58話 仲間
――――ああ。
――――――ああ、もうすぐ終わる。
ロキとの戦いから二年ほどだろうか。あいつらと出会ってから三回目の夏だ。
目を閉じて考える――。
今は夏だ。それなのにユグドラシルの外では雪が降っている。
今年の初雪は春だった。
そこから異常が起こり始めた。
雪の次は春なのに積もっていた雪が一日で消えるほどの暑さ。ただ、太陽は出ていなかった。そもそも異常が出始めてから雲に覆われている空しか見ていない。
明らかな異常だった。しばらくしても異常がなくなることはなかった。いや、異常が通常になり始めていた。
人間はその数を急激に減らした。外は氷と炎に包まれている。人が耐えられる環境ではない。一応の避難場所はあり、そこに人々は集まったはずだ。だけど、今はどうなっているかは分からない。いや、前にその避難所に行ってみてもその避難所自体が消えていた。
そもそも異常事態が起きてから外に連絡を取ろうとした。ユグドラシルの回線は魔法によるものだから異常事態でも繋がるはずだ。だけど繋がらなかった。外に出て人を探したこともあったが見つからなかった。そもそもどこまで行っても景色が変わらない。
覚悟はしていた。平和が長く続かないことぐらい覚悟はしていた。
希美の能力の一つである予知を使い、先を見た。そして神々がこの世界に攻め入ってくる日が判明した。
神の能力は様々だ。そいつらが力を合わせればユグドラシルの結界を作動させずに生命を消すなど容易いのだろう。
だけど、生命の種が消えたわけではない。
――目を開ける。
目の前には仲間がいる。
それぞれが覚悟を決めたように目を開け、立ち上がる。
「それじゃあ皆、これで最後だ。頑張ろう……」
今回の作戦は単純だ。
最後に士希か希美が残ればいい。そうすればどちらかが最高神になり、世界は守られる。そして世界があるなら、また新しい生命が生まれ、世界は続く。
戦力を考え士希が戦闘に出ることになった。つまり残るのは希美だ。そして希美の護衛として翼、僕と雪は戦闘。
三人で数多の神々を相手にする。
ぎゅっと手に持っているローブを握り締める。このローブは仲間の証として、士希が持っていた防具になる種を元に 作られた白いローブだ。
時間になり、予知通り世界に歪が生じる。ユグドラシルの結界も作動しない。この戦いが最後だ。
誰からでもなく拳を前に出し、合わせる。
『――さあ、世界を守ろう!』




