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この世界で願いのために戦う僕の物語  作者: KOKOA
第六章 絶対者《ストゥルティ》
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49話 飛ぶ

 



 朝になった。

 結局、昨日は寝ようとしてからも風呂とかに入っていたので遅くなってしまった。

 てか、ずっと話に集中して気にしてなかったけど祭りに行ったので浴衣だったのだ。話を聞いている間ずっと。絵面がすごいよな、真剣な顔をしたまま浴衣で話し込んでるって。

「おはよう和真君」

「おはようカズマ!」

 回復機からでると先に起きていた雪と翼が会話をしていた。

「おはよう」

 頭がぼーっとしていて上手く言葉が出てこない。

「じゃあ、訓練をするからカズマも準備が出来たらトレーニングルームに来てね」

 それに頷いて、部屋を後にする。

 そうか今日は訓練だった。だんだん頭が冴えてくるのを感じながら昨日のことを思い出す。ロキが来るまでの間に強くならければならない。きっと今のままでは歯が立たないだろう。

「げほっ!」

 自分の部屋で歯磨きをしながら考えていたら歯ブラシが喉に刺さった。クソ痛い。

 正直能力で歯を綺麗にしていしまえば早いのだが、何となく朝は歯磨きと洗顔をしなければ落ち着かない。

 そういえばと思い時計を見てみると針は九時を指していた。もう昼近くだ。

 いそいでトレーニングルームに向かう。

「ごめん、遅くなった!」

 中に入ると二人が気づいてやってくる。

「大丈夫だよ。じゃあ、揃ったし訓練しようか」

 雪と二人で頷く。僅かに緊張で空気がピリつく。

「今から一週間後とちょっとでロキが来るらしいので一週間だけ訓練をしていくね。とりあえず、始めは二人の実力を見たいので私対二人の模擬戦を。じゃあ、開始は五分後。始め!」

 手短に要件を伝え、翼は目を瞑った。要するにどこかに移動して始めろということだろう。

 雪と顔を見合わせ、翼から距離を取る。

「始め!」

 五分経ち、翼の声が響く。

 視力を強化して翼を捉えると同時に魔法を発動する。

「デウス・エクス・マキナ!」

 規模はインペリウムを使ってないので縮小されているが十分強力だ。馬鹿でかい砲台から光が迸り翼がいたところを包み込む。

 しかし翼は高く飛び上がりそれを難なく回避してしまう。

「シレオ・ソル!」

 だが翼が止まった瞬間を狙い、雪が翼を吹雪で囲む。

「アストラ!」

 そしてあらかじめ用意しておいた巨大な魔法陣を展開する。そこから視界を埋め尽くすほどの光の粒が流れ出す。三重の構えだ。これで多少なりともダメージが入るはず。

 ――だが、そんな甘い考えは直ぐに正さなければならなくなった。

「エクスカリバー!」

 翼は声を上げると勢いよく攻撃の合間をくぐり抜け雪に迫る。ギンッという金属同士が擦れる音を響かせながら剣がぶぶつかり合う。 

 翼の持っている剣は細身の両刃直剣。光り輝く黄金の剣。

 少し剣に見とれてしまったが、直ぐに頭を振り雪の助けに入る。

「ファースト・アクセル」

 呟き、翼へ斬りかかる。しかし翼は簡単に避けると今度はこちらに向かってきた。

 下から振り上げられる剣を避けると右からの回し蹴りが腹に当たる。しかし飛ばされず踏ん張り、剣を正中線目掛けて振り下ろす。それを剣で受け流され柄で腹を突かれる。

 翼はまるで踊るように剣を操り空を飛ぶ。

 対して僕は全体的に動きに違和感が有る。まだ自分の戦い方が見つかっていないということだ。その点、雪は自分の戦い方というのを分かっているのだろう。言葉にするなら舞うという感じだろうか。

 翼は僕と雪の攻撃を軽やかに避け隙を突き反撃してくる。

 攻撃が当たったと何度も錯覚する。翼は当たる瞬間にギリギリのところで避け、攻撃に繋げる。

 雪とアイコンタクトをして全く同時に翼に斬りかかる。

「はい、お仕舞い」

 だが剣で二つのものを同時に裁き何事もなかったようにそう告げる。

「こんな短くていいのか」

 息を荒げながらそう聞く。

「うん、短いけど自分の課題は見つかったんじゃない?」

 そう簡単に言われて呆気にとられる。確かに見つかったは見つかったがそれを見抜けるのはやはり積み重ねた経験の差からだろうか。 

「あ、そんな難しいことじゃないよ。ただ動きが変わったから見つかったのかなって」

 僕の顔を見て察したのかそう言う。

 成る程。確かに動きを意識して変えた。だけどそれに気づけるのは翼の洞察力の良さを物語っている。

「はい、じゃああとは各自で練習してね。スキエンティアはイメージの力だから自分なりの形を見つけたほうがいいからね。あ、でも分からないことがあったら聞いてね」

 翼はそう言うと、練習するように促してくる。

「じゃあ、早速だけど質問。飛ぶコツって何か有る?」

 僕の課題は飛ぶことだ。やはり翼と雪を見てみると僕の飛び方はぎこちない。

「う~ん、今のままでも飛べてるけど確かに違和感あるよね。飛ぶときはどんなことをイメージしてる?」

 飛ぶ……。これは一番最初にやったことだ。

「えっと引っ張られるようなイメージかな」

「それってカズマの空を飛ぶイメージと合ってる? それとも何かそれ自体に違和感ある?」

 考えてみる。僕にとって空を飛ぶことは小さい頃からの憧れだ。その時にイメージしていたものとは確かに違う。

「うーん、違和感あるといえばあるかな」

 考えながら口を開く。

「あ、ごめん。それ私のせいかも……」

 雪が小さく手を上げる。雪は申し訳なさそうな顔をして続きを言う。

「最初に浮くことを教えたからそのまま飛ぶことにそのイメージを引きずってたりしない?」

 あー、確かに最初に浮くことを教えてもらったからそのイメージのまま飛んでるのは確かにそうだ。

「成る程、確かにそうだ。でも雪のせいじゃないから安心してくれ、これは僕のせいだ。ありがとうな」

 僕がそう言うと安心したように雪は頷いた。

「翼もありがとう。改善するポイントが分かった気がする」

「ううん、私はなにも」

 飛ぶこと……。そもそも根本的に間違っていたんだ。僕にとっての飛ぶということはどういうことかそこから考えなければ。

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