 敵もこちらを殺そうと躍起になっている。だが今までまともに力を振るったことなどないのだろう。ただ強大な力を振りまいているに過ぎない。

 今までそんなものは何度となく超えてきた。

 敵の行動を読み、翻弄し、混乱に陥れる。

 敵は怒声を上げ、怒りを撒き散らす。誰一人として他の者のことなど考えない。少しずつ、敵の数は減っていく。

 だが――――敵は無数。斬りつけて一度で死ぬわけでもない。あまりにも多すぎる。このままでは埒が明かない。

 同時に雪と僕はインペリウムを使い、士希は一瞬で魔法陣を組み上げる。

 魔法陣が展開され、刹那の間に結界が張られる。

 空間を固定、空間内を認識、三人で情報を共有し、最短で全ての敵を屠る――!

 結界が解け、止まっていた時間が進む。

 一気に敵が減る。


 ――そして、残った敵に光が降り注ぐ。

 士希が作り上げた、魔法陣。その光は敵の存在ごと消し去る。

 ただし、その魔法陣は一度使っただけでは消えない。魔法陣は次の砲撃にそなえ、回転数を上げ、ガチンという音と共に止まる。

 そして、発射された光が進んでくる敵を薙ぎ払う。

 敵はこんな攻撃を予想していないだろう。

 それはそうだ。こんな攻撃、上手くいって一度が限界。

 だが、士希はそれを何度も出来るだけの力が使える。さらに、魔法陣を複雑化させることにはなったが必要な力の減少、次発装填までの時間を短縮、威力の向上を成し得た。そも魔法陣の複雑さ等、士希にとってはどうでもいいことだ。

 魔法陣が複雑で展開するまでに時間が掛かって使えないと言うならば、その展開するまでの時間を短縮することで解決するのが士希だ。実際、この魔法陣を士希は武器を一振りするだけで展開している。

 士希はグングニルを掲げる。

 ――約束をした弱き者は、世界を守りたいと願った。

 雲に覆われていた空が、今は光で満たされている――


 ――敵が倒れていく中、それでも尚、進む者も居る。

 奴らは雪に気づくと、一斉に襲いかかる。まずは弱いものから潰そうとでも思ったのだろうか。

 だとすると考えが甘すぎた。

 次の瞬間には十の太刀が奴等を斬り刻んでいる。雪は舞うように次々と敵を倒していく。

 敵は夢だとでも思っているのだろうか。

 ああ、まるで夢のようだ。その剣技はあまりにも美しい。

 一度剣を振るったと思えば何倍もの剣が敵を斬り付ける。神速の太刀。敵は目で追うことすら出来ないだろう。ならば勘でよけるしかないが、そんなもので避けられるなら苦労はない。ならば防御はどうか。それも無駄だ。研ぎ澄まされた剣の前では簡単に斬られてしまう。残るはやられる前にやるしかないが、攻撃は全て受け流され、倍の攻撃で返される。

 雪はリーヴスラシルを構え直す。

 ――美しく儚いその花は、仲間を守りたいと願った。

 炎と氷に覆われていた大地が今は立花で埋め尽くされている――


 ――敵は確実に数を減らしている。

 だが、終わりには程遠い。

 近寄ってくる敵を斬り伏せながら考える。

 もう、だいぶ昔のようにも思える。あの、時から僕の世界は一変した。ただ過ぎ行く毎日を眺めていた僕が今は世界を守るために戦っている。

 ああ、まるで夢のようだ。

 ふとした瞬間には覚めてしまうようなそんな夢。だけど、握り締めた剣が夢ではないと自分に伝えてくる。

 敵は絶対的な力を振りまきこの世界を破壊しようとする神々。対するは願いのため、世界を守るため戦う愚者達。

 勝敗は決しているようなものだ。それでも、まだ決しているわけではない。絶対的な絶望に、僅かな希望で立ち向かう。それはきっと、無謀で無理で、馬鹿なことだ。それでも諦めるわけにはいかない。

 僕はリーヴを握り締める。 

 ――理想を手放せない僕は、手の届かない夢を願った。

 絶望しかなかったはずの世界が希望に溢れている――


 ――終わりは遠い。だが少しずつだが確実に近づいてはいる。

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